「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

怪文書、誰もやらない行政の信頼回復

 

  一般会計の総額が過去最大の114兆円あまりとなる新年度予算が国会で成立しました。

 一方、「防衛力強化に伴う増税」や「少子化対策」などの重要課題の議論が深まることはなかったと報道されています。

 予算審議を終えた国会は、4月の統一地方選挙に向け選挙モードに入るそうです。また、放送法の政治的公平性の解釈をめぐる総務省文書の問題は、予算が成立したことで、野党による追及の機会が減ることからうやむやになる可能性があるといいます。

「野党側の追及をうまくかわした」という自民党議員がいる一方で、野党側では手詰まり感が漂っていると、 報道されています。

 相変わらずの茶番で終わってしまうのでしょうか。このままで善いのかとの疑問が残ります。 

 こうした状況だからなのでしょうか、政府与党内では、早くも首相が衆議院の解散・選挙に踏み切るのではとの臆測も出ているといいます。

怪文書

 予算案を決議する参院予算委員会では、放送法に関する総務省の行政文書について、渦中の高市氏が「事実と異なる内容があり、怪文書の類だ。ただ、国会では偽造でもなく、変造でもなく、『捏造』だとかなり配慮して申し上げたつもりだ」と答弁したといいます。

 官庁の行政文書を怪文書と呼ぶ当時の大臣として態度としては如何なものかと感じます。偽造なり変造の事実があると固く信じるのなら配慮して捏造と表現する必要なもないのではないでしょうか。ひとつの真実を闇に葬ろうとしているように感じてしまいます。

報道

 この件について、時事通信は「立民は放送法の政治的公平性の新解釈の撤回を目指したが、予算委で議論が深まったとは言い難い」、「立民内には手詰まり感が漂っている」と報じる一方で、産経新聞は、「文書の正確性を確認できなかったうえ、予算成立までに高市氏を追い込めず、立民の敗色濃厚となった」といい、「スキャンダル追及で審議時間を空費し続けた野党第一党の存在意義が問われそうだ」と報じています。

 現実を伝えるニュースにおいても、その表現、意見が分かれます。

 何が真実かはわかりませんが、正確に記録を残そうとすれば、当人にとっては不都合なこともあるのでしょう。多数の人の集まる組織にあっては、みなが同じ見方で同じように考え、ひとつの尺度、価値観をもっているとは限らず、ひとつの現実から様々な真実が生まれるはずです。真実は個々人の中にあるのですから。

論語に学ぶ

君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是に反す。(「顔淵第十二」16)

 君子 教養人は、他者の美徳を達成させるし、悪名があれば、忠告して止めさせ、それを消滅させる。小人 知識人はこれと全く逆のことをすると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 政治家や報道機関が、もし君子 教養人であるなら、今回のような政治・行政の信頼を揺るがす事態に出くわしたら、それを忠告して、その汚名を挽回できるよう善導したり、手助けすべきような気がします。何においても勝ち負けで決しようとしなければ、こうした問題は解決され、信頼は回復していくのかもしれません。残念なことです。

問題意識の退化

「記者たちの問題認識能力自体が退化し面倒なことを避けるうちに、公開情報に含まれる重大な問題にも気づくことすらできなくなっている」と、現状を深刻な事態とみる知識人もいるようです。

妖術に操られていませんか? 古賀茂明(1/2)〈週刊朝日〉 | AERA dot. (アエラドット)

 10年前には議論されることさえなかった敵基地攻撃能力、防衛費倍増、憲法9条改正、原発新増設などの問題に賛成する層が拡大していると記事は指摘し、「日本の国の形が「軽武装・国民経済重視」から「重武装・軍事最優先」に変容しつつある」といいます。過去の政権でできなかったことが、意図も簡単にできてしまっているようです。

 ひとつの意見なのでしょうが、記事はその背景を解説し、その考えに染まってしまうと、他の意見を偏ったものとみなし、拒絶反応しか示さなくなるといいます。

 そうなのかもしれません。現実に建設的な議論はなくなり、相手を断罪し、勝った負けたに終始するようになっているのだから。残念なことです。

 

「参考文書」

参院予算委要旨 高市氏「配慮して『捏造』と言った」「偽造でも、変造でもない」 - 産経ニュース

放送法文書、高市氏逃げ切りか 野党に手詰まり感:時事ドットコム

立民、高市氏追い込めず敗色濃厚 文書の正確性確認できず、政策より優先し審議空費 - 産経ニュース

【解説】来年度予算成立…「あっという間だった」自民党国対幹部が本音(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース