「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

消えたプッチンプリン、恐れていた「2025年の崖」なのか、迫られている問題解決

 プッチンプリンの出荷が止まったと話題になっているようです。江崎グリコの物流センターで発生したシステム障害が原因といいます。経済産業省が危惧していた「2025年の崖」が現実化したということなのでしょうか。

プッチンプリン出荷停止 江崎グリコ、基幹システム更新に「2025年の崖」 - 日本経済新聞 

「2025年の崖」、基幹系システムなどを担うIT人材が不足し、システムの刷新を担う人がいなくなることで、レガシーシステムを使い続けることになる問題です。

 江崎グリコERP 基幹システムの切り替えに300億円以上を投じ、2019年12月から進めてきたそうです。独SAPの「SAP S/4HANA」へ切り替るこのプロジェクトは目論見通りに進まず、費用の膨張と延期に見舞われ、今回のトラブルになったようです。出荷再開はいつになるのでしょうか。気になるテーマです。DXがさかんに説かれていますが、同じような問題が他の企業も起きないかと心配になる案件です。

 

 

円安、節目の155円突破

 円安が止まりません。政府の口先介入や尽力を嘲るかのように、節目の155円を突破してしまいました。

 そんな中、日銀の金融政策決定会合が明日までの日程で開催されます。今回は追加利上げもなく現状維持となるのではないかといわれますが、この時勢で植田総裁が何を発言するかに関心が集まります。

日銀は金融政策維持との見方、タカ派的発信あるか注視-根強い円安で - Bloomberg

 追加利上げは9月がメインシナリオのようですが、6-7月への前倒しとなるリスクが高まりつつあるといいます。円安が進めば、輸入インフレ・ショックは続き、物価上昇に影響を与えることになります。植田総裁は無視できない大きさの影響が発生した場合は、金融政策の変更もあり得ると述べていました。企業活動、日常生活にも影響するだけに、これもまた気になるテーマです。

円安の慢性化

 慢性化する円安がもたらすデメリットを気にする声が聞こえてくるようになりました。

 円安は輸出企業にプラスといわれていますが、さすがに度を過ぎれば、あぶく銭的な利益増よりも次第にコスト増が重くなるのかもしれません。

JAL新社長、止まらない円安に懸念-1ドル130円ぐらいが望ましい - Bloomberg

 そればかりでなく、円安に輸入インフレで物価高も慢性化するようになれば、消費者にとってもデメリットです。

 

 

追加利上げに懸念を示す自民党

 日銀がいつ追加利上げに動くかに注目されていますが、早くも自民党内から「ありえない」と不快感を示す声が上がっているそうです。解散総選挙が取り沙汰され、国民生活に不安を与えかねない材料を可能な限り排除したいとの思惑が背景にはあるのではないかといいます。

自民党内に日銀の追加利上げは時期尚早との声-年内は困難との見方も - Bloomberg

利上げの是非について聞いた同党議員10人は、住宅ローン金利の引き上げなどを通じて国民生活に直接的な影響が出てくるため時期尚早との懸念を表明。うち6人は政治資金問題に対する選挙区での風当たりは強く、解散・総選挙前に金利が上昇すれば自民党が歴史的な大敗を喫する可能性もあると指摘した。(出所:ブルームバーグ

 選挙ばかりに目が奪われ、目先のことしか考えることができないのでしょうか。物価高騰の慢性化とそれによる実質賃金の改善の遅れなどについては気にならないのでしょうか。こういう風潮も、亡国の政策と揶揄される「アベノミクス」「異次元緩和」の後遺症のように感じます。

 何だか複雑になった連立方程式を解かないと、日本の経済が健全化することはなさそうです。根深い問題だとつくづく感じます。気になるテーマです。

 

 

明るい未来は何処に

 このまま「失われた30年」の状態が続くと、2040年ごろには新興国に追いつかれるという見通しを経済産業省が明らかにしたそうです。思い切って投資しないと、国が貧しくなって技術の発展も遅れ、世界と勝負できなくなるおそれがあるそうです。

