「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【次は「異次元」の少子化対策】暴走する首相、過度な社会・企業への要求

 

 正月休暇が明けると、またいつものように社会がまた動き出しました。首相は年頭の記者会見を行い、日銀総裁も発言し、企業トップは年頭所感を公表します。

 黒田総裁は、世界経済の減速が予想されている中、日本経済は安定的な成長を続けるとの見通しを示し、賃金上昇を伴う物価目標を安定的に実現するまで、金融緩和を継続すると強調したそうです。

日本経済は安定的に成長、緩和的金融環境など背景=黒田日銀総裁 | ロイター

 いつものことではありますが、これでいいのだろうかと感じます。株価3万円超の予想もあるようですが、引き続き円安頼みの成長ということでしょうか。

 一貫性を保つことは重要なことなのでしょうが、その中に小さいながらも好ましい変化をあって、それを続ければ、大きなインパクトとなることもあるのでしょう。改善を続ける一貫性こそ求められているのではないのでしょうか。

 

 

もっともらしいですが、傲慢ではないのか

 年頭記者会見で、首相は「本年も覚悟を持って『先送りできない問題』への挑戦を続ける」と述べ、「特に日本経済の長年の課題に終止符を打ち、新しい好循環の基盤を起動し、異次元の少子化対策に挑戦する年にしたい」と語ったといいます。

岸田首相、インフレ率超える賃上げを-「異次元」の少子化対策も - Bloomberg

 志を高く持つことは良いことなのでしょうが、何でもかんでも一気呵成にやればよいということはないのでしょう。

 物事の解決には優先順位があるといいます。その鉄則を破れば混乱するのではないでしょうか。

 経済界に対し賃上げを求め、日本企業の競争力も強化していく必要があるとします。少子化対策にも言及し、育児休業制度の強化を含めた働き方改革の推進なども検討するそうです。それに加えて、先々には防衛費増額のための増税も待ち受けます。

 企業に対する要求事項は増え、それに対応しろといっているように聞こえ、企業で働く国民皆に身を粉にして働いて納税しなさいと言っているようなものではないでしょうか。恐ろしいことです。

 過去の政権が正しいという気はありませんが、それぞれに優先順位を設定し、その解決に専念するが故に、積み残しの課題が生じたのではないでしょうか。選挙目当てもあるのかもしれませんが、過度な国民負担をさけるための優先順位だったように思います。

 

 

論語に学ぶ

奢(しゃ)なれば則ち不孫(ふそん)、倹なれば則ち固。その不孫ならんよりは、寧(むし)ろ固なれ。(「述而第七」35)

 驕り奢(たか)ぶると出過ぎて不遜となる。倹約すぎると頑固で見聞の狭い固陋(ころう)となる。どちらも良くないが、他者にとって不愉快な不遜であるよりは、個人の問題の固陋のほうがましだと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

「不遜」とは、思い上がり、相手を見下した態度をとる様子のことをいいます。出過ぎた首相は、いい気になって傲慢不遜になっていることをわかっていないのでしょうか。企業や社会に過分に要求し、そこから得られる利益を自らの成果にしようとしているだけのように見えてます。

異次元少子化対策」などはその現われではないでしょうか。増税しなければ財源がないのに、どう対応するのでしょうか。

 それよりは、政府・国が率先し倹約に努めるべきなのではないでしょうか。倹約に過ぎれば、それはそれで迷惑になることもあるかもしれませんが、一義には困るの当の本人たちのはずです。困って知恵を使って大胆に改善を進め、それによって生じる利益を社会に還元するの国の大義で、その務めに徹すべきではないでしょうか。

 

 

出過ぎる政府、委縮する企業、経済の主体は誰か

日本経済の現状に関して「この30年間、企業収益が伸びても期待されたほどに賃金は伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった」と指摘し、「この問題に終止符を打ち、賃金が毎年伸びる構造を作る」と語った。(出所:ブルームバーグ

 すごいことだと思います。これまでの失政を反省することもなく、企業の台所を勝手に上がり込んで、引っ掻き回すといっているようなものです。

 政府の出過ぎた態度が、企業の自主独立性を阻害、委縮させているようなことはないのでしょうか。

 線路を勝手に作って、何も考えずにそこに乗って走れと言われても、どんな環境の経路をたどり、その行く先がぼんやりとしていれば不安を感じ、おいそれとそれに乗ることはできないのでしょう。その上、来年度には増税があるかもしれないと思えばなおさらです。

 

「参考文書」

岸田首相 “物価上昇率超える賃上げの実現を” 年頭記者会見 | NHK | 物価高騰