「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

続く政策、変わらない姿勢、解消しない将来不安

 

 日銀が今年度の物価上昇率の見通しを「2.3%」に引き上げました。日銀が目標としていた2%に到達にもかかわらず、黒田総裁は記者会見で「2%の物価安定の目標の持続的安定的な実現にはなお至っていない」と述べたといいます。

【詳細】日銀 黒田総裁が会見「金利引き上げ全くない」 | NHK

 あくまでも金融緩和維持にこだわりたいがための発言ということなのでしょうか。

 想定外の目標達成なのかもしれませんが、まずはその事実を認めたうえで、目標との乖離しているところを明らかにして、目標を変更、アップデートしてもよかったのではないでしょうか。そうでなければ、どうにも言い訳しているようにしか聞こえず、問題解決から逃避しているのではないかと思えます。結局、日銀は何がしたいかったのかとならないのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

民は之に由(よ)ら使む可(べ)し。之を知ら使む可からず。(「泰伯第八」9)

 この孔子の言葉にはいくつかの解釈があるといいます。その一つは、「人民は政府の施策に従わせねばならない、だが、なぜそうした施策をおこなうのか、その理由をしらせてはならない」とする専制的なよみと、もうひとつは、「人民は政府の施策に従わせることはできるが、その理由をいちいち理解させることはできない、理解させるのが正しいのではあるけれども、残念ながら現実の問題としてそれはできない」とよむといいます。

 どちらにしても人民が政府の施策の目的を正しく理解することは困難ということなのでしょうか。

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 安民こそが目的で、それは力によるのではなく、上位者の「仁」によって人民のために幸福な生活の場を作ることであって、そうであるのに、なぜそうするかを説明する必要はなく、それはおのずと伝わっていく。むしろわからぬうちに、人民が幸福になっている、というのが理想なのであるから、いちいち説明する理由はないと解釈するのは桑原武夫専制とか民主制とかどちらがよいかという問題ではなく、ここではこうした「徳」による政治ができるかと孔子は問うているといいます。

 

 

 自分の周りを同じ意見のイエスマンで固めてしまえば、人の声が聞こえなくなってしまいます。日銀黒田総裁の回りには意見する人がいるのでしょうか。

 難しい舵取りが求められるときに、言質となるような発言をさけたいとの意識が働くのでしょうが、それでは現実が歪曲される恐れもあるのではないでしょうか。難しいときだからこそ、もっとわかりやすい説明をすべきのように感じます。

 人柄が信用でき、人格者と思えば、「ああそうなんだ」、良い方向に向かっていると理解できれば、たとえ困難なことでも、人は多少辛抱できるのかもしれません。

 国葬に関しても、 日増しに反対意見が多くなっているようです。中には閣議決定されることに疑問を投げかける声もあるようです。

 政府はこうした声にどうこたえるのでしょうか。それともだんまりなのでしょうか。孔子に従えば、それでは専制的に見えてしまうということではないでしょうか。

 また、問題となっている宗教団体と政治家との関係が取り沙汰されています。政教分離についても活発に意見されているようです。

旧統一教会と政治家の関わり「慎重であるべきだ」…千葉・熊谷知事「自身は何ら関係ない」 : 読売新聞オンライン

 熊谷千葉県知事は「政治家は様々な支援者や支援団体と付き合っていく存在」と述べ、それが「有権者の政治に対する信頼を結果的に損ねることになる。政治家の良心に期待するのか、抑止するような制度設計をするのか、この機会に議論されるべきだ」などと話したそうです。

 分別、良心を持たない政治家が多くいるということを示唆しているのでしょうか。政治家みながそういうことではないのかもしれませんが、それでは国が混乱するのも無理からぬことではないでしょうか。まずは自浄から、その上での制度設計、法規制などのでしょう。政権与党の最大派閥は大丈夫なのでしょうか。