2040年「日本は新興国並み」経産省見通し、失われた30年続けば:朝日新聞デジタル

経産省は日本経済が停滞した理由として、企業が安いコストを求めて生産拠点を海外に移し、国内での投資を控えていたと指摘。このままでは賃金も伸び悩み、国内総生産GDP)も成長しないとみる。今後、GDPで世界5位に後退するとの試算もある。(出所:朝日新聞

 改革、変革が求めていそうですが、政府自民党、それにべったりの企業が呼応することはあるのでしょうか。マインドセットを変え、ピボットが求められているのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

君子は食に飽くるを求むることなく、居(お)るに安きを求むること無し。事に敏に、言に慎み、有道に就きて正す。を好むと謂う可(べ)きのみ。 (「学而第一」14)

 君子 教養人はたらふくものを食べ、豪華で心地よい邸宅に住んでみたいなどとは思わない。公の仕事に努めなければならない。行動は敏捷で仕事はすばやくこなす。しかし、発言は慎重で出しゃばらない。もし意見があれば、まずは優れた人格者を訪れ、自分の言動について批判を乞うて自ら正すようにする。こういう人こそ好学の士と言うのだと、孔子はいいました。

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 孔子には、特権者たちの虚飾やぜいたくに対する強い倫理的反感があったそうです。当時の一般市民の生活は貧寒なもので、それに対して特権階級が暴飲暴食に走るようなことはもってのほかといわざるを得なかったのでしょう。

 経済産業省が危惧する 「2040年 日本は新興国並み」という見通しがこのままでは現実化そうです。ほんとうに様々なことを変え、急ぎ問題解決を進めていく必要がありそうです。しかし、相変わらず政治家たちは口ばかり達者なだけで、知的生産性は乏しく、必要な改革を俊敏に進める能力はなさそうです。ほんとうに崖が迫ってきていそうな気がします。

 

「参考文書」

稼働が1年超遅れたグリコの基幹システム刷新、投資額は当初比1.6倍の342億円に | 日経クロステック(xTECH)

円安好き日本株の変節、慢性化でデメリット警戒-コスト増す内需打撃 - Bloomberg

コラム:リスクは再び円安へ、ドル売り協調介入はあるか=内田稔氏 | ロイター

街の書店減少を危惧する経産相と政治改革を拒む自民党

「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」という書店振興を考える議連が自民党内にあるそうです。この議連の幹事長を務める斎藤経産相が、東京都港区の書店を訪れ、書店経営者ら6人と意見交換したといいます。

減少する街の書店、どう救う? 経産省が専門チーム発足 フランスでは「反アマゾン法」も… 23日は本を贈り合う日:東京新聞 TOKYO Web

「リアルなコンテンツとして非常に重要なものが日本列島上からどんどんなくなっていく、いかがなものかという思いがもともとあった」、斎藤経産相はプロジェクトチームを立ち上げた理由をそう語ったといいます。

 

 

「ネット書店による送料無料化や過剰なポイント付与という実質値引き等により、書店は不公正な競争環境にさらされている」と議連の提言書にあるそうです。書店減少の背景に、ネット通販の影響を挙げているといいます。

「子供からお年寄りまで様々な地域コミュニティの方が気軽にコンテンツに入れることができる場所。書店の機能は、将来の文化産業を考える上でもすごく重要」と経産省の担当者も話しているといいます。

公正取引委員会も、書店議連の提言を受け、ネット書店による送料無料について、書店や出版業界にヒアリングを始めている。今後はネット書店の事業者にもヒアリングを行い、実態把握に努めるという。(出所:東京新聞

 

 

 アルゴリズムによって制御された情報が溢れるネット社会、過度な「レコメンデーションシステム」、「エコーチェンバー」や「フィルターバブル」などの問題も指摘されるようになっています。こんなシステムに依存するようになると世の中の見方がゆがむという専門家もいます。

 ポイント経済圏における過度な囲い込み競争もデジタル社会の弊害に思えたりします。ポイントに縛られて、ときに選択の自由が奪われているのではないかと感じることもあったりします。

 街の書店では、好む好まざるにかかわらず、一度に溢れるばかりの情報が目に入ります。売れ筋の本のタイトル、雑誌表紙を飾る文字などから何となく世の中の動きを察知することも出来たりします。それはリアルな新聞紙面も同じです。

