「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

あれから1年、遺志に報いるために働く首相、ますます混迷する日本

 あの衝撃的な銃撃事件から一年経ちました。それ以降、政治の混乱が続くようになったと感じます。

 安倍元首相の一周忌を迎えるにあたって、岸田首相が「安倍氏のご遺志に報いるために、先送りのできない課題で答えを出さなければならないとの思いで職務に努めてきた」と振り返り、「1年の節目を迎えるが、こうした姿勢を大事にしながら職責を果たしていきたい」と強調したそうです。

あす安倍氏一周忌…岸田首相「ご遺志に報いるため、先送りできない課題で答え出す」 : 読売新聞

 哀悼の意を表することは大切なことです。しかし、これでは故人のために政治をやってきたと聞こえます。やはり国民不在、国民負担を強いてでもだったのかと感じます。現役首相の言葉として適切なのでしょうか。まるで故人がこの国の正義であるかのようにも聞こえます。

 

 

 振り返れば、あれ以降様々なことが明るみになり、事件と同じくらいに衝撃を受けました。

統一教会問題、岸田政権になお火種 解散命令請求に高いハードル:時事ドットコム

この1年で明らかになったのは、永田町(立法)や霞が関(行政)と、一般国民の意識の乖離(かいり)ではないか――。(出所:ダイヤモンドオンライン

 そうなのかもしれません。

論語に学ぶ

君子に三畏(さんい)有り。天命を畏(おそ)れ、大人(たいじん)を畏れ、聖人の言を畏る。小人は天命を知らざれば、畏れず。大人に狎(な)れ、聖人の言を侮る。(「季氏第十六」8)

 君子 教養人には三つの畏れ慎むものがある。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人のことばを畏れる。それに対し、小人は天命を理解しないのでそれを畏れない。狎れ狎れ(なれなれ)しく聖人を自分と同程度と思っている。また、「聖人」のことばを軽んじ侮っていると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 もっと国民に向き合うべきなのに、何かに取り憑かれたかのような言動を繰り返すようであれば、信用できなくなるものです。

 

 

「理不尽な国ニッポン」の著者フランス人のジャン=マリ・ブイズ氏の目には、社会問題の解決が遅々と進まない日本が生ぬるいと見え、そこに理不尽さを感じるようです。

24時間滞在すれば「日本贔屓」に? 仏人作家が見た 曖昧な国の武器 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 社会問題に対して、フランス人は日本人と異なったアプローチをとるといいます。フランス人は変えることを望み、古い世界を壊して新しい世界をつくろうとするそうです。

社会の悪を公に告発し、見せしめに処罰して、同類の仲間全員を悔い改めさせようとする。害悪は完全に排除するか、または再教育して、社会を解放しようと闘うのである。(出所:Forbes)

 日本人はこうしたことをせずに、治療することを望んでいるようだといいます。それは「悪というよりは、機能不全に陥った共同体全体を立て直すという意味で、壊すのではなく、再出発するために活力を取り戻す」という意味と指摘します。

「変えることはスピーディーだが多くの綻びを生んでしまう可能性があり、一方で治療は時間がかかる代わりに入念におこなうことができる」、言わんとすることは理解できない訳でもありません。

 また「フランスよりは目立つやり方ではないが、しかし分断はきわめて少ない」と評価し、「問題に取り組むのは、長い熟成期間を経て、これらのテーマが何らかの事件をきっかけに、一般の人々の問題として認められるようになったときだ」と著者はいいます。

 マイナンバーカードトラブルに対する反応はそのひとつなのかもしれません。

 

 

 著者は全体主義国家や管理社会への警鐘を鳴らし続けたジョージ・オーウェルを引用し、「画一的な報道を続ける主要メディア、人々に思考する猶予を与えないほど連続して訪れる社会的、商業的イベント」など日本の習慣から繰り返しオーウェル的な世界を嗅ぎとったそうです。

 しかしそれは悪い意味ではなく、日本国民がストレスの元となる分断に陥るのを避ける助けになっていると主張しています。

 政治ばかりでなく、ジャニーズ問題など様々な問題の解決が遅いのも、これが理由なのでしょうか。

 

「参考文書」

安倍元首相銃撃事件1年「岸田は間違いなく自信深めた」しかし… | NHK政治マガジン

安倍元首相の銃撃事件から1年、「無敵の人」に正論ふりかざす永田町の“ズレた感覚” | ニュース3面鏡 | ダイヤモンド・オンライン

近事片々:安倍元首相銃撃から… | 毎日新聞