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【東京五輪、大規模な談合事件】広告大手など6社の起訴で不正を防ぐことができるのか

 

  広告最大手の電通グループや博報堂など6社が、東京五輪パラリンピックを巡る談合事件で起訴され、その余波が広がっているようです。

 日本郵政のグループ各社がこの6社の他もう1社を加え計7社を取引停止にしたといいます。

 また、2025年に開催予定の大阪・関西万博においても同様のようです。運営主体である日本国際博覧会協会(万博協会)や大阪府大阪市も入札参加資格を停止したといいます。

万博に五輪談合の余波 電通、博報堂の相次ぐ入札停止で焦りと懸念 - 産経ニュース

 記事によれば、関係者が、開幕を2年後に控え、焦りを募らせているそうです。大阪市の松井市長は「広告代理店は電通博報堂だけではない。他でやれるところがあれば、活用するのは当然のことだ」と述べたそうです。

 

 

丸投げ

 商業五輪の始まりとされる1984年のロサンゼルス五輪が成功し、電通の実力を知らしめることになったそうです。その後も数多くの大会に関与し、その存在感を示してきたといいます。

運営改革 本気で取り組め/東京五輪事件捜査終結|時論|Web東奥

 記事によると、電通による大会商業化は公費負担を軽減し、やり方次第では「五輪はもうかる」との神話さえ生んだといいます。また、この成功体験が大会主催者に電通依存体質を植え付けていったのではないかと指摘します。

JOCや国内競技団体には「電通に任せておけばいい」との考えが定着。安易な国際大会招致が増え、業務の監視機能もなくしていった。「丸投げ」の弊害が東京組織委で最も顕著に表れたといえよう。(出所:Web東奥)

 残念ことです。ロサンゼルス五輪が生まれた神話のように、公費負担を軽減することを守り通すことができていれば、今日の社会はもっと違ったものになっていたのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

 子曰わく、管仲の器小なるかな、と。或ひと曰わく、管仲倹なるか、と。曰わく、管氏三帰(さんき)有り。官事(かんじ)摂(か)ねず。焉(いずく)んぞ倹なるを得ん、と。然らば則ち、管仲は礼を知るか、と。曰わく、邦君は樹(た)てて門を塞ぐ。管氏も亦樹てて門を塞ぐ。邦君両君の好(よし)みを為すに、反坫(はんてん)有り。管氏も亦反坫有り。管氏にして礼を知らば、孰(たれ)か礼を知らざらん、と。(「八佾第三」22)

 孔子が斉の国の実力者だった管仲の器量は小さいと言いました。するとある人が「それは管仲がケチな男ということですか」と尋ねると、孔子は「管殿は三か所もの邸宅を構えており、それぞれ家臣が専任でいる。どうしてケチであろうか」と答えました。それでは「臣としての礼が分かっていたのでしょうか」と問うと、孔子は「君主の場合、域内にあるその邸第の門を入ると、前に目隠し用の土塀を作っている。管殿は自邸の門内に土塀を築いていた。また君主の場合、諸侯が出会い友好を深める際、会場となる堂に反坫という土製の台を設け、儀式で酒を使うとき、そこに杯を置く。管仲は自邸の堂にこの反坫を設けていた。管殿をもし臣としての礼が分かっていたとするならば、この世に礼を知らぬ者などはない」と答えたといいます。

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管仲」、孔子より百年以上も前の人で、斉の国の実力者で、君主桓公を覇者にしたといいます。三国志に登場する諸葛亮孔明も尊敬した名宰相といわれた人物です。

 そんな「菅仲」にさえ、功罪があるということなのでしょう。その実力が評価されると、ついつい驕り、高慢となり、礼や規範を失することになるということなのでしょうか。

 

 

 電通にもまた功罪があるのでしょう。

 大規模イベントの新たな運営ノウハウを確立したのかもしれませんが、公費負担の軽減というもう一方の大義はいつしか違ったものになったのかもしれません。公金を扱っていることを忘れ、自らの利益を貪るようになり、大掛かりな中抜きが横行するようになってしまったことは残念でなりません。

再発防止

 公金が投入されるイベントにおける信頼回復には、それに関わるスポーツ団体、自治体がまず主体性を取り戻すことだろうと記事は指摘し、この事件の検証と再発防止策が欠かせないといいます。ただ、組織委、東京都、JOCがそろって人ごとのような姿勢に終始し、政府の対応も中途半端で、本気になって改革する意欲が感じられないともいいます。

 いずれにせよ、発注者側、受注者側双方で公金を扱うことの意味を理解し、少しでも経費抑制に努める姿勢が回復されなければ、不正を防ぐことはできないのかもしれません。

 

「参考文書」

日本郵政、電通や博報堂など取引停止 五輪談合で:時事ドットコム