 何か弊害が見え始めているのであれば、その次を妄想し議論がってもいいのかもしれません。

「書店議連」、自民党らしからぬ活動にも見えます。期待してもよいものかと思案しますが、ポストデジタル社会を議論してみてもよさそうです。

 

 

論語に学ぶ

季氏 周公より富む。而(しか)るに求や之が為めに聚斂(しゅうれん)して之に附益(ふえき)す。子曰わく、吾が徒に非(あら)ず。小子(しょうし)鼓を鳴らして之を攻むるも、可なり。(「先進第十一」17)

 魯の国の実力者季氏は君主周公よりも豊かであった。にもかかわらず、冉求は季氏のために税を多く取り立て、季氏をさらに富ませていた。孔子は「もはや私の仲間ではない。弟子たちよ、まっこうからその罪を声(な)らして攻めてよいぞ」といいました。

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 冉求は孔門十哲のひとりで、才芸に秀で政治の才もあったといわれる人物です。ただ必ずしも善き政治を行ったとは言い難いところもあったようです。

 その政治の才が活かされるのは、ときの環境次第ということなのかと思ったりします。

進まない政治改革

 政治改革が進みそうにありません。改革が機運が高まる中、依然、阻む力も存在しているようです。

「岸田首相に政治改革の覚悟はあるのか」公明もイラつくやる気のなさ あれもこれも「議論する」止まり:東京新聞 TOKYO Web

 首相、自民党だけではなく、経団連も抵抗しているようです。

「政治にはお金がかかる。透明性を高め、ルールを守るという実効性を伴った制度にするかを与野党で議論すべきだ」、経団連の十倉会長は企業献金廃止に反対の考えを表明したといいます。

経団連・十倉雅和会長「ナンボでも政治献金することはない」けれど…メザシの土光さんの「廃止」論に同調せず:東京新聞 TOKYO Web

 かつて、経団連は政治改革を促すときもあったそうです。そのとき会長を務めた土光氏は、政治にはお金がかかるが、金をかけすぎると民主主義を破壊すると語って、「企業は政治献金をすべきではない」として経団連が政治献金に関与しないよう政治改革に全力で取り組んだそうです。

 

 

膨張する世界の軍事費

 世界の軍事費が膨張しているようです。昨年2023年は前年比で実質6.8%増の総額2兆4430億ドル(約378兆円)で、過去最高を更新したそうです。

世界の軍事費、過去最高 安保環境悪化で前年比7%増―国際平和研:時事ドットコム

 世界各地で紛争がおこり、安全保障環境が悪化していることが影響しているといいます。ウクライナ問題を抱える欧州での伸びが突出しているようですが、日本の防衛費の伸びは、中国や緊張が続く中東地域全体での伸び9%を上回って、11%になっているそうです。

 国際情勢を無視することはできないにしても、それを是とすれば、岸田政権は力を発揮しているのかもしれません。ただそれでほんとうに良いのかといえば違うような気もします。

 国内に目を転じれば、裏金事件をはじめ山積みの問題の解決が一向に進みません。どちらを優先するのかということなのかもしれませんが、別なリーダーが求められていそうです。

 政治のニュースが飛び交い、選挙が関心事になったりして盛り上がっているようです。悪いことではないのでしょうが、これが良い社会なのかといえば、ちょっと違うような気もします。それでもそれに近づけていくための政治改革でもあるのでしょう。

 

「参考文書」

本棚が開くドア - ブクログの原点と20年|家入 一真

 

【物流2024年問題】進まない働き方改革、生み出される違法状態

 物流の2024年問題、トラック運転手の「働き方改革」が4月1日から始まりましたが、なかなか思うように改革が進んでいないのでしょうか。「運転手に『ただ働き』を押しつける商習慣が変わっていないのに、改革なんて無理」との声が現場から上がっているといいます。

「死ぬぎりぎりまで働けってことですか」トラック運転手の働き方改革、国の主導で実現できる? 長時間労働+ただ働き…どうなる物流の2024年問題 | 47NEWS

立場の弱い下請けで働く運転手は、たとえ過積載や労働災害隠しなどに加担させられても声を上げられない。だから違法状態がまかり通っている。(出所: 47NEWS)

