WBC ワールド・ベースボール・クラシックの決勝で、日本がアメリカに勝利し、日本中が熱狂に包まれたようです。WBCでの頂点は3大会ぶり3回目のこと。
優勝監督になった栗山監督は「選手たちが本当にうれしそうな顔をしていて、それがうれしかった」と語っています。
劇的なエンディング
まさしく劇的なエンディング、最後のバッターとなったマイク・トラウト選手と大谷選手の真っ向勝負は見応えがありました。
栗山監督も「日本だけでなくアメリカの人たちも最後の瞬間がトラウト選手になる形が理想だと思っていたと思うが、その対戦となり、野球って本当にすごいなと感じた」と振り返っていたそうです。
熱狂する日本社会
「大谷は間違いなくリーダーだった」と米メディアも称え、また、ダルビッシュがチームをまとめようと努めていたとも紹介していたといいます。
米紙が“隠れたリーダー”ダルビッシュの献身的な姿勢を称賛「若い選手たちと友情を築いた」 | 長いメジャー経験があり、WBCの優勝経験がある | クーリエ・ジャポン
「メジャーリーガーとして唯一、所属球団の春季トレーニングに参加せず、若い選手たちとの友情を築くために日本のトレーニングキャンプを選んだ」とその献身的な姿勢を讃えたそうです。
信じる心でチームを率いた監督、野球小僧のような情熱と熱意でチームを鼓舞する大谷選手のリーダーシップ、そして、ダルビッシュ選手の献身的な姿勢がチームをひとつにまとめたのでしょうか。
それぞれがそれぞれに役割を果たしたからこその金メダルなのででしょう。単に優勝したからだけでなく、こうしたこともあっての熱狂のようにも感じます。
こうしたスポーツ選手の大活躍とは裏腹に、現実社会は浮かぬことが続きます。それ故の大興奮のような気もします。
首相がキーウを電撃訪問しましたが、なんだか胡散臭く、首相ももう少し説得力のある言葉で語れば、もっと高揚感が高まったのではないでしょうか。
論語に学ぶ
子貢君子を問う。子曰わく、先ず行なう。其の言や而(しか)る後に之に従う、と。(「為政第二」13)
子貢が君子 教養人とは何かとたずねました。孔子は「先ず実行だ。その説明は、実行の後でする」と答えたといいます。
この章は、一般的には「先ず其の言を行い、而して後にこれに従う」と読むといいます。
魅了する侍ジャパン
今回の栗山侍ジャパンは、この言葉を体現してくれました。
優勝をみなが口にして、それが目標となり、みながそれに見合う行いをするから期待感が高まったのかもしれません。
そして見事、優勝を実現しました。それによって、みなが語る舌足らずの言葉でも説得力を持ち、その言葉がまたみなを魅了するのかもしれません。
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他方、首相の言動はこれとは異なっていそうです。
それだから期待感が高まることもなければ、共感もなく、逆に胡散臭く、疑わしいと思えてしまうのでしょう。それでは高揚感がないのも当然なのでしょう。
首相には首相なりの理屈もあるのでしょう。しかし、それは異を唱えるほどのものではないということなのかもしれません。だから反対意見が少ないだけのようにも思えます。
それだけはみなが熱望することはいつまでも実現することはないのでしょう。
「参考文書」
WBC 侍ジャパン 栗山監督「きょうで監督は終わる」退任の意向 会見で | NHK | WBC 2023