現状維持もいいのでしょうが、それよりはこの先にワクワクするようなことがある方が精神的には健全でいられるのではないでしょうか。期待とか希望は大切なことのような気がします。
型通りにいってしまえば、今の自分を知って、明日に活かすことができれば、それが希望とか期待になるのかもしれません。しかし真実の自分に向き合うことはある種の自己批判を伴うもので、できれば避けたいと思うのも人の心理なのでしょう。
しかし、人の上に立つようなリーダーにはこのマインドは持ってもらわねば、組織が明るい雰囲気に包まれることはないのでしょう。努力が報われるように、成果に導くのがリーダーの役割なのです。
「科学的態度・意識的疑問的態度」、リーダーの重要な素養のひとつだと思います。常に現状に疑問を感じ、科学的にアプローチする態度です。そうした分析能力をもって、現状を正しく知り、そこでうまくいっていないことを直すことができれば、ちょっとだけ良い明日を過ごせるのかもしれません。現状分析の重要さの所以でしょうか。
継続が力なのか、アベノミクス
アベノミクスの分析をJIJI.comが続けています。よくなることのない日本経済の実情を知るには、こうした分析は避け得ないことでなのでしょう。
「アベノミクス」ブレーンたちの高揚、そして...:時事ドットコム
「財界の人たちに会うと、たいていの人が『円高が修正され、何よりも人々のマインドが明るくなった』と、日銀の『量的、質的金融緩和』を高く評価し、感謝の意を述べる」(出所:JIJI.com)
「大胆な金融緩和」がスタートした直後、アベノミクスに対し世の中は「歓迎ムード」にあったといいます。しかし、それから10年余りの時間が経過しましたが、目的は達成されずに、日本経済は崖っぷちに立たされたままです。「継続の先に明るい未来を期待する人は、そう多くはあるまい」と記事は主張しています。
財務省の矜持
記事は、アベノミクス期間中の2度の消費増税が足枷となり、うまくいきかけていた成長がそこで損なわれたと指摘しています。
財務省の財政健全化から逃れ切れなかった。そして企業がデフレマインドから脱却できなかった。(出所:JIJI.com)
景気が少しずつ良くなり、税収が増えてくると、アベノミクス下にあって財務省は密かに緊縮財政路線を強めっていったといいます。「結果、デフレから脱却できなかったという点で財務省は間違っていた。財務省主導の緊縮財政が足を引っ張ったのです」とかつてのブレーンの一人はそう回顧しています。
一方の財務省は、高まる公債依存は将来世代への負担の先送りであり、利払いや償還費が予算を圧迫して財政の硬直化を招く、そして国債や通貨の信用が低下し、ハイパーインフレのリスクがあると警鐘を鳴らし続けます。これが安倍氏への呪縛となったといいます。
消費も増えず、生産性も上がらず、デフレ脱却は十分に果たされることなく、日本はコロナ禍にまみれることとなる。(出所:JIJI.com)
そんな中、安倍氏は自ら政権を手放した。そして、ブレーンたちは「アベノミクスが解決しようとした問題のかなり多くの部分が解決されることなく残ってしまった」と嘆き、一方、記事は「約8年もの長期政権だったにもかかわらず、かなり多くの問題を解決することができなかった」という見方をします。
アベノミクスの功罪
アベノミクスに一定の成果があったことは否定しない。雇用は確かに増えた。(出所:JIJI.com)
しかし、「たとえ貧しくても、職と食がないよりはまし」という人を増やしただけであるなら、それを成果というのは、「安倍の言葉は大風呂敷であり、居直りであり、ごまかしであろう」と厳しく指摘します。
また、民主党政権を「悪夢」とこき下ろし、成長できないという「『諦めの壁』は完全に打ち破ることができた」と自画自賛していたと過去を振り返っています。
記事が言わんとしようすることもわかる気がします。高貴な目標を掲げたはずなのに、成果となるはずのないことまで成果にし、それを誇示するようになれば、その悪影響は甚大ということなのかもしれません。
現状を正しく分析、認識できていなかったということなのでしょう。
大部の本なので、まず7章を最初に読むことをお勧めします。それにしても「経済成長が終わった次の社会のモデルは日本だ」という海外からの指摘が、ここ数年で急激に増えてきましたね。昨年のダボス会議も同様でしたが、当の日本であまり盛り上がってないのが面白い。https://t.co/31bqrZZGWO https://t.co/uG4vhaPSCH
— 山口周 (@shu_yamaguchi) 2023年1月9日
見方を変えれば、こうした意見も出てきます。そもそも論で、「デフレは悪なのか」、また需給ギャップの需要を伸ばそうとせずに、供給側をカットして、縮小均衡を図ったならどうなのかとの分析があってもよいのではなかったのかとも感じます。
経済は成長しなければならないという固定概念に縛られているだけのような気もしてしまいます。その箍を外して、違う目標を設定すれば、案外、重苦しい空気感から解放されるのかもしれません。
論語に学ぶ
君子は事(つか)え易く、説(よろこ)ばしめ難し。之を説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及んでは、之を器にす。
小人は事え難く、説ばせ易し。之を説ばしむるに、道を以てせずと雖(いえど)も、説べばなり。其の人を使うに及んでは、備わらんことを求む。(「子路第十三」25)
君子 教養人が上司であると働きやすいが、喜ばせるのは難しい。喜ばせようとするのなら、道理に従ったものでなければ、喜ばないからである。また君子が人を使うとき、適材適所に配置する。
小人 知識人が上司でありと働きにくいが、喜ばせるのは難しくない。もし喜ばせようと思えば、道理に従ったものでなくとも、喜ぶからである。また、知識人が人を使うとき、働きは万能であり結果は完全でないと承知しないと意味します。
継続は力といいますが、成果につながらないことをいつまでも続けてもムダになるのではないでしょうか。継続を力にするとは、成果がでるように力の向きを整えていくということなのかもしれません。
「材料不足、需要減、人員不足」の三重苦広がる 苦境にあえぐ中小企業 「どうしようもない緊急事態」:東京新聞 TOKYO Web
このままで日本はいいのでしょうか。