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【国が示すDXの悪い事例】電子化される車検証、経費はあがり、ペーパレス化もできない

 

 車検証の電子化が2023年1月に開始になるそうです。

 政府は「道路運送車両法関係手数料令の一部を改正する政令」を閣議決定し、自動車の新規検査などの手数料が値上げするといいます。ただ、更新事務は簡略化され、運輸支局まで足を運ぶ必要があった車検証の更新などはオンラインで完結できるようになるといいます。

車検証、電子化するのに「値上げ」の怪 SNSで不満の声 デジタル庁の存在感も希薄(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

  ITmedia ビジネスオンラインによれば、例えば、車検証の再交付申請手数料が従来の300円から350円になるそうです。この値上げについて、国交省の担当者は、車検証の電子化に伴うシステム開発で発生した経費を転嫁した結果などと説明しているといいます。

 

 

 電子化するというものの、完全なペーパーレス化となるわけではなく、記載内容の変更はあるものの、車検証自体は紙として残るといいます。

DX化を進めて利便性を高めていく姿勢は当然持っている。そのため、人件費の合理化なども進めている。(出所: ITmedia ビジネスオンライン)

 今後の値下げについて、否定はしないものの、システムの維持・運用にも費用が発生するなどとしているそうです。

 今回、紙にICタグを記載する方式に落ち着いたのは、法令によって「自動車検査証の備え付け」が求められていること、また、インターネット接続環境や導入コスト、普及性などを考慮した末のことだったといいます。

 国のDXの一例、相変わらずの無秩序な変更、悪く言えば改悪ということなのでしょうか。これではベストプラクティスとなることもなく、「DX」とはこの程度との誤解を生み、悪習として世に定着することを促すようなことはないでしょうか。

論語に学ぶ

君子は言に訥(とつ)にして、行ないに敏ならんことを欲す。(「里仁第四」24)

 君子が自分の思うところを明快率直に伝達しうることは評価されたに違いないが、能弁になったり、巧言をはっするようになれば、それでは徳に反してしまいます。孔子の意図は、弁舌はしばらくおき、実践行動は思い切りよく、なおかつスマートであるべきで、それが人々のために「善」を実行することになると言いたかったのではないかといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 車検証を電子化すると言うのに、値上げするようでは、とてもスマートとはいえません。これが国民のためで、「善」を示していることになるのでしょうか。やる気がないとしか見えません。

 

 

「言動の不一致」、政府対応にも問題がありそうです。関心事は違うところにあるとでも言いたいのでしょうか。こうした不完全なるものを閣議決定せずに差し戻すべきなのでしょう。

 ペーパレス化になる時期を明文化させ、また経費計画と手数料の値下げプランを明確化することを求めるべきではないでしょうか。それとも如何に国民から搾取することが優先事項なのでしょうか。

 政府がどんなにデジタル化の推進、生産性の向上と声高に叫んでみても、お膝元の官庁が言うことを聞かなければ、広く社会に定着することなど絶対にありえません。

 首相を筆頭とする閣僚、また官僚たちの意識改革なくして、「DX」デジタルトランスフォーメーションがありえないことを政府自ら証明しようとしているしか見えません。

 これが、これまでこの国がやってきたことなのでしょうし、そうであるからこそ、日本がネガティブから抜け出ることがかなわないのでしょう。そして、これからそうあり続けていくのかもしれません。