「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【美し過ぎる物語】謙虚な大谷、ダルの献身、社会現象になった「侍ジャパン」

 

 世界フィギュアスケート選手権で、坂本花織選手がSPの演技終え、ペッパーミルパフォーマンスを見せ、喜びを表現していました。

侍ジャパン」の活躍に刺激され、好影響があったのでしょうか。

 米国の主要紙が「侍ジャパン」の活躍を讃え、米国でも「WBC」が国民的な関心事になったといいます。

「WBCは幻想的フィナーレ」 米メディア、日本たたえる - 日本経済新聞

 記事によれば、ニューヨーク・タイムズは大谷選手がWBCを「本物」にし、WBCが「米国民にとって必見のトーナメント」になったと報じたそうです。

社会現象

 ある漫画家は漫画で描けない結末といい、また、メディアの街頭インタビューに答える若いサラリーマンは、大谷選手に刺激を受け、「自分も仕事をがんばろうとの気持ちになった」と語っていました。

侍ジャパン」が社会現象になったのでしょうか。

 彼らが起こした感動とは一体何なのかと考えてしまいます。物語、それも美しい物語、美談があるからなのでしょうか。

謙虚さ、美しい物語が生まれる時

 大谷選手の謙虚な振舞いが感動を呼び起こしたようです。

敬意を忘れぬ大谷翔平は「日本人の誇り」 超謙虚な"振る舞い"に感動「何でこんな完璧?」 | Full-Count

 大活躍したヌートバー選手は、手記を明かし、「日本でプレーできたことは、僕の人生を変える経験になった」と語り、「日本人としての誇りを、もっと感じられるようになったよ」といいます。

日本人とアメリカ人のハーフで生まれたけど、日本を代表することで自分の中で心が開き、熱くなった。日本人としての誇りを、もっと感じられるようになったよ。なにより、ファンが僕を受け入れてくれて本当に感謝している。僕の人生を変え、かけがえのないものにしてくれた。(出所:日刊スポーツ)

【WBC】ヌートバー独占手記「日本人としての誇り」栗山監督の手紙と大谷翔平に学んだ事 - WBC2023 : 日刊スポーツ

 また、栗山監督からの手紙が、来日して宿泊するホテルの部屋におかれていたと明かし、自分のために、時間をかけて書いてくれことがうれしかったといいます。

 大谷選手とのコミュニケーションも明かしています。

「一番印象に残っているのは、どれだけ彼が細かいことに気を配っているか。どれだけの強度でボールを投げているか、どれだけ速くスイングができているか、常に把握している。そうやって、彼は目標を上回ることができるんだなと分かったんだ」。

 そう語るヌートバー選手は、野球においても人生においても、目標を決めることを大事にしているそうです。「目的がなく、生きることはしたくない。ゴールを確認しながら、それに向かって、いつも、もっと良くなるようにやっている」と語り、それがあるから、大谷選手に何でも聞くことができたといいます。

献身、イチローの喜び

 WBCの連覇に貢献したイチローさんが、今回の盛況ぶりをみて、「2006年からわずか17年でここまできたんだな、と現場にいなくても感じることができた。感慨深かったです」と語ったそうです。

イチロー氏「ダルの思いをつなげていって」09年共に戦った後輩の“献身”に感銘― スポニチ Sponichi Annex 野球

 記事によれば、イチローさんが今回、最も感銘を受けたのは09年の盟友でもあるダルビッシュの言動、思い、行動だったそうです。

「今回何より嬉しかったのは、ダルが日本代表の招集日初日から参加してくれたこと。(略)後輩たちが今回のダルの思いをつなげていってほしい」。(出所:Sponichi Annex

 イチローさんは、2006、09年のとき、代表合宿に初日から参加したそうです。その思いをダルビッシュが受け継ぎ、チームのために懸命に動いたことに喜びを感じたといいます。

 そうしたダルビッシュの献身を、栗山監督も気づいていたのでしょうか。

 大会後、本人に感謝を伝え、謝罪したそうです。

侍・栗山監督 大会後ダルビッシュに謝罪していた…「申し訳ない。自分の調整できなくて苦しかったよね」― スポニチ Sponichi Annex 野球

「あまりにもみんなの練習に付き合って、決勝戦の前もアメリカバッターの特徴について全部教えてくれていた。自分が投げるにもかかわらずチームに貢献してくれた」と感謝した。(出所:Sponichi Annex

「本当に申し訳ない。自分の調整できなくて本当に苦しかったよね。勘弁してくれ」と伝え、「日本の野球ためになった」と称えたといいます。

名将

 選手の能力をあますところなく引き出した栗山英樹監督は「名将」、Numberはそう評します。

「WBC優勝と栗山マジック」MVP大谷翔平の完璧二刀流、ヌートバーや村上宗隆らを信じ続け、“使えない投手”を生まず…名将な成績の数々 - 侍ジャパン | プロ野球 - Number Web - ナンバー