 

 

「運転手の働き方改革は、本当に実現するのだろうか」。

 物流問題として取り組み企業がある一方で、その広がりは進まず、実態が変わっていないということでしょうか。

 国の主導で始まった「働き方改革」も掛け声ばかりなのかもしれません。脱法行為に甘く、改革の進展を望まない政府自民党と同じ類いの問題のようにも見えてしまいます。

「運転手は法律に明記されたことをしっかり主張してほしい。荷主側は、今のままのほうが利益になることがはっきりしている。それを変えるだけの圧力を国がかけられるのかという、ある意味単純な話でもある」と、労働問題に詳しいNPO法人代表理事が話しているそうです。

 改革を進めるのですから、当事者がその進める方法を知るべきなのでしょうし、なぜ改革をするのか、その本質を理解しなければならないはずです。

 補助金がばらまかれ官民連携が進み華やぐ産業がある一方で、こういう過酷な労働現場、弱い立場にある者たちはおざなりにされてしまう。今の政治の問題ではないでしょうか。

論語に学ぶ

哀公問うて曰わく、何を為せば則ち民服せん、と。孔子対(こた)えて曰わく、直きを挙げて諸を枉(まが)れるに錯(お)けば、則ち民服す。枉れるを挙げて諸を直きに錯けば、則ち民服せず、と。(「為政第二」19)

 魯の国の年若く無力な君主哀公が「どうすれば、人民は心服するであろうか」と質問しまた。孔子は「直」、正しい人間を抜擢して、「枉」、真直ぐでなく曲がった正しくない者の上に置くならば、人民は心服する。逆に、不正な人物を抜擢して、これを正しい人間の上に置くならば、人民は決して心服することはないだろう」と答えました。

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 哀公が魯の国を統治していた頃の中国は、 民が各地で反乱が起こしていたそうです。それに怯えて哀公は質問したのではないかといわれます。正しい人間が不正な人間を感化することに期待するだけではなく、正しい人間を上に置くことで威圧感も醸しているといいます。孔子流リーダーシップ手法、マネジメント術というところでしょうか。

 

 

 物流の効率化は古くて新しい問題、いつの時代になっても問題として取り上げられます。ムダの固まりであると同時にゴールがないのかもしれません。あのアマゾンさえいまだにテクノジーを応用しサービス開発を続けたりしているのですから。

 ドライバーの働き方改革は新たな制約条件にすぎない、サプライチェーン全体の効率化、改革からみればそういえそうです。それぞれがそれぞれの立場で効率化を進めるようとすれば、「ドライバーの働き方改革」もおのずと進むはずなのですが。

 人とは安定を好み、変革は好まないものです。推進に協力する人よりは邪魔する人の方が多いのかもしれません。誰を推進者、リーダーに抜擢するかでその結果は大きく異なることになりそうです。

 

 

 アイリスオーヤマはは今も昔も生活用品を主戦場としています。収納家具や家電などユニークな生活用品をユニークな方法で販売し、「メーカーベンダー」という独特な立ち位置で、成熟し、競争が厳しいレッドオーシャンで、好業績を上げているといいます。

楠木建氏が解説 アイリスオーヤマの『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』 | 日経BOOKプラス

 アイリスはメーカーであると同時に問屋機能まで内部に抱えているそうです。ホームセンターのような小売業者に対して直接商品を納入し、売り場作りや販促まで自ら行っているといいます。

普通のメーカーであれば、工場から出荷した製品がどこにどのように流れているかは分かりません。しかし、メーカーベンダーであればいつどこで何が売れたかが分かります。データの裏付けをもって仮説を立て、商品を企画し、ユーザーからのフィードバックに基づいて改良することが可能になります。(出所:日経BOOKプラス)

 問屋を通さずに直接取引すれば中間マージンを排除でき、コスト削減が可能となります。アイリスの意図とは異なるのでしょうが、そうすることでモノの流れとデータ活用に道が開けます。それらを手に入れて分析、検討すれば物流の効率化のヒントを得ることはできそうです。

