「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【貧にして怨む無きは、難し。富みて驕る無きは、易し】 Vol.344

 

子曰わく、貧にして怨む無きは、難(かた)し。富みて驕(おご)る無きは、易し。(「憲問第十四」10)

 

  (解説)

孔子の教え。「生活が苦しいとき、運命や社会を恨まないでいるのは難しい。しかし、金持ちだと、驕り高ぶることを抑えるのは、容易い」。論語 加地伸行

 

「学而第一」15の孔子と子貢の問答にこうある。 

「子貢曰わく、貧にして諂うこと無く、富みて驕ること無くんば、如何、と。子曰わく、可なり。未だ貧にして楽しみ、富みて礼を好む者には若(し)かざるなり」と、

dsupplying.hatenadiary.jp

 

「諂」、へつらうとする解釈のほか、貧しさゆえに規範を守らないという解釈もあるという。正しくないこと、不義。

「驕」、もとは馬の背の高いことで、高所から見下ろす感じ。

「楽」、「楽道」(道を楽しむ)となっていたものもあったので、「楽」「好礼」はともに精神の向上と加地は解説した。


 他方、「泰伯第八」11では、「周公の才の美 有るとも、使し驕り且つ吝めば、其の余は観るに足らざるのみ」といい、才能があっても、人柄が高慢であったり、吝嗇であるなら、その人について他に詳しく見る必要はないと、「驕り」「吝嗇」を批判する。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

「公冶長第五」23では、伯夷、叔斉の「怨み」の少なさを紹介した。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

 この両名の顛末を見ると、「怨み」について考えさせられる。

 

 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