DX デジタルトランスフォーメーションがしきりに説かれています。このままではデジタル時代の波に乗り遅れると煽られているかのようです。
経済産業省が「DXレポート」を2018年9月に公表、「レガシーシステムを放置したままでは、2025年までに毎年12兆円の経済損失をもたらす」と指摘しました。それによって国内企業に衝撃が走り、DXに注目が集まるようになったといわれます。それから4年余り、また経産省が「DXレポート 2.2」を公表するそうです。
この「DXレポート」作成の中心人物が講演し、注目を集めた「2025年の崖」について、「結果的には危機感を醸成しながら、企業の内部留保を投資に向けて社会を変えたかった」と述べたといいます。
DXは強みを増幅--経産省の中心人物が語る「DXレポート」に潜む危機感の正体 - ZDNet Japan
また、DXがよくも悪くもコモディティー化していると述べ、「DXは自社の強みを増幅するためのデジタル技術であるはず」と主張したといいます。
ただ、DXはコロナ渦の影響もあってのことかもしれませんが、あまり進んでいないようです。
この氏はこの氏なりに現状分析し課題について検討し、改めて提言します。
「DX推進政策は第2幕。われわれは『北斗七星アプローチ』と呼んでいる。向かうべき方向は不明確に理解しているが、技術の変化によってゴールが変化する。あたかも水面を悠々と泳ぐ白鳥のように水面下で水を漕げるような事例も集めつつ、『デジタル産業宣言』を策定した」。
デジタル産業宣言は「ビジョン駆動」「価値重視」「オープンマインド」「継続的な挑戦」「経営者中心」の5項目で構成される。(出所:ZDNet Japan)
論語に学ぶ
「巧言は徳を乱る。小 忍ばざれば、則ち大謀(たいぼう)を乱る」(「衛霊公第十五」27)といいます。
「巧言」さわやかな弁舌に引っかかって道徳心を乱すことがある。小さな正義に乗ってしまうと、大望を遂げることはできないと意味します。
「DXレポート」の中心人物が語ったその内実と現実では異なるものになっていないでしょうか。
言葉巧みに語り過ぎれば、齟齬が生じるのかもしれません。率直に語り、素直により良い方向に導くよう、対話を続けるだけでよかったのかもしれません。
国の施策に惑い、それによってかえって企業の成長が阻害されるべきではありません。それよりは国が自ら率先して、費用を最小化したうえで、まずは行政のデジタル化を徹底すべきではないでしょうか。成功事例ができれば、誰もがそれにあやかろうと考え巡らすようになるものではないでしょうか。
あれもこれもと手を出し過ぎるからかえって混乱、経済回復の足かせになっているのかもしれません。内省して欲しいものです。