「物流の2024年問題」、「ドライバーの働き方改革」も視点を変えれば、そのヒントとなりそうなことは多々あるのではないでしょうか。

 物流、モノの流れは商流によって生じるのです。それをセットにして考えると色々な改革アイデアも浮かぶような気もします。そこにDX:デジタルトランスフォーメーション的な手法やソリューションを組み込み合わせてもいいのかもしれません。

 改革、変革もベストプラクティスを探し出し、それをまねてみて、うまくいかないと七転八倒、試行錯誤を繰り返し検討を続ける、そうすると独自性が生まれて、成果が上がるようになっていくのでしょう。口で言うほど実行することは簡単ではないですが、そういうもののような気がします。

 

「いのち輝く未来社会のデザイン」大阪・関西万博の現状、かすむ日本の未来

 変化の激しい時代といわれています。その変化に適宜適応できればいいのでしょうが、うまく適応できなければ問題が顕在化します。それが道理というものです。それにしても次から次へと問題が生じるものです。変化に適応しようにも誰かが足を引っ張り、邪魔をするからどんどん問題が積み上がるばかりです。

 

 

 万博問題もその一例といっていいのではないでしょうか。「いのち輝く未来社会のデザイン」、「未来社会の実験場」、「未来社会を共創」、明るく素敵な文言がならび、「未来社会を体験できる、わくわくするような万博の開催を実現していきます」と大阪府はいいます。「多様な価値観を踏まえた上での諸課題の解決策を提示する」のが万博ともいいます。

大阪・関西万博は、格差や対立の拡大といった新たな社会課題や、AIやバイオテクノロジー等の科学技術の発展、その結果としての長寿命化といった変化に直面する中で、参加者一人一人に対し、自らにとって「幸福な生き方とは何か」を正面から問う、初めての万博です。(出所:大阪府

様々な新しいテクノジーが紹介され、それによって未来を感じる場になるのかと期待したものですが、今ではこうしたコンセプトとは裏腹に、かさむコストに、遅れる開発と建設工事、国、大阪府大阪市、事業推進者の解決能力の低さが露呈しています。

見えぬ「目玉」パビリオン 空飛ぶクルマに不透明感も―大阪万博:時事ドットコム

「万博の華」とされる参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオン数が当初想定された60か国から40か国程度に減ることになりそうだといいます。また、パビリオンが建設されない土地は芝生の広場として活用することを検討しているそうです。

 それなりに理由はあるのでしょうが、有効な解決策がなくダラダラと進むしかない現実を知らされると残念に感じます。もっとできること、やれることがありそうな気がします。誰もイニシアティブをとろうとせず、誰も本気が解決しようとせず、誰も責任を取る気もなさそうです。日本の未来はこんなものなのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

苟(いやし)くも其の身を正しくせば、政に従うに於いて何か有らん。其の身を正しくする能(あた)わずして、人を正すを如何せん。(「子路第十三」13)

「自分自身を正しくしたならば、政治はたやすいものだ。自分自身を正しくすることができないで、人々をどのようにして正そうとするのか」と孔子はいいました。

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 首相を筆頭に、政府自民党の面々に知って欲しい言葉です。自ら律せず、政治改革を怠り、色々言い訳をこじつけては、何から何まで国民に押しつける、それが道理であろうはずもありません。

岸田さんは首相になってから(2022年に)パーティーを7回もやって1億何千万も集めているんですから。それで『パーティーではなく勉強会だ』と言ってるわけです。詭弁(きべん)ですよね。そういうことを首相自らがやって『いや、何も悪いことはしてないんだ』みたいなことを言うかと。他の人が守るわけがないですよ。自分たちがルールを守らないで、国民に『法律を守れ』とか『税金を払え』とかね、そんなこと言えた義理かと。それでは国民もついてくるはずがないです」....(中略).... もういいかげんパフォーマンスばかりの『総理ごっこ』はやめにして、真に日本の国益と将来を考えてもらいたいと思います。(出所:東京新聞

