日経平均株価が、初めて4万7,000円台で取引を終え、史上最高値を更新しました。高市さんが自民党新総裁に選出され、積極的な財政政策への期待から買いが優勢になったようです。
「高市銘柄」高値続々 防衛・核融合・宇宙に買い(6日の株式市場) - 日本経済新聞
「高市トレード」、防衛や核融合、宇宙など高市氏が掲げる政策に関連した銘柄に買いが広がったそうです。株価上昇は喜ばしいことですが、その反動や高市さんの経済政策における問題も懸念されています。
サナエノミクスとアベノミクス
高市さんの経済政策「サナエノミクス」は、その基本方針から「アベノミクス」との類似性が指摘されています。「アベノミクス」は道半ばで厳格な財政規律(PB黒字化目標)に縛られ、成長投資や賃上げが停滞しました。その認識に基づき、高市さんは、PB黒字化目標を凍結し、景気回復と物価目標達成を優先することで、制約のない積極財政を可能にしようとしているそうです。
積極財政に物価・金利の壁 高市氏、アベノミクス継承方針 インフレ助長リスク - 日本経済新聞
「積極財政」は財政規律の緩みを生じさせ、「財政悪化懸念」から長期金利が上昇、企業や家計の資金調達コストの上昇を通じて、経済の重荷になる可能性も否定できません。また円安の加速、輸入物価の上昇も懸念されます。
懸念
「物価高の最初の原因は、アベノミクスによって円安が進んだことだった」、村上総務相が経済財政諮問会議でそう発言していたそうです。
物価高の最初の原因、アベノミクスによる円安進行=村上総務相 | ロイター
村上総務相は物価高対策について、あらためて「根本原因」を考える必要性を指摘し、円安の原因を「アベノミクス」とし、「これによって、食料、原油、エネルギーの価格が高騰したことが大きな原因であり、ここら辺をもう一回、原点に返って考える必要がある」と語ったといいます。「少数与党になってから財政ポピュリズムがまん延している」とも述べ、金融緩和の出口戦略、税と社会保障の一体改革が喫緊の課題だとの認識も示したそうです。
「政策への期待」で大きく値を伸ばした日経平均株価。この勢いを真に明るい未来につなげるには、「サナエノミクス」が金融・財政の副作用を抑えつつ、構造改革や生産性向上といった成長戦略を具体的に、かつ迅速に実行できるかによります。
しかし、グローバル化の反転リスクも存在します。逆回転して国家資本主義的色彩が強まれば、好調な輸出が打撃を受け、日本経済に大きな影響を及ぼします。深刻な人手不足が顕在化しつつある中で、外国人政策を誤れば、経済活動の支えを失うことになりかねません。
論語でまとめ
其の身正しければ、令せざれども行なわる。其の身正しからざれば、令すといえども、従われず。(「子路第十三」6)
上に立つ者が自らの行いを正しくしていれば、命令しなくても、人々は自然と従う。
しかし、その行いが正しくなければ、たとえ命令しても人々は従わないと、孔子はいいました。
リーダーシップの本質は地位や権力ではなく、自らの人格と正しい行いにあると孔子はいいます。地位や権力だけで人を動かそうとしてはならないのです。
この株価高騰に、明るい展望を持つ人はいるのでしょうか? 世界競争力ランキングをはじめ、各種データを見てみても、楽観視できない現状がずっと続いています。
「アジリティ」俊敏性が求められる時代です。安定性を求めて、従来のやり様にこだわり古い自民党に回帰するのであれば、俊敏性を失いかねません。「ご祝儀相場」が失望に変わる前に、「変化」を迅速に示す必要もあるのでしょう。
人が育ち、生き生きと躍動する社会。それが日本の未来につながり、これからの「国富」の行方を左右することになりそうな気もします。それに近づいていく構造改革はもうまったなしです。生産性向上に、人手不足対応、もう残されている時間はすくなってきています。
「参考文書」
日経平均終値4万7944円で最高値更新 「高市銘柄」防衛・核融合・宇宙に買い - 日本経済新聞
円2カ月ぶり150円台 想定外の総裁選で急落、「投機の円買い」全戻しか - 日本経済新聞