「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

光輝くパラアスリートたち、努力の天才なのか、それとも不屈の賢者なのか ~セルフヘルプと論語 #9

 

 パラアスリートたちの活躍が続いています。ボッチャの杉村選手が金メダルを獲得し、ゴールボール女子、車いすバスケ男子がそれぞれ準決勝進出を決めました。

 使える能力を最大限に活用するアスリートたちの姿に感動します。

 目隠しして競技するゴールボール選手たちの鋭敏な感覚には驚かずにはいらません。畏怖の念を抱きます。

 一般的に、情報の7割は視覚から入力されるといいます。それが遮断されているにもかかわらず、飛んでくるボールをキャッチし、今度はゴールを狙って、ボールを投じる。どんなことをイメージ、想像しているのでしょうか。そのイメージのためには、事前の入力が欠かせなかったはずです。コートやゴールの大きさを体得、理解してはじめて、ゴールを際どいコースに決めることができるのでしょうか。

 昨日の萩原選手の活躍にほんとうに驚きました。

 

天は自ら助くる者を助く

「自尊心、自助の精神、持続力、勤勉、誠実――どの徳目をとってもそれは習慣であり、信念ではありません」とサミュエル・スマイルズは「セルフヘルプ(自助論)」でいっています。

「自助」、自分で自分を助けようという精神は、人が真に成長するための根本といいます。

すべてを失っても、勇気と快活さと希望と美徳と自尊心が残っていれば、ゆたかです。そのような人にとって、世界はいわば依託された財産のようなものです。つまらない心配ごとは超越して、紳士として胸を張って歩くのです。

(引用:大人の気骨 サミュエル・スマイルズ 編訳:山本史郎 P186)

 

論語の教え

「性 相(あい)近し。習い相遠し。子曰わく、唯(ただ)上知(じょうち)と下愚(げぐ)とは、移らず」と、「陽貨第十七」2にあります。

「人は先天的に差はない。後天的に差が生まれてくるのだ」、「天才と凡才とは、どのようにしてもその差は埋められない」との意味です。

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 賢明な人は、境遇や環境に左右され堕落することがなく、一方、愚かな者は、どんなに良い境遇や環境のもとにおかれても賢者にはなれない。

上知と下愚とは、移らず

 加地伸行は「上知」を天才と解し、「下愚」を凡才と解します。

「天才」とはどんな境遇にあっても学習を続けることのできる人と言えるのでしょうか。

 ボッチャの杉村選手が「自分としては、障がい者がすごいプレーをしているとあまり見てもらいたくなくて。1人のアスリートとして、すごいなって感じてもらえたら。未来の『火ノ玉』選手の活躍につながるようなきっかけになれば」と話されたといいます。

人は先天的に差はない。後天的に差が生まれてくるのだ」といった孔子の言葉が重く圧し掛かってきます。