子曰わく、先進の礼楽に於けるは、野人なり。後進の礼楽に於けるは、君子なり。如(も)し之を用いなば、則ち吾は先進に従わん。(「先進第十一」1)
(解説)
「孔子の教え。周王朝のはじめの頃の人たちの礼楽のあり方は、素朴であった。後世の人たちのそれは、華やかで整っている。もし礼楽を用いるとあらば、私は素朴なありかたに立ってみよう。」(論語 加地伸行)
「先進」は先輩、「後進」は後輩。よって、先進は周王朝の始めの頃のこと。「後進」は現在。「野人」は未完成のさまで、「君子」は完成されたさま。
質(野人)が文(君子・はなやか)になってゆくのは時の流れとして普通のことであり、孔子は整美を否定しているのではなく、初心の質朴さ(飾りけがなく純真・素直なこと)を忘れるなとしていると加地は解説する。
原点回帰とかシンプルな見方などは、孔子のこうした考え方に倣っているのだろうか。
(参考文献)