「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

繰り返される同じ批判、支持率回復を願う首相はなぜ胡散臭い与党の声だけを聞く

 

 相変わらずちぐはぐで、場当たり的に進めることしかできないのが現代日本の政治なのでしょうか。継続は力かもしれませんが、同じことを何年も続けていて効果が出ていないのなら、それを見直したりしますが、どうにもそういう感覚を政権与党にないようです。

 総合経済対策を閣議決定し、岸田首相が記者会見しました。モニター画面を横に置いての会見、首相の思い入れが強さを現れのようです。内閣支持率が低迷する中、目玉政策を強調し反転攻勢する狙いがあるといいます。

「国民の信頼回復に近道なし」 岸田文雄首相の発言要旨: 日本経済新聞

画面には、対策で国内総生産GDP)を4.6%押し上げるといったアピールポイントを大きく映し出し、首相発言のタイミングと連動して画面が切り替わった。イラストや地図も使っていた。首相は質疑応答の際には「フリップに出てますように」と説明しながら答えた。(出所:日本経済新聞

 

 

 物価高克服、経済再生を実現するための対策といいます。財政支出は39兆円、事業規模は約72兆円にもなるそうです。GDPを4.6%押し上げ、2023年にかけて消費者物価を1.2%以上引き下げるといいます。

 税金を惜しげもなく、湯水のように使えば、一時的な数字の改善はあるのかもしれません。ここ数年、経済再生という同じ言葉が使われるますが、経済は再生していません。素人目にもまた同じことが繰り返されるのだろうと容易に推測できてしまいます。

 同じ日、日銀の黒田総裁も会見しました。「2%の物価安定の目標の実現を目指し、必要な時点まで金融緩和を継続する。必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と述べました。

 政府は物価の抑制のために動き、一方で日銀はその物価を目標にするといいます。よくよく話を聞けば整合性はあるのかもしれませんが、印象的にはちぐはぐで、矛盾しているように感じます。

論語に学ぶ

巧言令色、鮮なし仁 (「陽貨第十七」15)

 言葉を巧みに飾り立てたり、外見を善人らしく装うのは、「仁」すなわち他者を愛する気持ちが少ないと意味します。

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「巧」はよくする、「令」もよくするの意で、言葉が巧みで表情がほどがよい、それは「仁」すなわち誠実な人間愛の乏しさの表れだといいます。ここでの「仁」は公の徳、つまり人民の幸福を願う心を意味するのではないかといわれます。

「政治への信頼こそが全ての基盤だ。国民の信頼を回復するための近道はない。これまで以上に日本の未来に全力を尽くし一つ一つ結果を出して国民の信頼を回復する」と首相は記者会見で述べました。

 言葉巧みに、顔色をやわらげて取り入るような人物に、ほんとうに人民の心などわかるものではないと、孔子の訓戒だといいます。

 

 

 経済活動を支えているの企業であり、消費者である国民です。政府ができることには限りがあるはずです。異次元なことも繰り返させば、異次元ではなく、普通になってしまいます。それでも異次元を求めて、経済対策を行えば、どんどん拡大し、際限がなくなります。気づけば、国の借金は膨らむばかりで、それでも一向に経済は再生する兆しすら見えません。

 それなのに、相も変わらず政府は、政権与党の声に配慮するかたちで、経済対策の全体の規模ありきになっているといいます。

焦点:経済対策でも否めない「場当たり感」、土壇場で首相が増額指示 | ロイター

与党自民党内ではもともと「真水30兆円が発射台。(30兆円に)届かないまでも、限りなく近づけなければ求心力を維持できない」との声が出ていた。(出所:ロイター)

 ロイターによると、「全体の積み上げは図ったが、政策的矛盾は否めない」と、政府関係者の間でそうした声もくすぶっているといいます。

 

 

「道同じからざれば、相為に謀らず(「衛霊公第十五」40)と孔子はいいます。

 進む道が同じでないなら、互いに心を割って話し合うことはしないと意味します。

同床異夢」、政府、政権与党、そして、企業に国民、それぞれが異なる願望を持ち、目標を共有することすらできていないのでしょう。それでいて民主国家というのだから訳がわからなくなります。

 国民が安心して消費できるようになり、企業が前向きになって人に投資し、また積極的に設備投資するマインドを回復できれば経済は再生するのでしょう。これまで幾度となく、莫大な税金を投入しても、そのマインドに変化はありませんでした。今回の政府の総合経済対策で変化は起きるのでしょうか。

政治主導の大局観を発揮することを重視した。与党の政策審議プロセスを例年より早く動かした。世界規模の経済の下振れリスクに備え、トップダウンで万全の対応を図ることとした。(出所:日本経済新聞

 税金を使う立場にある政治が、国民や企業の声に耳を傾けて、きっかけを創出することに心がけ、使う税金をほんとうに必要なことにミニマイズしていけば、もしかしたら動き出すことがあるのではないでしょうか。政治主導など大見栄をいわず、人々を愚弄するのではなく、信用してこそ、「信頼と共感」が生まれるのではないでしょうか。

 主役は政治ではなく、企業を含めた国民側にあるのだから。そろそろその勘違いに気づくべきなのでしょう。

 

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「参考文書」

岸田首相、モニター画面で説明 経済対策で異例対応: 日本経済新聞

【詳細】日銀 黒田総裁が会見「大規模な金融緩和の維持」決定 | NHK | 株価・為替