「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【キャリア形成と人間性】SBI北尾氏の異色のキャリア

 少子化による人手不足、生産性の向上が課題となり、人への投資に関心が高まっているようです。こうした時代にあって、個人としてもキャリア形成していく必要性が高まっているといわれます。

 目先の年収にとらわれて、最初のキャリアを選択しようとする新卒学生がいたり、また、転職の際も同様に年収基準で選択する人もいるそうです。それも選択なのかもしれませんが、30代後半〜40代以降で年収水準が大きく上振れていく人には明確な共通点があるそうです。

 

 

目先の年収にとらわれることなく、つまり一時的に年収が下がるリスクを取ってでも、自身の能力が上がるような経験を選択していた。逆に危険なのは、特に転職時「目先の年収水準のみ」を追ってしまい、「中長期の能力・市場価値の向上(キャリアの広がり)」の機会を逸することだともわかった。(出所:NEWSPICKS)

キャリアづくりの教科書

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 これからの時代、どこの会社に所属しているかではなく、「個」の価値が求められる時代になるといいます。「どこの会社にいたか、いるか」よりも「個人として何をなしたか、何をなせるか」が明確に問われるようになるといいます。

 

 

異色のキャリア

 ネット証券業界では、SBI証券がトップを独走しています。そのSBIホールディングス北尾吉孝氏は異色のキャリアの持ち主です。

 北尾氏の最初の就職先は野村證券。通常、新入社員は営業から始まりますが、北尾さんはそれとは違い、最初から総合企画室に配属になり、イギリスのケンブリッジ大学に留学するなど、エリート教育を受けたそうです。

SBI北尾吉孝の「成功への道」──天命に向かって努力する | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 就職試験最終の副社長面接で、どんな仕事がしたいかと聞かれて、「どんな仕事でも結構です。社命に従います。ただ、どこに行っても、世界経済の中の日本経済、日本経済の中の金融機関、金融機関の中の野村證券という3つの位置づけを常に考えながら働きたいと思います」と答え、これが副社長の琴線に触れ、「あいつはオレが直接指導する」となったそうです。

どうしてかはわかりません。父の影響もあって、中国古典の世界が精神的なバックボーンとしてありました。それがひとつの人間的な強さになって表れていたのかもしれませんね。顔つきといい、物言い風格といい、なんとなく他の人とは違うものが、あったのかもしれません。(出所:Forbes)

 その後、ソフトバンク孫社長に「ぜひ来てほしい、そうすればソフトバンクは飛躍できる」と請われ、北尾氏は天の導きだと感じ、ソフトバンクに転身したそうです。それが今日のSBIホールディングスにつながっていきます。

 

 

「人というのは、生まれたときから、この世の何かから使命を与えられていると思っています。これが天命です。孔子は50歳で天命を知った。僕は幸いにも49歳で天命を自覚することができた。すべて与えられた天命に向かって起きていたことだったのではないかと感じた。だから、どんな仕事も一生懸命にやらないといけない。どんな職場にいても、努力しないといけない。それが後の、大事な肥やしになるからです」(出所:Forbes)

「うまくいかないこともあるかもしれない。しかし、すべてを受け入れてみることが大事」と北尾氏は語っています。

論語に学ぶ

君子は義に喩り、小人は利に喩る。(「里仁第四」16)

「正しく生きようとすること。そして人間性を磨くことです。そうすれば、他を利することにつながる。そして、いつかそれは自分に戻ってきます」と北尾氏は解しています。

dsupplying.hatenadiary.jp

「時間はかかり、すぐには報われないかもしれない」、でも、あきらめないこと。努力し、継続し、反省し、挑戦し続ける。そうすれば、どこかで成功は必ず待っています」といいます。

 スキルを磨いて専門性を高めるだけではなく、いかに人間性を高めていくのか。それがキャリア形成における重要なファクターになるということでしょうか。