「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ苦境を選択するのか、「0円プラン」を廃止した楽天、支持率急落の首相

 

 楽天の業績が芳しくないようです。1~6月期の最終損益は1766億円の赤字になったそうです。有利子負債は6月末で2兆5370億円となり、20年3月末の1.5倍になっているといいます。

 21年7月に引き下げられたS&Pグローバル・レーティングによる楽天の長期発行体格付けはダブルBプラスのままで、「投機的水準」にあるそうです。

楽天、携帯民主化へ波高し 「0円廃止」で試される大義: 日本経済新聞

「携帯市場の民主化」。三木谷が大義を掲げて参入して2年余り。鳴り物入りの「第4のケータイ」が早くも胸突き八丁に差し掛かっている。(出所:日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、「血を入れ替えるというと怒られるかもしれないが、優良ユーザーに入れ換えて成長していく」と8月10日に開催された決算会見で、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が「0円ユーザー」が減ったことをそう表現したといいます。

大義」は果たせても、事業としての継続は容易ではないと日本経済新聞は指摘します。

 

 

論語に学ぶ

子 子夏に謂いて曰わく、女(なんじ)君子儒と為れ、小人儒と為る無かれ、と。(「雍也第六」13)

「君子の儒」とは天下の事に責任をもち、民が安んずる志を持つものであり、「小人の儒」とは自分一身を善くするにとどまって、社会的影響を持ちえぬ者を意味するといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 楽天三木谷氏は君子の器なのかもしれませんが、まだ君子になり切れていないようです。

「君子の儒」とは天下の事に責任をもち、民が安んずる志を持つもの。

「0円プラン」は魅力ですが、それを継続できなければ何ら意味はなく、それは己のためだけだったといわれても仕方ないのでしょう。

 

 

 一方、政治での場では、首相が大義を果たそうせずにいるように感じます。

旧統一教会問題で支持率急落、揺らぐ岸田首相の「黄金の3年」 - Bloomberg

選挙応援を受けてきた政治家が世論を理由に関係を断ち切るのは難しいとみられ、「厄介な問題」。支持率が回復しなければ政策の遂行が徐々に難しくなるとの見通し。また、政権浮揚のために、岸田首相は「政策面での成果を急ぐ」ことを迫られる可能性がある。(参考:ブルームバーグ) 

 岸田首相は、「大義」ではなく、故人とそれにかかわる者に対しての「忠義」には厚いのかもしれません。首相になれたことに対する恩義でも感じているのでしょうか。恩に報いることは美徳なのでしょう。

「小人の儒」、自分一身を善くするにとどまって、社会的影響を持ちえぬ者。

 忠義も美徳のひとつなのかもしれません。ただ一国の宰相が「小人の儒」にとどまっていてよいのでしょうか。

 それに対して故人は、天下の事に責任をもち、またカリスマもあって、人々を惹きつける何があったのかもしれません。ただ「民が安んずる志」には少々かけるところがあったのでしょう。「君子の儒」を全うできていなかったのかもしれません。

 

 

吾 未だ剛者を見ず。或る人対え曰わく、申棖(しんとう)と。子曰わく、棖や慾あり。焉んぞ剛たるを得ん、と。(「公冶長第五」11)

 いかに強健な身体をもち、また果烈な精神態度をもっていても、誘惑や欲望に負けてしまうようでは、果烈でありえなくなる、「慾」という言葉は、その欲望にふりまわされている、またはふりまわされやすいということで、剛とは両立しないのである」と桑原武夫は解説します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 もしかして故人も私利私欲が強すぎたのかもしれません。その「慾」をコントロールし、それを「仁」に転換することができていたなら、君子になり得たのかもしれません。

「苟(まこと)に仁に志さば、悪無きなり」(「里仁第四」4)

「仁に志せば心もちはゆったりとして人を慈しむことになるから、おのずと人から悪まれることがなくなる、世間は公平によく見ている」と 伊藤仁斎は解し、桑原武夫は、「仁に志しても人間は過ちを犯すことはあるだろうが、ことさら悪事をすることはなくなる」と読みます。

dsupplying.hatenadiary.jp

大義」を果すとか、天下国家に責任を持つというと聞こえはいいですが、「仁」とともにあることを忘れてならないのでしょう。

「民が安んずる志を持つ」、これが軽んじられているように思えてなりません。