「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

多様性の矛盾なのか、もっと個性が評価されていいはずなのに

 

「多様性のある社会で、お金の価値がやけに高くなる理由」、深津さんが書かれたnoteの記事が気になります。

社会が多様化(or 分断化)するほど、「ブレない共通言語」として機能する「数値」の役割は、ますます重要になります」といいます。

多様性社会のパラドックス

 また、「あなたにとって命をかけられるモノが、多様な人々にはまったく価値のないことも多々ある。それが多様性社会の宿命です」といいます。

note.com

あなたの「特別な何か」は、社会全体の多様な人々にとっては「否定しないけど、お金を払う価値ほど興味がない」ものです。逆にあなたの価値観と関係なく、多様な人々に刺さるモノ(メジャーなもの)は、天井知らずの価値がつきます。

あなたが命をかけたものが、他の人にとってはそこまで大事でない。ちょっと凡庸でも、大衆に届くメジャーで分かりやすい作品に天井知らずの価値がつく。(引用:note 深津貴之)

 

 全てがお金に換算される社会では、誰もがこの現実をつきつけられると深津さんはいいます。

「お金はメジャーな評価指標なのに、お金でしっかり評価されるモノやコトやヒトは、マイノリティなんです。これが、多様性社会においてお金が嫌われる最大の理由」といいます。

多様性社会の全体評価に乗っかる限り、残念ながらほとんどの人の「特別」や「大切」には値段がつきません(自分とは価値観が違う人が多いから)。

自分は社会から、それほど評価されない。 (引用:note 深津貴之)

 さらに、「多様で流動性のある社会において、絶対的な価値指標を作ってしまえば、大半の人々の営みは絶対価値指標の高い場所に集中してしまうでしょう。結果的に、多様性は破壊されてしまう」といいます。

 そうなのかもしれません。「数値」や「金銭」ばかりに囚われることなく、もう少しを大切にすべきではないのでしょうか。

上流でありたいという、「見栄」

「上流でありたいというおそろしい野心が、世間に広まっています」と、サミュエル・スマイルズは「セルフヘルプ(自助論)」で説きます。

 見かけ上の体面を保つため、不正直な手段に出てしまうことすらよくありますといいます。

 その理由には、虚妄に過ぎない上流社会の人間であろうという見栄を満足させたいがためといいます。 

「我々の社会という闘技場には、最前列に立たなければというプレッシャが瀰漫(びまん)し、絶えず闘争が繰り広げられています」

 そんななかに巻き込まれると、無私無欲な人間になろうという気高い決心は踏みつぶされ、善良な良い人間は押しつぶされるのは必然の成り行きです。そして、たとえ見掛け倒しでも、ぎらぎらと輝く世間的な成功を見せつけて他人をまぶしがらせてやろうという野心をもつ輩のせいで、どれほどの不毛な努力と破滅がもたらされてきたか、今さら申し上げるまでもないでしょう。 

(引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P126)

 

 「どうやってお金を儲けるか?」

 この偉大な秘密を大衆に伝えるために、通俗書が山ほど出版されているとスマイルズは指摘し、そこには何も秘密はないのですといいます。人間古来の経験と知恵をあらわした「ことわざ」で十分といいます。

「勤勉は幸運の母だ」「労苦無くして儲けなし」「働けよ、さすれば持てる者とならん」.....

スキ数はあってもよい、でもスキ数による絶対ランキングは作らない

そういうバランス感覚が大事かと思います。共通価値に対する調整こそが、多様性社会では重要なのでしょう。(引用:note 深津貴之)

 スマイルズの時代とは異なり、現在は容易に「数値」で自己の評価を得やすくなっているのかもしれません。

友、遠方より来たる

「有朋遠方より来たる、亦た楽しからず乎。人知らずして慍らず(いからず)、亦た君子ならず乎」との言葉で論語ははじまります(「学而第一」1)。

「友人が遠方からわざわざ私のために訪ねてきてくれることは、なんと嬉しいことでではないか。他人が自分を認めてくれないからといって不平不満を言うことはありません。なんと徳のある人ではないか」との意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

  俗に言うインフルエンサーをまねてフォロワー数を競っても意味がないということなのでしょう。それでは独創性も個性もありません。多様性が認められる社会になったのだから、「数値」にこだわるよりも、まずは自分を磨き、独創性を育んだ方がよいのかもしれません。自分も多様性ある社会の構成員なのですから。

学んで時に之を習う、また説(よろこ)ばしからず乎(や)。有朋遠方より来たる、また楽しからず乎。人知らずして慍らず(いからず)、また君子ならず乎」。

 名利はあとから時間をかけてついてくるのでしょう。

 こればかりはテクノロジーが進歩しても、昔も今も変わりがなそうです。