「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

苦境続く楽天、強気すぎる経営者

 楽天グループが苦境のようです。2023年6月中間連結決算が、純損益1399億円の赤字で、中間期の赤字は4年連続といいます。モバイル事業が足を引っ張り、そこからまだ脱却できていません。

楽天グループ、中間決算は1399億円赤字 | 共同通信

 大きな有利子負債を抱え、ちょっと心配になる事態です。楽天滅亡説が囁かれているようですが、三木谷社長は強気で、「経営に絶対の自信を持っているとしか言えない」と記者会見で語り、そうした言説を否定したといいます。

 

 

楽天モバイルは巨大なネットワークを3年で作る未曽有のプロジェクトだが、そこに果敢に挑んでいる」と語り、その事業の意義を「利益を上げていくと共に世の中のニーズと社会的な要求に答えていくというのがある」と述べたそうです。

“楽天もうダメ説”に三木谷社長がNO 決算会見での質疑応答【全文】(1/2 ページ) - ITmedia NEWS

無制限で家族4人が使うと20万円以上セーブができますよっていう社会的な意義のあるプロジェクトっていうのはほとんど他にない。(出所:ITmedia NEWS)

 低廉なサービスを提供できることは、素晴らしいことなのですが、日本のネット企業の草分けであった楽天としては、斬新さがなく、少々古臭い感じもします。これでは顧客をいつまでもデフレマインドに縛り付けたままではないでしょうか。

 インターネットが萌芽した当時、デフレに苦しむ日本にあって、消費者にとってポイント経済圏は魅力あるものだったのでしょう。その経済圏を拡大させていくことも然りです。しかし、今では同じようなサービスがあふれて、ポイントバラマキ合戦となり、それはそれで、消費者にとってはありがたいものですが、そのサービスにもう新しさを感じることはありません。そこに執着し過ぎていないでしょうか。

楽天には青臭いところもあり、これを必ず実現しようという強いくらいの決意で挑んでいる」と三木谷氏が語ったそうですが、青臭さと感じるのは本人だけで、アップデートできずに年老いてしまっているような気もします。

 

 

 グループを再編、中核のクレジットカード事業とスマホ決済事業を一体的に運営するといいます。

楽天銀行楽天証券、そして楽天カードなどのペイメント事業に関しても、言い方は悪いが「やろうと思ったらいつでもマネタイズできる」というメッセージをマーケットに送る意味合いも多少はある。(出所:ITmedia NEWS)

「これが、われわれグループ全体が一体となって進めていく決意を固めているという大きなポイント」。

 ネットとスマホの時代といわれて、もう何年も経過します。世界はAIの波を乗りこなし、次へ、もしかしたらその先、もっと先に向かって進もうとしているのではないでしょうか。

楽天とOpenAI、協業へ 三木谷氏「国全体の効率を20%上げる」 - ITmedia NEWS

楽天で事業を手掛ける企業の業務効率化、ユーザーエクスペリエンス(UX)の改善を図る。また楽天社内でも、マーケティングやオペレーション効率を20%引き上げるという。「中小企業、大企業、国、地方公共団体のエンパワーメントを20%アップさせる。国全体の効率を20%上げる」(出所:ITmedia NEWS)

 生産性向上を唱える国の指針とも合致しそうでもっともらしく聞こえますが、ちょっと違うような気がします。いまさらOpenAIとの協業では遅いような気もします。これではGAFAMを凌駕するようなイノベーションが生まれることはないのでしょう。

論語に学ぶ

其の之を言いて怍(は)じざれば、則ち之を為すこと難し。(「憲問第十四」20)

 内実のないことを言うのを恥じない者は、実行してもとてもできはしないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 信用を得ようと受け狙いで、もっともらしいことを言うようではおしまいに近いような気がします。それでは日本政府と変わりません。手にしたい名声も遠ざかることになるのではないでしょうか。

 

 

 失われた年月が10年となり、20年、30年となりました。そして、今またそれが40年になっているのかもしれません。「日本型の大量生産モデル」から脱却できずにいるのが敗因とよく耳にします。そうなのかもしれませんが、その上での話もあるのではないでしょうか。

 遅ればせながら登場した日本のIT企業、楽天ソフトバンクの躓きも失われた年月に含まれつつあるように思えてなりません。

 専門家による分析と批判があってもよさそうです。こうした企業においても改革を進めていかなければならないでしょうし、経営者もそろそろ代替りして、新しい風を吹かせた方がよいのではないでしょうか。

 

「参考文書」

楽天モバイルにとって「大ダメージ」か「影響は軽微」か--三木谷氏の右腕、タレック・アミン氏退任を考察 - CNET Japan

楽天 中核事業でグループ再編へ 携帯電話事業が経営圧迫するなか | NHK | IT・ネット