周公 魯公に謂(い)いて曰わく、君子は其の親(しん)を施(す)てず。大臣をして以(もち)いられざるに怨み使(し)めず。故旧(こきゅう) 大故(たいこ)無ければ、則ち棄(す)てざるなり。備わらんことを一人に求むる無かれ、と。(「微子第十八」10)
(解説)
「周公は魯の国君にこう教えられた。「有徳の君主は、親族を忘れるな。大官に対しては、自分は用いられていないと恨ましめるようなことがあってはならない。昔からの知人は大罪を犯していなければ、見棄てない。一人に対しては完全無欠を求めるな」と」。(論語 加地伸行)
親が任地に赴く子に授けたシンプルな言葉なのであろう。
「家族を大切にする」「部下に配慮する」「友人を見捨てることはしない」「他人に完全を求めず、その才、優れていることを見つける」
「故旧」、「昔から」の意。「大故」の故には事故があり、悪逆の意味があるという。
「周公」、魯国の開祖、周公旦(しゅうこうたん)のこと。殷王朝を倒した武王の弟。山東半島の曲阜に封じられて魯公となるが、その地の支配を嫡子の伯禽に委ねた。
周公旦は、周王朝の礼制を定めたとされ、礼学の基礎を築き、周代の儀式・儀礼について『周礼』『儀礼』を著したといわれる(参考:Wikipedia)。その時代から約500年後に生まれた孔子は、周公旦を理想の聖人とし崇め、最も尊敬した一人とした。
「魯公」、初代君主伯禽のこと。父は周公旦。 姓は姫、名が伯禽。
「関連文書」
(参考文献)