新型コロナの最中、その対策として実施されたロックダウン中に首相官邸などでパーティーを開いたとして首相の座を追われた英国のボリス・ジョンソン氏が窮地に追い込まれているようです。
英国議会特別委員会が、この件に関する調査報告書を公表したそうです。
【解説】 あまりにも容赦ない報告書、ジョンソン元英首相に打撃 - BBCニュース
いわゆる「パーティーゲート」に関するこの報告書は、ジョンソン元首相の答弁が「議会を故意にミスリード」していたと結論付け、90日間の議員資格停止処分に当たるとしたといいます。
公職者の行動の、そして社会全体の根幹をなす、根本的な支柱のありようが問われているのだ。
品行、ふるまい、信頼性、一貫性。
真実を神聖視すること。うそを軽蔑すること。(出所:BBC Japan)
ジョンソン氏は今、「議会の力」をかつてないほど痛感しているだろうと、BBCはいいます。
これに対し、ジョンソン氏は、自分はただ単にミスをしただけで、わざと議会を欺いたわけではない、陰謀ではなくてミスと反論したといいます。
いくら調査委が警察の鑑識のように緻密に、そして良心的に問題を吟味したといっても、自分の意図を理解するために自分の頭の中に入り込むなどできなかったはずだと。(出所:BBC Japan)
これに対して特別委は、自分たちはジョンソン氏の頭の中に入り込もうとしたし、その意図は理解したと言っていると記事はいいます。
これが紳士の国英国流の「法の支配」なのでしょうか。
翻って日本の国会はどうなのでしょうか。
「公邸忘年会」が〝岸田家の不祥事〟に【点描・永田町】:時事ドットコム
首相らの適切でない行動を追求しようともせずに、逆に数の論理だけで、それを擁護しようとしてはいないでしょうか。
ジョンソン元首相を追求した特別委は、与党・保守党の議員4人と野党議員3人からなり、多くの委員は、有名な政治家というわけではないといいます。
与党議員でさえ、党首の不品行の行為を許すことはない、彼ら委員は何をもってその報告書をまとめたのでしょうか。議員、公職者としての矜持なのでしょうか。
驚きです。今の日本では国会ではありえそうにことなのかもしれません。
論語に学ぶ
雍(よう)や南面せ使む可(べ)し。(「雍也第六」1)
弟子の冉雍(ぜんよう)は「人の君たる」ものとなれる人物であると意味します。
古代中国では、 天子や諸侯は、それぞれの政庁において南向きに座っていたといいます。弟子の冉雍は、諸侯たる人徳、器量がそろっていると孔子は言ったのだといいます。「冉雍」は、孔門十哲の一人と言われ、卑しい階級の出身であったが、人柄がよいので孔子に愛されたといいます。
米国ではトランプ前大統領が37の罪で起訴されました。それでも根強い人気を背景に次の大統領選に出馬する方向といいます。
好ましくない行動にも見えます。米国の「法の支配」が試されているようにも思えます。
兎角、米国に追従したがる日本ですが、トランプ氏を見本としては欲しくないものです。どちらかといえば、英国流に倣って欲しいものです。
「参考文書」
ジョンソン元英首相は「議会を故意にミスリードしていた」 下院特別委が報告書発表 - BBCニュース