岸田首相に元側近も失望「そういう人。本当に人ごとだと思っている」 三ツ矢憲生氏が語る裏金事件と自民党:東京新聞 TOKYO Web

 このままではますます疲弊するばかりで、不満は募り、不安は解消されません。自分自身を正すことができない人たちがこの国のリーダー役を務めているようです。もうほんとうにうんざりです。

 

 

「参考文書」

「万博の華」のパビリオン、20か国減の40か国程度の見通し…返上の予定地は「芝生の広場」に : 読売新聞

 

選挙イヤー、増加しそうなフェイク、質の悪い自民党の開き直り

 選挙となれば、最新テクノロジーを使って人々を欺き、分断を煽る行為、工作があたり前になりつつあるのでしょうか。2016年の米大統領選でトランプ大統領が当選したのは、ロシアによる工作によるものといわれ、その事実が確認されています。

 ただ今年の米大統領選に向けて、その動きはまだ鈍いとマイクロソフトの脅威分析センターが公表したといいます。

ロシアが米大統領選に向けAIを使った「偽情報キャンペーン」開始か | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 急速に普及するAIを活用したディープフェイク動画の懸念もありますが、その試みは失敗に終わっているそうです。ただ単純なフェイクニュース記事で人々を騙す事例は増加しているといいます。テクノロジーの悪用、その卑怯な手法に辟易です。

 

 

 衆院補選や自民党総裁選を控える日本での状況は如何なのでしょうか。米国同様に知らず知らずのうちに影響を受けていたりするのでしょうか。何かあってもおかしくはなさそうです。ただそれ以前に、政治がみずから醜態をさらしているように見えます。

やるやる詐欺

 自民党は政治改革に及び腰となり、政治資金規正法の改正を骨抜きなものにしようとしているといいます。

自民派閥「偽装解散」指摘も 政治団体、事務所が存続:時事ドットコム

 そればかりではなく、解散するはずの派閥が存続している状態で、「偽装解散だ」との声も上がっているといいます。それぞれの派閥が懇親会や昼食会などの活動を続け、総裁選を見据え、従来の枠組みを維持して影響力を温存したいのではないかといいます。

 フェイクニュースよりも質が悪そうです。正々堂々と国民を欺いているのですから。自民党の閣僚経験者からも「やるやる詐欺」との声も上がっているそうです。

 

 

 こうした姿勢に野党から糾弾の声もあがっているようです。維新の馬場代表は「次の選挙で、自民には国民の鉄ついが下る」と断じ、勢い余ってなのか、立憲民主党にも非難の矛先が向いてしまうようです。

立憲民主党・泉健太氏「日本維新の会、焦りで乱暴に」 馬場伸幸氏の発言巡り - 日本経済新聞

「たたきつぶす必要がある」。言葉を乱暴しなくとも批判はできるはずです。過激になったり、攻撃的な態度で魅了しようとするのはいただけません。そんな言葉で選挙に勝とうするのはどうなのでしょうか。

論語に学ぶ

異端を攻(おさ)むるは、斯れ害あるのみ。(「為政第二」16)

  江戸期の荻生徂徠は、「異端」を「異心を抱く者」と解し、そういう者を急いで攻撃を加えることは、相手を激発することになるばかりで、害があると、孔子は諫めていると読んでいます。

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 選挙イヤーとなる今年は、日本ばかりでなく、世界のあちこちで同じように「異端」を攻撃するような言動が増えそうな気もします。中東でのいざこざも同様なことから生じているのかもしれません。好戦的な保守強硬派の主張が強すぎるようです。

 対立が生まれるのは相手を「異端」とみなしてはそれを排撃しようとするからなのでしょう。無理にひとつに揃えようとはせずに、利害が一致することを求め、その違いを徐々に整えていこうとすれば、いずれ調和も生まれることになるのではないでしょうか。

 

 

自覚の欠如

「過激ダンスショー事件」、自民党青年局が催した余興の対策が進んでいないようです。「自覚の欠如が大きな背景にあるのではないか」と新たに青年局長に就任した鈴木貴子議員は指摘したそうです。

