「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

凶暴化する気候変動、待ったなしの脱炭素、求められる「SX」

 

 南の海上で非常に強い勢力を維持し停滞していた台風11号が、明日には北上を始めるとの予測があるようです。短時間に猛烈な勢力までに成長し、迷走するかのような動きを見せていました。今後の動きが気になります。大きな被害にならないことを願うばかりです。

 パキスタンでは、国土の3分の1が水没するほどの大洪水が起きているといいます。深刻な豪雨被害のようです。

アングル:パキスタン大洪水の教訓、求められる多角的リスク対策 | ロイター

 一方、欧州では干ばつが被害、まだしばらく続くとの予測もあるといいます。

 気候変動による異常気象が深刻さを増し、生活ばかりでなく、経済にも影響を及ぼし始めています。凶暴化する気候変動と感じます。もう指をくわえて見ている状況ではなくなっているようです。

 

 

 世界的な脱炭素の動きやESG、SDGsを背景に、長期的な成長を目的とする「SX サステナビリティ・トランスフォーメーション」の推進が求められているといいます。

 この「SX」実現のため、経済産業省が伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」・「価値協創ガイダンス」を策定、公表しました。

「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」・「価値協創ガイダンス2.0」を取りまとめました (METI/経済産業省)

「SX」とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指します。

「同期化」とは、社会の持続可能性に資する長期的な価値提供を行うことを通じて、社会の持続可能性の向上を図るとともに、自社の長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上と更なる価値創出へとつなげていくことを意味しています。(出所:経済産業省

(資料:経済産業省

「価値協創ガイダンス」は、SXの実現に向けた経営の強化、効果的な情報開示や建設的な対話を行うためのフレームワークといいます。

(資料:経済産業省

フレームワーク」とは、課題解決や戦略立案に活用できる枠組みや考え方のことをいいます。

 基準が必要なのかもしれませんが、ここまで親切に国が用意する必要があるのかと感じてしまいます。

 大切なことは、気候変動など迫りくる危機を乗り越えていくには、投資家を含めてエンゲージメントを高め、相互理解の上で、ESGに根差し、国是となったカーボンニュートラルを達成するための施策を成長するビジネスに転換していくということではないでしょうか。どんなフレームワークを用いようが、着想の力がなければアイデアが生まれることはありません。

 

 

 故稲盛和夫氏は生前、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」と説いていたといいます。

追悼・稲盛和夫氏 「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」:日経ビジネス電子版

 兎角、人は知識があるばかりに、新しいテーマであっても現在の常識の範囲内で判断してしまい、常に否定的なことばかり考えてしまうそうです。

 これでは新しいことには挑戦できなくなってしまいます。それ故、構想段階では、楽観的に進められるようそれに適した人材を揃えるといいます。これとは逆に計画段階では優秀な人たちの頭脳を利用し、悲観的に構想を観察し、計画を立案するのがよいといいます。

悲観的に計画した後は、また楽観に戻ることが求められます。「こんな不利な状況では勝てるはずがない」と思うのではなく、「国民大衆のためにも、何としてもこの事業を成功させなければならない。その我々の動機は善であり、私心は一切ない。人事を尽くせば必ず天が助けてくれる」と純粋に成功を一途に信じることが大切です。(出所:日経ビジネス

「SX」に取り組むには。まさにこうした心構えがまず必要なのではないでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

黙して之を識(しる)し、学びて厭わず、人に誨(おし)えて倦(う)まず。何か我に有らんや。(「述而第七」2)

 だまって、つまり理屈を言わないで、覚えこみ、そうした学習に飽きることがなく、そうして得たものを人に教えて倦むことがない。これは自分にとって自然なことだから、私としてはなんでもないことと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 実践してみては覚え、それでなお学習を続け、また実践する。この繰り返しで、経験知が高まっていくのではないでしょうか。対話、エンゲージメントにおいても、こうした心構えが求められていないでしょうか。

 

「参考文書」

世界の河川が消失の危機、気候変動の影響で水位低下-経済的打撃も大 - Bloomberg