ジャニーズ事務所が昨日、記者会見を開きました。数多くのタレントを輩出し、絶大な人気と熱狂的な推しに支えられてきた芸能事務所でしたが、その華やかな舞台裏では創業者が空前の性虐待・性加害を続けていたという問題を抱えています。また、「メディアの沈黙」が指摘され、見て見ぬふりや隠蔽、忖度があったともいわれています。
この問題を事務所がどのように処置し、解決していくのか、また、メディアがどのように報道するのか、人権を重視するようになった世界的な潮流の中、取引関係にある企業がどう対応していくのかが気になる事案です。
PR会社が仕切った記者会見は少々荒れたようです。まるで首相会見のようなルールが設けられたためといわれています。
出直しのジャニーズ事務所「メディアとの対話」約束したはずなのに…広報担当者が姿見せず「会見後」にひと悶着 - 弁護士ドットコム
設定されたルールを無視し、マイクを持っていない記者から質問、批判の声が飛ぶ事態になり、また、会見終了が告げられた後も質問を要望する声があったといいます。
この事態に井ノ原快彦氏が「ちょっと一言いいですか」と話し始め、「こういう会見の場は、全国に生放送で伝わっておりまして、小さな子どもたち、自分にも子どもがいます。ジャニーズJr.の子たちもいます。それこそ被害者の方々が、自分たちのことでこんなに揉めているのかって、僕は見せたくないので。できる限り、ルールを守っていく大人たちの姿を見ていただきたいと思っていますので、どうかどうか落ち着いてお願いいたします」と要請したそうです。そして会場からは拍手が起きたといいます。
混乱のジャニーズ会見で「一言いいですか」 井ノ原快彦氏が呼びかけ | 毎日新聞
大人の対応のように見えますが、どうなのでしょうか。言葉でその場をうまく取り繕ったように見え、印象操作のようにも感じます。
問題がありその対応を説明するための会見であるのなら、誠意をもって誠実に受け答えることができれば、好印象を与えることができるはずなのにと思うばかりです。
論語に学ぶ
巧言・令色・足恭(そくきょう)なるは、左丘明(さきゅうめい)之を恥ず。丘も亦之を恥ず。怨みを匿(かく)して其の人を友とするは、左丘明 之を恥ず。丘も亦之を恥ず。(「公冶長第五」25)
口先が巧み、顔つきが穏やか、媚び諂い、左丘明はこれらを恥じた。私もまた同じだ。その人への恨みを隠して友人づきあいをするようなことを左丘明は恥じた。私もまたそのなのだと孔子はいいました。
孔子は、誠意のともわない上辺だけの好意の表現を嫌っていたといいます。誠実な人間愛の欠如に他ならないからだといわれます。
井ノ原氏の言葉にそんなことを感じとってしまいました。周到に準備した会見でよい印象を残したかったのでしょうか。それが全面的に悪いこととは言えないのでしょうが、問題が問題なだけに疑問を感じてしまいます。
会見での発表内容は問題解決に向け一歩前進したと言えそうですが、まだ緒についたばかりというところでしょうか。企業も今後の進展を見守ることになりそうです。
ジャニーズ会見を企業注視 専門家「起用控えを変える内容ではない」:朝日新聞デジタル
様々な立場の人が参加した記者会見なのでしょう。メディアによっては戸惑うファンに寄り添った報道したいところもあるのでしょう。しかし、ことがことだけに公正な報道に努めてもらいたいものです。
東山社長は最後に「ご報告できることがあったら、またこのような形で皆さんと対話をさせていただきたい」と述べたといいます。対話を続け、最善を見出して欲しいと願うばかりです。
「参考文書」
ジャニーズ事務所会見、怒号飛び交う 井ノ原快彦が理解求める ルール無用の会見は「見せたくない」 | ORICON NEWS
「被害者をばかにしている」ジャニーズ会見に当事者たちが再び怒った 「芸能活動なくすべきだ」との声も:東京新聞 TOKYO Web
東山氏、白波瀬前副社長に「説明責任ある」 主な一問一答 | 毎日新聞