「ダンサー事件」直撃、自民青年局の再生策 鈴木貴子局長に聞く【政界Web】:時事ドットコム

「未完成、青二才というところを強みにすべきだ。手綱を握ってくれている先輩がいるからこそ、われわれは突っ走ることができる」と鈴木新局長は語ったといいます。危うさを感じます。今の自民党を見れば、自覚のなさは先輩議員も同じではないでしょうか。みなが自覚もなく突っ走るから不祥事だらけになるのではないでしょうか。

 青年局といえば、歴代首相も局長を務め、そのポストは党内出世の登竜門といわれているそうです。よからぬことが伝統になっていそうです。

 しかし、いつまでこうした不祥事につき合わなければならないのでしょうか。ほんとうに嫌になります。議員自ら変わり、徳を高めて自覚を磨き、改革を推進しては、古ぼけた議員の影響力を排除していくのが筋のように思えます。

 

「参考文書」

規正法改正、自民及び腰 野党「統治機能喪失」:時事ドットコム

イラン、「平穏」強調 対イスラエル・米国で緊張望まず:時事ドットコム

 

中東情勢で揺れた株式市場、進まない緊張緩和

 中東情勢の緊迫化で日経平均株価が急落しました。米国市場は被害が限定的との報道も伝わり、何とか持ちこたえたようです。

【日本市況】日経平均1000円安、中東緊迫化でリスクオフ-金利が低下 - Bloomberg

 週明け、株式市場はどう動くことになるのでしょうか。

 

 

 イスラエル、イラン双方とも今のところなんとか踏みとどまっているようです。報復の応酬は避けられそうなのでしょうか。双方がこれ以上のエスカレーションを望んていないことを信じてみたいです。

 しかし、なぜに報復の応酬のようなことになってしまうのでしょうか。国際社会が自制を求めるにもかかわらず。

ネタニヤフ首相が、政治生命を引き延ばすため強硬策で賭けに出るリスクはくすぶる。(出所:日本経済新聞

 ここでも「保身」が優先されているようです。世界のどの国においても、このタイプの政治家ばかりということでしょうか。対立するような行為を慎み、平穏無事な世界を希求して欲しいものです。対立し争うことより、気候変動のような重大な問題を世界が協力して解決に向け歩めるようになることを願わずにはいられません。

論語に学ぶ

与(とも)に学ぶ可(べ)きも、未だ与に道に適(ゆ)く可からず。与に道に適く可きも、未だ与に立つ可からず。与に立つ可きも、未だ与に権(はか)る可べからず、と。唐棣(とうてい)の華、偏(へん)として其れ反せり。豈(あに)爾(なんじ)を思わざらんや。室(しつ)是れ遠し、と。子曰わく、未だ之を思わざるか。何の遠きことか之有らん、と。(「子罕第九」30)

 いっしょに学問をすることはできても、同じ考え方をもち同じ道に進みうるとはかぎらない。同じ道を行くことはできても、同じような思想、信念を持ち、世に出ていくとは、かぎらない。いっしょに思想や信念を確立しても、特定の問題について適切な処置をせねばならぬ場合に、同じ判断をし同じ行動をなしうるとはかぎらない。

「唐棣の花は開いたが、花弁がたがいに背を向けている。あなたを想わないであろうか。たがいの家が遠いためだ」とある。「まだ本当に愛していないからだ。惚れて通れば千里も一里、というではないか」と孔子はいいました。

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「権なるものは経に反して義に合す。尤も知り難きなり」、孔子は俗謡を引いて、いかに遠くても愛はそれを近づけるという意味で、非合理的なものを含む権道もまた同じで、熱意をもって考えれば必ずしも難しいものとはかぎらない、といわんとしたのではないかといいます。

 

 

 権力を目指せば対立するのが常ということでもありそうです。しかし、それを乗り越えていくためには、熱意とか、愛が必要ということでもあるのでしょう。昨今の政治家に欠けている資質でしょうか。

 くしくも今年は選挙イヤーで世界各地で選挙となります。その影響はこの騒乱の遠因であったりするのでしょうか。いずれにせよ、権に恋い焦がれる人ではなく、人間性を重んじ、道徳、倫理を知る人格あるリーダーが誕生してもらいたいものです。

