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【話題のつきない権力者たち】中国大使の帰任の挨拶を拒絶した首相、虚偽答弁で窮地のジョンソン元首相

 

 首相の話題が尽きません。今度は慣例を破って、中国の孔鉉佑前駐日大使からの離任あいさつの申請を断っていたといいます。

 歴代大使の大半は離任時に首相面会を受けており、岸田政権の対応は異例といえるそうです。

首相、前中国大使の離任面会断る 世論硬化に配慮、異例の対応 | 共同通信

 記事は、慎重な対中姿勢が浮き彫りになったといいます。また、硬化する国内の対中世論に配慮したともいいます。

 一方、日本経済新聞は、日本の前駐中国大使の離任時に習氏ら最高指導部との面会が実現しなかったため、「相互主義の対応を取る必要がある」との判断もあったと報じています。

 いずれにせよ、ニュース性に富む行動がお好きなのでしょうか。それだけ常識からかけ離れているともいえそうです。

虚偽答弁だったのか、窮地のジョンソン元首相

 英国では、ジョンソン元首相が議会で虚偽答弁をしたとして、追及されているそうです。

 最悪の場合、議員失職になる可能性もあるといいます。それでも、与党保守党は、元首相を擁護することもないようです。

ジョンソン元英首相、「パーティーゲート」めぐる意図的ミスリード否定 議会特別委 - BBCニュース

 記事によると、議会の特別委員会が開かれ、ジョンソン元首相は繰り返し、議会を意図的にミスリードしていないと強調したといいます。

 英国では、議会で閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードした場合、辞職・解任理由になるそうです。

「ミスリード」とは、議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ導くことを意味するそうです。

虚偽答弁、それをかばう政権与党

 日本では、元首相が在任中に何度も虚偽答弁を重ねたが、追及を受けることもないと、東京新聞が指摘します。議会答弁の重さ、日英では違いがあるといいます。

「英国議会では、本会議も委員会も与野党が丁々発止でぶつかり合い、言葉からにじみ出る議員の人柄を国民は注視しているから」....(略)「言葉の重みに対する感覚や熟議の文化が育まれていない日本とは、その点に差が生まれている」(出所:東京新聞

 日本では与党が政権をかばい、懲罰動議も証人喚問も実現しないと政治学者は指摘します。

 議会制民主主義発祥の地・英国では虚偽答弁に厳しい対応で臨むが、「日本は国会での答弁の真摯さ度合いに対する厳しさがなく、議論に秩序と規律がない」といいます。

「国民をなめきっている」日本の国会議員 虚偽答弁の重さ、元首相が失職するかもしれない英国と比べてみた:東京新聞 TOKYO Web

 そうなのかもしれません。こうしたことは政策立案にも影響していたのでしょうし、また、社会にも大きな影響を及ぼしていたのかもしれません。

 どんな形にせよ、それがニュースとなって流布されていくのですから。

論語に学ぶ

子貢曰わく、貧にして諂うこと無く、富みて驕ること無くんば、如何、と。子曰わく、可なり。未だ貧にして楽しみ、富みて礼を好む者には若(し)かざるなり、と。

子貢曰わく、詩に云う、切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し、と。其れ斯の謂いなるか、と。子曰わく、賜や、始めて与に詩を言う可きのみ。諸に往を告げて、来を知る者なり、と。 (「学而第一」15)

弟子の子貢が「貧乏をしていても、媚びたり、追従せず、金持ちになっても高ぶらない。そういう生き方はいかがでしょうか」と質問しました。孔子は「可」と答え、「貧乏でありながら楽しく暮らし、金持で礼を好む者には及ばないだろう」と諭します。

 すると子貢は、すぐさま『詩経』の「衛風」の「淇奥(きいく)」の第一章を想起して「切磋琢磨」とはこのことを言うのでしょうかとたずねます。孔子はいたくよろこび「賜君、分かっている君となら詩を談じ合える。話を一度聞くと、その先のことが見える力がある」といいました。 

dsupplying.hatenadiary.jp

「切磋琢磨」、四文字はすべて加工を示す動詞であって、骨は「切」、象牙は「磋」、玉は「琢」、石は「磨」という。道徳、人格をいやがうえにもみがくという意味です。

 子貢は諂いと驕りのないことを最高と考えていたが、孔子に諭され、学問の道には終わりがないことを悟って、この詩を引用したといいます。

彼の淇のかわの奥を瞻(み)れば、緑の竹の猗猗(いい)とうつくし、有にも匪(あざや)けき君子は、切するが如く磋するが如く、琢するが如く磨するが如し・・・

 衛の名君武公を詩っているとされ、人格修養につとめることが歌われているといいます。

 これが転じて、今では、仲間同士が互いに励まし合い競争し合って、共に向上することの意味で使われています。

 また、「往」は過去、「来」は未来を示すといいます。

 弟子の子貢は、物事を、そして、言葉を、次元を変えて飛躍的にとらえることのできる頭脳の持ち主といわれます。

 英国の議員たちはこうした「切磋琢磨」のような教養を身につけ、物事を常識的に判断できていそうです。

 そうであるから、また、過去より、よりよい未来にしていくことができるのかもしれません。

 

「参考文書」

中国の孔鉉佑・前駐日大使の離任時、面会せず 岸田首相 - 日本経済新聞

ジョンソン元首相を聴取 パーティー問題で「議会を欺いた疑い」 本人は「意図的」でないと主張:東京新聞 TOKYO Web