「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

尾を引くジャニーズ、広告から撤退したはじめた企業、海外メディアの批判

 幼い子どもが親に虐待される報道を目にするたびに心を痛めます。一番信頼している親からの仕打ちにどんなにつらいを思いをしているのだろうと想像すると、そこから目を背けたくなります。

 強大な権力をもった芸能事務所の社長が長年にわたり、子どもたちに性的虐待を続けていました。たやすく事件の類似性を指摘すべきではないのかもしれませんが、もしかして何らかの間接的な社会的な影響があるのではないかと考えたくもなります。

 

 

 ジャニー氏からの被害を受けたカウアン・オカモト氏が記者会見を開き、「一番誰がつらいかといえば、自分の母親だ」と述べ、涙を見せたといいます。

東山氏にも性加害疑惑、ジャニーズ事務所新社長に就任も批判や疑問の声 - BBCニュース

「母がどういう思いでこの出来事を聞いて、日々生きているか。母に言えなかったことはいっぱいあるし、そういう思いにはもうさせたくない」。(出所:BBC

 オカモト氏は「エンターテインメントを教えてくれた」とジャニー氏について語り、「ジャニーさんを恨みきれないのは、グルーミングと言われてもある」とも述べたそうです。また、新社長に就任にした東山氏については、「誰も社長はやりたくないはず(中略)リスペクトしたい」と語ったともいいます。

海外メディアの批判

 この問題は世界でも報じられ、その異常性が指摘されています。

ジャニー喜多川という“傀儡師”に操られ、踊らされた国 | 日本はなぜ少年たちを守れなかったのか | クーリエ・ジャポン

 この問題は多くの疑問を投げかけているのではないでしょうか。

 東山新社長の少年への性加害の疑惑をBBCも指摘し、性加害者の名前を冠している社名を東山氏がすぐに変えることはないと述べたと批判しています。

メディアの沈黙

 「メディアの沈黙」が問題視されています。ジャニー氏を巡る疑惑は公然の秘密になっていたと英BBCはいいます。

 ジャニー氏は刑事事件として立件されることはなく、その葬儀は国家的な行事となり、当時の安倍首相からも弔電が届いたと指摘、また、ジャニーズ事務所が2019年、退所したタレントを出演させないようテレビ局に圧力をかけていたとして、公正取引委員会に注意されたこともあったといいます。

 しかし、日本の大半の主要メディアは長年この問題に触れてこなかったといいます。

 英紙「ガーディアン」も、「若者たちを惹きつける事務所のスターたちとの接点を失うことを恐れた大手新聞社やテレビ局はその疑惑を無視した」とメディアの問題点を報じたそうです。

 権力への忖度、視聴率を守るために手段を選ばず、ジャニーズアイドルに過度に依存する体質、そこにメディアに求められる権力の監視、公平公正はあるのでしょうか。社会秩序を維持に、より良い社会にしていこうとの意識が欠如しているといわれても否定できないのではないでしょうか。メディアが闇を作ることに加担することは断じて許されるはずはありません。

 

 

ジャニーズ依存、企業の対応

 それは企業においても同様なのでしょう。

 アサヒグループホールディングス東京海上ホールディングスJAL日本航空などがジャニーズ事務所依存から脱する動きを見せているそうです。

性加害のジャニーズ事務所からスポンサー離れ、契約更新見送りも - Bloomberg

 一方で、「アイドルに非はない」との声もあり、熱狂的なファンの反感を買うなどのリスクを考えれば、企業側の対応の分かれる可能性があるといいます。

グローバルに事業展開する会社や子供向け商品などを提供する企業は厳しい対応を迫られる一方、ターゲット層とファン層が重なる企業は「一方的にタレントを打ち切るのはひどいというファンの声を無視できない。(出所:ブルームバーグ

論語に学ぶ

吾未だ徳を好むこと色を好むが如き者を見ざるなり。(「子罕第九」18)

 美人を愛するほどの熱意をこめて徳を好む人間に、自分はかつてお目にかかったことがないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

「色を好む」とは美人を愛することと解釈するといいますが、「色欲」、性的な満足を得るための肉体的な欲望や情欲、 色情と物欲ととってもいいのではないでしょうか。

 こうした欲を否定することはできないのですが、それをコントロールしてこそ人であり、それができて人格者、徳ある人ということなのでしょう。

 

 

 色欲が勝っているのが近頃の世の中なのかもしれません。陰鬱な事件、企業の不祥事、その背景にはこうしたことがあるとは言えないでしょうか。

続く社長の引責辞任

 次々と社長が辞任に追い込まれていきます。ビッグモータ不正に加担したと損保ジャパンの白川社長も引責辞任しました。

不正認識も「反発恐れ」 損保ジャパン社長引責辞任 | 共同通信

「ビッグモーターからの反発を恐れて改善の申し入れにとどまった」と白川社長は記者会見で明かし、年間120億円の収入をもたらすビッグモータへの不正追及の手が緩んだと認めたといいます。

不正をただすべき立場の損保会社が役割を果たさず、ビッグモーターの悪事を看過した罪は重い。(出所:日本経済新聞

 もたれ合いが不正拡大を招き、消費者は軽視されていたとしかいいようがありません。

 これが今の日本社会の実相なのでしょうか。欲に走る権力者が増殖し、秩序を乱しては、それが世の中に伝播し、道を外してしまう人も増えていく......

「邦に道無くして、富み且つ貴きは、恥なり」との言葉もあります。秩序を壊してまで、富なり自己満足を得ようとすることは間違いなく恥ずべきことなのでしょう。

 海外メディアが批判するのも当たり前のような気がします。

皮肉

 フランス大手紙「ル・モンド」が、「ジャニーズ事務所内の性的虐待スキャンダルは、ラグビーワールドカップフランス大会の日本代表ラグビー選手たちの〝叙事詩〟の一部となる可能性がある」と、櫻井翔氏のアンバサダー起用を皮肉り、批判しているようです。

櫻井翔のラグビー日本代表アンバサダー起用を仏紙が批判 ジャニーズ性加害問題を受けて | 東スポWEB

 日本という国のイメージに悪影響が出かねない事態なのかもしれません。また、それは日本人の印象にも関わることのように思います。

 アイドルたちには一度表から姿を消してもらった方がいいのかもしれません。事務所が人権を軽んじることがなく、また権力に執着することがなくなったと確認できてから復帰すればいいのではないでしょうか。

 しつこくメディアは追求し、みなでそれを監視していく必要があるのではないでしょうか。そう感じてなりません。

 

「参考文書」

「ジャニーズ事務所の記者会見」を海外メディアはこう報じた | 東山新社長の疑惑にも触れて… | クーリエ・ジャポン

ジャニーズと契約解除検討 東京海上、相葉さん広告に起用―「タレントに非はない」の声も・企業対応:時事ドットコム

ジャニーズ起用せず アサヒとキリン:時事ドットコム

[社説]損保ジャパンの罪も重い - 日本経済新聞