 それは総裁選を控える日本においても同じなのでしょう。しかし、始まった補選の選挙活動はかなり醜いものになっているようです。

 

 

「参考文書」

イスラエル、イランに再報復「明確に強力に」 危ういネタニヤフ首相の延命策 - 日本経済新聞

「傍観者であってはならない」ジャック・アタリ氏の警鐘とは? イラン 中国 ロシア トランプ氏への見方は? | NHK | WEB特集 | ウクライナ情勢

 

止まらない円安、下げる株価

 円安が続いています。これまでは円安の効果を是認したきたのでしょうが、さすがに度が過ぎればいつまでも許容することはできないということなのでしょう。産業界からも是正を求める声が出て、政府も口先介入に続き、G7やG20などの国際会議の場を利用して国際協調の枠組みによる円安阻止に活路を見出そうとしているようです。

国際協調でドル高円安に歯止めがかかるか:G7声明に為替の文言が盛り込まれる|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 しかし、円安を是認するような政府施策が変わることはなく、円高に転じさせるような改革の原動力はなそうです。当面は為替介入があるかないかで注目されるのでしょうが、それも一時しのぎでしかなく、トレンドを変えるほどのものにもならないのでしょう。

 

 

 日本株も足元では3万8千円を切るなど急落して悲観的な見方がでそうです。しかし、一方でまだその魅力は失われておらず、一段高が期待できるとの意見もあるようです。

訂正(17日配信記事) 日本株、なお魅力的な投資対象 年初来の株高でも=市場関係者 | ロイター

それでもなお日本のコーポレート・ガバナンスの改善に支えられた収益やマクロ的なファンダメンタルズ(基礎的条件)が引き続き楽観的な見方を支援している。(出所:ロイター)

 何を為すべきかが割とはっきりしており、そのポテンシャルも読みやすいということのようです。マインドセットを新たにして改革を推進できるかにかかっていそうです。

終わりなき改革

 コーポレートガバナンス企業統治)の改革に終わりはなく、企業の継続的な努力が必要との認識を、東京証券取引所を傘下に持つJPX 日本取引所グループの山道CEOが示したそうです。

企業統治改革はエンドレス、情報開示の「質」向上必要-JPX山道氏 - Bloomberg

 JPXが企業に改革を促し、それが目に見える形となっての株価高との見方もあるのでしょう。今後は各社取締役会での議論の質が高まるなど実質的な改善内容に焦点が移ると、山道CEOはみているといいます。

 ここまでは大企業を中心して改革が進んできたといわれます。この先はそれ以外の企業においても改革が進むのかにかかっていそうです。大企業に比し株価がさえない新興企業の改革は待ったなしのようです。

 

 

論語に学ぶ

子 顔淵を謂う。曰わく、惜しいかな。吾 其の進むを見るも、未だ其の止むを見ざりき、と。(「子罕第九」21)

 孔子が弟子の顔淵ついて回想しました。惜しいことであった。彼の進歩、努力はいつも見ていたが、立ち止まること、怠惰を見ることがなかったと、孔子はいいました。

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 欲に走って迷いを生じさせては、白黒をつけよりしたり、結論を急いだりしてしまう。一見、効率的なことのように見えるが、実はかえって手間がかかったり、道を間違えたりで非効率に陥るの関の山なのかもしれない。ただひたすらに進歩を求め、学んでは熱心に取り組みさえすればいいはずなのになかなかそうできない。人間の弱さなのかもしれません。

 これまでなかなか経済が上向かったのはこんなところに原因がありそうな気がします。

 今になって過去を振り返れば、うまくいかなかった理由を見つけることはできます。あの頃も必死だった.... でも足らないものもあった、それだけのことなのかもしれません。向上心、進歩しようとするマインドがもっと強ければ、もっと早く改革、改善に着手できたのかもしれない。転換点といわれる今、何をやっているのかといえば結局、進歩を求めて改革を進めているのですから。

 政治改革が進みそうにありません。まるで進歩を拒んでいるかのようです。これがすべての元凶になっているような気もします。物事がしだいによりよいほうや望ましいほうへ進めていくことを「進歩」と呼ぶのですから。不要な対立をしている時ではないのでしょう。