 招集したすべての選手に「世界の舞台」を味わわせ、二度と出来ない経験をさせようとしていたともいいます。

論語に学ぶ

子、子賤を謂う。君子なるかな、若(かく)のごとき人。魯に君子者無くんば、斯れ焉(いずくんぞ)斯をとらん、と。(「公冶長第五」3)

 孔子は、弟子の子賤を「君子と言っていい」と評しました。「魯の国に君子無し、などというものがあるが、もしそうなら、この子賤はそもそもどこからこの君子性を学びとったのだろうか」と意味します。

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「子賤」、魯国の単父(たんほ)という地の宰となり善政を布いた人物といわれます。

 孔子は、子賤の徳をほめただけでなく、人間的接触による感化の深さ、その重要性を説いているといいます。

人間は生まれつきの素質に縛られる。しかし、それだけに終わるとすればペシミスティック(悲観的)な決定論となるほかはない。孔子は素質の重要性を認識しつつも、人間は愛情をもって助けあうことによって、素質の上に出ることができるというオプティミズムを捨てなかった。すなわち仁の精神である。(出所:論語 桑原武夫

侍ジャパン」によるこの社会現象が長続きすればいいのかもしれません。

 そうすれば、孔子の言葉ではないですが、みなが好影響を受けて、才能を開花させ、また、そうした過程を通して、君子 教養人に近づいていくのかもしれません。

 また、そうすることで、日本が長く続く低迷から抜け出すこともできそうです。

子どもたちのために

 日本中を、そして世界中を感動の渦に巻き込んだ「侍ジャパン」が凱旋し、首相官邸を表敬訪問したといいます。

 面会のあと、栗山監督は「アメリカでプレーしているダルビッシュ選手や大谷翔平選手ら全員が『将来の子どもたちのために』という一心で集まってくれたので感謝している」と語ったそうです。

 そして、「少子化を含め、野球をやる子どもたちが少なくなっていて、この大会は、勝ち負けに大きな意味があると思っていました。勝ち切ったことで子どもたちが『ああいう選手になりたい』と、夢を持ってくれればすごくうれしいです」と話したそうです。

必勝しゃもじ

 一方、岸田首相はウクライナを訪問した際、ゼレンスキー大統領にの地元広島の「必勝しゃもじ」をお土産に持参したそうです。

岸田首相、ゼレンスキー大統領に「必勝しゃもじ」と折り鶴ランプ贈呈 [岸田政権] [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

「必勝しゃもじ」には、「敵を飯とる(=召し捕る)」という意味が込められているそうです。ロシアによるウクライナ侵略に立ち向かうゼレンスキー氏への激励と、平和を祈念する思いを伝達するためだったといいます。

 首相の人徳のなさが気がかりです。

知行合一

稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉』の著者が、WBC前の栗山監督とのやり取りを明かしています。

WBC優勝の裏に「稲盛和夫の教え」、栗山監督が“直筆の手紙”に記した感謝の言葉とは? | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

  記事によれば、著者が本を贈呈すると、栗山監督から直筆の手紙が送られてきたといいます。 

 手紙はWBCが始まる1月29日のものだといいます。

多くの言葉をノートに記させて頂きました。本当に生きた学びとなりました。一人でも多くにこの学びをしっかりと伝えていきたいと思います。そして三月の世界大会にも必ずや活かして参ります。(出所:ダイヤモンドオンライン)

 この本には、「謙虚さは「魔除け」になるんだ」、「人間として何が正しいかで判断すれば、間違いはない」、「人から嫌われたくない人は、結局、うまくいかない」、「 いいリーダーとは、「現場の力」を引き出すリーダーだ」などの言葉が記されているといいます。

知行合一」、栗山監督はWBCの場で、身につけた知識を実践されたのでしょう。

君子なるかな、栗山監督は

 栗山監督はこの他にも「論語と算盤」なども愛読されていたと聞きます。

 日本ハムの監督時代には、この本を大谷選手をはじめ多くの人に手渡したといいます。

「君子なるかな、若くのごとき人」、栗山監督も真の教養を身につけた君子なのでしょうか。

 また、侍ジャパンのメンバーもまたそうなのかもしれません。

 

「参考文書」

首位発進の坂本花織、演技後にペッパーミル・パフォーマンス!「見られました」と侍ジャパンの快挙も力に : スポーツ報知

ダルビッシュの“楽しむ姿勢”がつくった侍ジャパンの道筋― スポニチ Sponichi Annex 野球

WBC日本代表のメンバー 岸田首相に優勝報告|NHKスポーツ

 

「関連文書」

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