年末恒例のNHKの紅白歌合戦にジャニーズ事務所の所属タレントへの出演はゼロになる可能性があるといいます。NHKの稲葉会長が記者会見で、所属タレントの新規の番組起用を停止したことを明らかにしたそうです。紅白歌合戦もこの方針で対応すると述べたといいます。
NHK、ジャニーズタレント新規起用停止 「紅白」ゼロも - 日本経済新聞
NHKはジャニーズ事務所に対し、被害者への補償や再発防止の取り組みが迅速に行われることを要請したも明らかにしたといいます。
NHKは他のテレビ局と同様に、所属タレントの番組起用を続けていました。会見で稲葉会長は反省の弁を述べたようですが、他の業界に比して対応が遅いとの批判は免れないのでしょう。
日テレも、社名変更や組織改革などをジャニーズ事務所に口頭で申し入れたことを明らかにしています。また、被害者の救済策が不十分だとして、再発防止策の実行や所属タレントが活動しやすい環境整備についても文書で要望しているといいます。
日テレ社長、ジャニーズ事務所に社名変更など要請 - 日本経済新聞
また、性被害があった当時の自社の報道状況や対応について、関係者にヒアリングを行うなどして現在検証中で、今後、検証結果を報道番組など何らかのかたちで公表するそうです。ジャニーズ事務所の特別チームが指摘した「メディアの沈黙」の解明につながっていくのでしょうか。
メディアの役割、存在意義を考えさせられる事態なのでしょう。対応の遅れの背景には一体何があったのでしょうか。この業界に根付き、見直されてこなかった商習慣などがあるのでしょうか。その弊害をよくよく検証してもらいたいものです。
この先、メディアはどんな形で、社会全体の持続的な発展に寄与していくことになるのでしょうか。
論語に学ぶ
之を如何(いかん)せん、之を如何せんと曰わざる者には、吾 之を如何ともする末(な)きのみ。(「衛霊公第十五」16)
どうすればいいだろうか、どうすればいいのだろうかと問い、一生懸命考える人でなければ、指導のしようがないと孔子はいいました。
思慮なき人はどうすることもできない、問題を持たないものに、問題の解き方を教えることはできないと意味します。「これは社会にとって良いことなのだろうか」、そんな疑問的態度でいない限り、問題を感じることも、見つけることはできないともいえそうです。
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「自分さえ良ければ」、そんな風潮が蔓延るようになった感じます。ビッグモータ不正に続く損保業界の問題などはその最たる例なのかもしれません。表向きは善人を装い、裏では悪事に手を染めることも厭わない、これでは社会に良い影響を及ぼすはずがありません。
気候変動のこと、緊張を続ける国際情勢など、「自分さえ良ければ」ではこうした問題は解決されることはなさそうです。しかし、こうした問題の解決が図られなければ、その弊害がこれからも私たちの身に降りかかってくることは間違いないのでしょう。
この夏の猛暑、遠い異国での紛争、近隣諸国とのいざこざ、今、現実にこれらを目の当たりにして、痛切に感じることです。
「参考文書」
テレビ朝日社長、ジャニーズ問題巡る自社の報道姿勢を反省 - 日本経済新聞