高市さんが自民党総裁選挙にて、第29代総裁に選出されました。自民党が立党70年で初めて女性総裁が誕生しました。高市さんが国会で第104代内閣総理大臣に指名される公算が大きく、女性の首相就任も史上初めてとなる見通しといいます。
「新しい時代を刻んだ」自民総裁に高市氏、日本初の女性首相へ 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
目標とする政治家に「鉄の女」故マーガレット・サッチャー元英首相を挙げているそうです。サッチャー氏のように経済、外交において、大きな功績は残せるのでしょうか。
期待と懸念が入り混じっているようです。山積する課題に、党の立て直し。早速、高市さんの手腕が問われることになるといいいます。強いリーダーシップと政策実行力に期待がかかる一方で、党改革への取り組みには懸念があるようです。「解党的出直し」が求められる中、古い自民党の逆戻りするような論功行賞的な人事が取り沙汰されています。また過激な言動にも懸念があるようです。「ワークライフバランスという言葉を捨てる」「馬車馬のように働く」、という発言が、早くも話題になっています。
他方、経済界からは、高市新総裁の政策通としての実績と、積極的な経済・安全保障政策に対する強い期待が寄せられているようです。
高市早苗新総裁に企業トップ注文 「AIや半導体投資に期待」「物価高対策を」 - 日本経済新聞
高市さんが掲げる「責任ある積極財政」は、経済を拡大させるための成長投資を強化する方針で、デフレからの完全脱却を目指す点で経済界からは好意的に受け止められているといいます。しかし、「積極財政」には、当然ながら財政規律に関する懸念が伴います。今後の最大の論点になり得るそうです。
高市さんが信奉するイギリスのサッチャー元首相の経済政策とは対照的です。
高市氏は日本版「鉄の女」 サッチャー氏を信奉―英豪:時事ドットコム
IMF 国際通貨基金の報道官が日本の財政規律確保を求める発言をしたように、国際的な懸念は高まっています。「債券自警団(市場の投資家)」は、政府の財政規律が緩むと、国債を売却することで金利を押し上げ、財政健全化を迫ります。
自民党新総裁に高市早苗氏「1ドル=150円まで下落も」 市場の見方 - 日本経済新聞
デフレ脱却で日銀の金融正常化が現実味を帯びる中、財政規律の緩みは「金利の急騰(国債暴落)」という形で跳ね返ってくるリスクがあります。
「幸福価値型の経済」実現に向けた高市さんの情熱は評価できるのでしょうが、サッチャー氏がインフレに「緊縮」で立ち向かったように、現在の日本経済の転換点では、「積極財政の出口戦略」と「財政規律」の両立こそが鍵となり、最も重要な課題になりそうです。
論語でまとめ
能く礼譲を以て国を為めんか、何か有らん。能く礼譲を以て国を為めずんば、礼を如何せん。(「里仁第四」13)
もし礼譲の精神をもって国を治めることができれば、何の問題もないだろう。しかし、もし礼譲の精神がなければ、いくら形式的な礼の制度があったところで、何になろうかと孔子は言いました。
「礼譲」は、単なる形式的な礼儀作法ではなく、相手を敬い、へりくだって譲り合うという、思いやりを基盤とした謙虚な心を意味します。孔子は、この礼譲の精神あってこそ、互いが尊重し、争いがなくなり、自然と秩序のある平和な社会が形成される、と考えているようです。
海外でも高市さんの新総裁就任について報道しているようです。シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、高市氏が靖国神社参拝を繰り返したり、選択的夫婦別姓導入に反対したりして「タカ派で国家主義的な信条で知られる」と紹介したそうです。
台湾や靖国参拝に警戒感 安倍路線への回帰懸念―中国:時事ドットコム
香港フェニックステレビは、安全保障や外交などで、安倍元首相の路線を引き継ぐ「右翼タカ派」と警戒する声を伝え、一方、豪公共放送ABCは、自民・公明の与党が衆参両院で過半数を割っていることを背景に「高市氏は保守派のイメージを和らげようと努めている」と伝えています。
英BBCテレビは、高市さんを「英国初の女性首相マーガレット・サッチャー氏の信奉者」と紹介し、高市さんが防衛費拡大や積極財政を支持する考えを示唆してきたことを踏まえ、「財政規律に関してはサッチャー氏に程遠い」とする有識者のコメントを報道したといいます。英経済紙フィナンシャル・タイムズは、金融アナリストの見解として、日本の長期金利が上昇する可能性があるとの見方を示したそうです。
自民党初の女性総裁、このまま順当に進んで、日本で初めての女性首相が誕生することになるのでしょうか。そうなれば、政治の「景色が変わる」ことへの期待も膨らむのでしょう。選挙戦ではそうせざるを得ないこともたたあったのでしょう。これからも、極端に走らず、より現実的な路線で道を外さない政治を心がけて欲しいものです。
「参考文書」
自民新総裁に高市氏 決選投票、小泉氏下す―15日、初の女性首相に・「新しい時代刻む」:時事ドットコム
3度目の挑戦、悲願の女性宰相へ タカ派的言動に賛否交錯―自民新総裁の高市氏:時事ドットコム
米、関係強化へ機運高まる トランプ氏訪日で信頼構築―自民党総裁選・海外反響:時事ドットコム
【コラム】難局に挑む高市氏、「鉄の女」になれるか-リーディー - Bloomberg
結果を左右した"キングメーカー"の対照的な動き、「初の女性総裁」高市氏《まさかの劇的勝利》はなぜ実現したのか | 国内政治 | 東洋経済オンライン
自民党総裁選、決選「派閥票」が左右 小泉・高市氏、麻生派の支持競う - 日本経済新聞
「保守回帰の党員票」議員動かす 高市早苗氏勝利、麻生派支持が決定打 - 日本経済新聞
参議院選挙で与党大敗「氷河期世代の願いとズレ」「Z世代が求めた変化」 専門家 - 日本経済新聞


