「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【時なるかな、時なるかな】予約不要のワクチン接種会場に群居する若者、コロナ対策は何処へ

 

 渋谷の予約不要のワクチン接種会場に多くの若者たちが集まったといいます。目に余る混乱ぶりです。

 読み違いがあったのでしょうか。こんなに大勢が集まると想像すらできなかったのでしょうか。それまでは、若者はワクチンを打ちたがらないといわれていました。その情報は何をもとにしていたのでしょうか。それとも情報がアップデートされずにいたのでしょうか。

色斯(しきし)として挙(あが)り、翔(かけ)りて後に集まる

 論語「郷党第十」21にある言葉で、「時宜を知る」雌雉を褒める孔子と弟子の子路のやり取りを記したものです。

「色斯(しきし)として挙(あが)り、翔(かけ)りて後に集まる。曰わく、山梁(さんりょう)の雌雉(しち)、時なるかな、時なるかな、と。

子路(しろ)之に共(きょう)す。三嗅(さんきゅう)して作(た)つ」。

 

「雌の雉(きじ)は、驚くと飛び去り、上昇して何度も飛び回り、様子をうかがって安心と見ると、そのあと静かに降りてくる。それを見ていた孔子はこういった。

「丸木橋にいた、あの雉は時宜を心得ている。時だな、時だな」と。

 すると子路は、その雌雉を捕えようと餌を与えた。その雌雉は何度も匂いを嗅いだあと飛び立った」との意味です。

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 この章に登場する雌雉が渋谷に集まる若者たちに思えます。人も雌雉も、その心理は同じなのかもしれません。若者に限定することもないのでしょう。

 人の心を憶測し、対策を講じることは難しいのかもしれません。要らぬ余念を排除し、顕在化した事象から対策することができれば、有効な策とすることができるのではないでしょうか。行き当たりの対応だけではなく、並行してコロナ対策を見直す機会なのかもしれません。

 

自分のことを知れば知るほど、人は謙虚になる

「人間として大きく成長し、社会の役に立つ仕事をたくさんし、人間としての義務を十分に果たした人生こそが、成功した人生なのです」とサミュエル・スマイルズは「セルフヘルプ(自助論)」で説きます。

 働く人たちがこうした精神を養っていれば、このコロナ対策も混乱することはないのかもしれません。

人生でもっとも重要な目的とは、自分の中の人間を鍛え、肉体と精神を、頭脳を、良心を、思いやりを、そして魂を、できる限り大きく発達させることです。これこそが最終目的です。その他のことは、すべてそれを達成するための手段とみなさねばなりません。(引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P132)

  また、スマイルズは若者に対してはこういいます。

若者は自分自身をよく研究し、自分自身の行動をよく観察し、自分の考えや行動を、自分が立てた原則と照らし合わせようとしなければなりません。自分のことを知れば知るほど、人は謙虚になります。そして、自分自身の力を過信しなくなるでしょう」。

将来のより高い目標を見据えて、現在の小さな満足を退けることによって、一本の太い人間の芯ができます。これこそが、もっとも価値あるものです。そして自己教育のもっと高貴な成果といえます。(引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P128)

 コロナウイルスも自ら生き延びようと変異を繰り返し、より強靭になるようです。そんなウイルスに打ち勝つにはどうすればいいのでしょうか。

 人が唯一できることは思考を改めてたり、行動習慣を変えることはないでしょうか。

 変わるウイルスに臨機応変に対応できなければ、感染リスクは高まるばかりです。自己防衛本能が作動し、ウイルス同様、自衛しようと意識を働かせることは自然なことではないでしょうか。そうした人間の自然な心理を上手に取り入れた対策が必要になっていそうです。

 この禍は、自らの精神を鍛え直す機会であるのかもしれません。