サイバーエージェントが2023年度の新入社員の初任給を42万円に引き上げることを発表したそうです。現在の大卒の平均初任給がおおよそ22万円、30年前とあまり変わっていないといわれる中、その額の大きさに注目が集まるようです。
サイバーエージェント「初任給42万円」が示す深刻な「IT業界の人材不足」 – ニッポン放送 NEWS ONLINE
人材獲得の競争が激化し、22年春入社の社員と比べて2割を超える大幅な増額で対応するそうです。
一方、「安い日本の労働力」との指摘があると、NHKがクローズアップ現代で報じています。
「円安の今はチャンス」日本企業へ ジョセフ・クラフトさんの提言 - クローズアップ現代 - NHK
賃上げが進まなかったことの影響なのでしょう、日本の労働力の価格が相対的に低下してきているといいます。長引く円安の影響が加わり、諸外国からはそう見えてしまうのでしょう。
しかし、こうした実情が海外投資を呼び込む機会でもあるといいます。現実、中国企業が日本でマスク工場を作ったそうです。中国の人件費が上昇していくのに対して、日本ではそのうねりは確かなものになっていません。それが日本進出の理由といいます。
こうしたことがきっかけとなり、確かな経済活動により賃金も上昇していけばいいのかもしれません。
これまでの経済政策と金融政策で、株価は上がりましたが、賃上げには至りませんでした。円安効果によるあぶく銭では、持続的に賃上げを維持することが難しいとの判断があったのでしょうか。「悪銭身に付かず」、円高に転じれば、一気に業績が悪化してしまう。そうした心配があれば、内部留保が増やそうとしたことも理解できます。
論語に学ぶ
君子は道を謀(はか)りて、食を謀らず。耕せど、餒(たい) 其の中に在るあり。学べば、禄 其の中に在るあり。君子は道を憂え、貧を憂えず。(「衛霊公第十五」32)
君子人は「食」についてではなく、「道」について考えをめぐらす。耕作していても飢饉に陥ることはある。しかし、学び続ければ、「禄」を得ることもできる。君子は「道」をもとにしているか否かを憂うが、「貧」を心配することはないと意味します。
同じ経済政策や金融政策を長く続けても、目標を達することができずにいました。しかし、今外部要因でその目標を達成しそうです。しかし、日銀はそれは求めているものとは違うといいます。
これまでの政策が失敗であることを暗に認めているのでしょうか。今日の社会情勢からして、また諸外国と比較しても、とても成功しているとは言い難いものではないでしょうか。これまで続けてきた政策が「道」から外れたものであることを証明しているのかもしれません。
ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション」の生みの親で、SCE ソニーコンピュータエンタテインメントの社長だったに久夛良木健氏が、近畿大学の学部長として教育に携わっているそうです。
「プレステの父」久夛良木健に聞く 「決断が遅い企業経営」に陥る理由:近大の情報学部長(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
ITmediaビジネスオンラインによれば、近畿大では、1年次から久夛良木氏から直接イノベーションについて学べるといいます。また、久夛良木氏も確かな手応えを感じているそうです。
もともとの日本の教育は、クリエイティブな答えを自由記述で書くと、×を先生がつける教育をしてきました。花丸じゃなくてそれは間違いだというわけですね。こういうものが文化として積み重なって、イノベーションを一から起こしたり、アーキテクチャを一から考えられたりできる人材をほとんど生んできませんでした。(出所:Tmediaビジネスオンライン)
こうした若い人たちが日本の未来を創っていくようになっていけばいいのかもしれません。また、こうした人材が活躍できる場として、それに見合った報酬を用意することも必要なのかもしれません。