民泊仲介大手の米エアビーアンドビーが、アフガニスタンからの難民2万人に無料で滞在先を提供すると表明したといいます。
CNNによれば、ブライアン・チェスキーCEOは、「ただちに受け入れを開始する」と発表、アフガンを追われて米国などへ流れ込む難民は「私たちの時代で最大の人道危機のひとつ」との見方を示し、「立ち向かう責任を感じる」と述べたといいます。
難民の滞在費は同社が負担する。非政府組織(NGO)や、被災者らに滞在先を提供している同社設立の非営利団体「Airbnb.org」と緊密に連携して進めるという。 (出所:CNN)
その素早い行動に驚きます。なずAirBnBはこうした行動をするのでしょうか。
倹約できる人は、他人を助けることもできる人
「そこそこの資力のあるきちんとした人は、いつも他人を助けるためのお金をポケットに残しています」。「稼いだお金を全部使ってしまう不注意な放蕩者には他人を助ける機会などおとずれないでしょう」、とサミュエル・スマイルズは「セルフヘルプ(自助論)」で説きます。
さらに日々の生活でも仕事でも、広い心をもってあたらないことには、すぐ鼻先のことしか見えず、成功しません。けちな了見では大成できず、正直ばかりでなく、気前のよさも最良の策なのですといいます。
正しく稼いだお金は、辛抱強いたゆまぬ努力と、誘惑の撃退、報われた希望を表す勲章です。正しく使ったお金は、深い思慮、先見の明、自己の抑制をあらわす象徴です。 (引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P120)
また、独立独歩でいようと思うなら、なすべきことは簡単で、倹約に努めることだとスマイルズはいいます。倹約するには、人並外れた勇気や美徳が必要というわけでもなく、ごく平凡な能力があれば可能なことだといいます。
「倹約とは、基本的には、秩序の精神を家庭生活の組み立てに応用したものに他なりません」。
AirBnBの行動もこうしたことで説明がつくのでしょうか。究極的には独立独歩の象徴ともいえるのでしょうか。
約を以て之を失う者は、鮮(すく)なし
論語「里仁第四」23にある言葉です。
「約(つま)しい」という言葉があるように、「約」にはひかえめにするという意味もあります。
何事においても、「節約」「倹約」、ひかえめにすれば失うことはないということなのでしょうか。
君子は人の美を成す。人の悪を成さず
「顔淵第十二」16にある言葉で、「君子 教養人は人の美点や長所を見つけ出し、それを助けて大成させるものだ」ということで、人の欠点や弱点を暴いたり、悪い行いに手を貸すことがないよう戒めているといわれます。
元来、人は他者を手助けしたいとの気持ちをもっているものといいます。その心音に気づくことができるのが君子ということなのかもしれません。
CNNよると、チェスキーCEOはビジネス界もこれに続くべきだと主張し、「ほかのビジネスリーダーが行動を起こすきっかけになるよう願っている。もたもたしている時間はない」と訴えているそうです。
局量の狭い者に限って、人の美を成すを喜ばぬ。人を褒ほめれば自分の器量が下るとでも思うのか、人の為した事には必ず非難(けち)を附けたがる (二葉亭四迷)
ついついそうありがちなような気がします。講釈を述べ何もせずに狭量というレッテルを貼られるよりは、ごく普通に、人道に配慮することを習慣にできればいいのかもしれません。