緊急事態宣言が発令中の愛知県で、日本最大級のヒップホップのビーチ野外フェス「NAMIMONOGATARI(波物語)2021」が開催され、8000人を集め、観客がステージ前に押し寄せ、マスクを外し、歓声を上げていたそうです。また、その会場では酒類も提供されていたといい、問題になっています。
「愛知密フェス」主催者がサイトにおわび 知事は「連絡取れない」 | 毎日新聞
愛知県は主催者である「office keef(オフィスキーフ株式会社)」を非難し、オフィスキーフは、謝罪文を公表、言い訳を述べ、弁明しています。
君子は諸れを己に求む、小人は諸れを人に求む
論語「衛霊公第十五」21にある言葉で、「君子は何事も自己の責任に帰し、小人は責任を他人に求める」との意味です。
フェス主催者は、「今回の出演者はイベント制作には一切関係ありません。全て制作会社の弊社に責任があります事、よろしくお願い申し上げます」と、出演者には一定の配慮はしているようですが、謝罪文に記した顛末には県に相談し、コロナ対策を行ってきたとあり、また、当日も注意喚起としたと言い訳しています。
「小人の過つや、必ず文(かざ)る」(「子張第十九」8)
「小人 知識人は過失があると、必ず言い訳をする」。
その過程は重要ですが、結果で評価されてしまうのも常です。言い訳したところで、その過去を取り返すことができません。
言い訳すれば、許されるような悪習だけが残るのではないでしょうか。
善い行いも悪い行いも、未来の人間に影響します
「模範的なお手本を示しておくことが重要なのです」
とサミュエル・スマイルズは「セルフヘルプ(自助論)」で説いています。
人間は、これまでの過去の文化によって作られ、育てられている果実です。
今生きている世代の人間は、今までの蓄積されてきた行いと実例の滔々たる流れを引き継いで、遠い過去と遥か先の未来を結びつけるという役割を担っています。どんな人の行いも、完全に死んでしまうことはありません。 (引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P164)
さらに、「肉体は土に還っても、その人の善い行い、あるいは悪い行いは、同種の果実をいつまでも実らせ続け、未来永劫、来るべき世代の人間に影響をおぼ良し続けます」と、スマイルズはいいます。
「人間が生きる上での大きな危険と責任は、このような重大な事実にあるということを、忘れないようにしなければなりません」
「どんなちっぽけなことでも、周りの他人の人生に知らぬまに影響するのです」
「人間の言葉一つ、行動ひとつをとっても、それが延々と影響を及ぼし、それがどこまで伝わっていくのかを想像もつかないのだと思うと、厳粛で、そら恐ろしい気持ちになります」とスマイルズはいいます。
共同通信によると、大村知事は「自分たちのやりたいことだけやって後の対処を一切しないというのは大変残念だ」と批判したといいます。また、経済産業省はイベントに補助金交付が決まっていたと明らかにした上で、取り消しの可能性があるとしているそうです。
汚点とならぬよう、また禍根を残さないような厳粛な処置が求められます。