「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

猛暑、物価高騰、ままならぬ対策にため息

 

 また猛暑がやってきました。気候変動の影響を意識します。気象情報は熱中症への警戒を呼び掛け、エアコンの使用を奨励します。エアコンをつければ快適かもしれませんが、多少気がひけるところもあります。エネルギー価格は高騰し、電力需給には余裕がありません。

 こんな時でも紛争は収まらず、それを止めることができません。人間の欲深さと愚かさを感じます。

 

 

 一方、政府は、経済財政報告(経済財政白書)をまとめ、物価が上昇、幅広い品目が値上がりしていると分析したといいます。ただインフレ圧力は米欧より弱く、「デフレ脱却には物価と賃金がともに安定的に上昇していくことが必要」と指摘したといいます。

 総体としては「デフレ脱却に向けて十分とはいえない」と評価した。物価上昇率は6月に9.1%の米国、8.6%のユーロ圏に比べるとなお低水準にある。国内では中小企業の価格転嫁が遅れて「輸入インフレにとどまっている」と分析した。(出所:日本経済新聞

物価上昇の裾野広く、脱デフレ「賃上げ重要」 経財白書: 日本経済新聞

  日本経済新聞によれば、政府がまとめた白書には「外的要因に起因する一時的な物価上昇ではなく、企業収益の改善が賃金上昇につながり、個人消費や設備投資が増加する下で経済全般の需給が持続的に改善していく好循環を実現する必要がある」とあるといいます。

 そうあることが理想形のひとつのかもしれませんが、現実は大きく乖離していないでしょうか。実質賃金は長い間上昇せずに、物価は上昇しています。いつまでもデフレ脱却を正論として振りかざすことがよいことなのでしょうか。

 そうしている間にも、状況は刻々と変化していきます。いつまでも同じ前提のままで、有効な対策を実行できるのでしょうか。それでは効果は上がらず、国民感情が逆なですることはないのでしょうか。

論語に学ぶ

子貢(しこう)問いて曰わく、一言にして以て終身 之を行なう可き者ありや、と。子曰わく、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿(なか)れ、と。(「衛霊公第十五」24)

 弟子の子貢が「一字で、生涯行なうべきものを表せましょうか」と質問しました。孔子は「それは「恕」思いやり、自分が他人から受けたくないことは、他人にもしないことだ」と答えたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 欧米のインフレを例にして、日本の物価上昇率を語り、値上げを容認しているように聞こえます。一方、欧米は多少の景気後退を覚悟しても、インフレを退治しようとします。「己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ」ということなのでしょうか。

 

 

 人々の営みがあって、その上に規範や倫理、道徳が成立するのでしょう。それは逆にいえば、これら無くして、生活は成り立たないということでもあるのでしょう。

 しかし、昨今はどうなのでしょうか。強欲な人物が登場したり、人の弱さに漬け込み、他者から平気で何でも搾取する者が現われ、意図的にイデオロギー論争を起したりする者もいます。こんなことが頻発しているようです。将来への不安が増すばかりです。ため息がでそうですが、なんとかしていかねばならないのでしょう。