子曰わく、約を以て之を失う者は、鮮(すく)なし。(「里仁第四」23)
(解説)
「貧困(約)ならば、それ以上、もう失うものはない。」(論語 加地伸行)
あの偉大な16代米大統領エイブラハム・リンカーンは、大統領になる前に破産していた。
どん底の苦境に陥る。そんな経験をすることがひとつの契機になるのだろうか。
自己破産などを経験しながら、そこから立ち上がり成功した人が大勢いる。
エイブラハム・リンカーン——商売には向いていなかった大統領
第16代目米国大統領も破産経験者だ。1823年、友人とともにイリノイ州で雑貨店を始めたものの、売上が伸びず頭をかかえていた。さらに運の悪いことに共同経営者だった友人が他界。膨れあがった負債(1000ドル=約3万ドル)をひとりで返済する羽目におちいった。
負債は免除されなかったものの、破産宣告によって返済の整理が許可されたことが経済的再生につながった。1840年代にようやく負債を全額返済し、1861年米国大統領となったリンカーン氏は(USリーガル )、「失敗自体は大したことではない、そこから立ち上がることが重要だ(Good Readsより )」との名言を残している。
「約を以て之を失う者は、鮮なし」
「 失敗自体は大したことではない、そこから立ち上がることが重要だ」
「倹約」「節約」「約(つま)しい」などのことばがあるように、「約」にはひかえめにするという意味もある。
何事においても、「節約」「倹約」の精神を以てすれば失うことはないとも読める。
(参考文献)