「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

優越的地位を乱用したと認定されたグルメサイト、争うべきなのか、それとも改善すべきなのか

 

 レストラン検索・予約サイト大手の「食べログ」が訴えられた裁判で、訴え起こした焼き肉チェーン店に対し、東京地裁が3840万円の賠償を命じたといいます。評価点を計算するアルゴリズムの一方的な変更は「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法に違反すると判断したといいます。

「市場をコントロール」おごった食べログ 業者の不信、より強く | 毎日新聞

 毎日新聞によれば、 「飲食店市場をコントロールしているというおごった感覚を変えなければ、飲食業者からの信頼は失われる一方だと思う」と、韓流村の担当者は話したそうです。

 一方、「食べログ」を運営するカカクコムは控訴したといいます。

 

 

 グルメサイトが登場したころはよく利用したものですが、高い評価点も自分の感覚と合わず、嫌な思いを何度か経験し、次第に利用しなくなっていきました。それよりも人から聞くほんとうの口コミの方が信頼できます。

 しかし、グルメサイトの集客に頼る飲食店も多数あるのでしょう。みなから信頼されるサイトであるために、サイト運営者と飲食店の協力が不可欠のような気がします。少数意見なのかもしれませんが、不平不満をないがしろにすると痛い目にあうことは往々にしてあるものです。

論語に学ぶ

子 四(し)を絶つ。意なる毋(なか)れ、必(ひつ)なる毋れ、固なる毋れ、我(が)なる毋れ、と。(「子罕第九」4)

 孔子は、「己の意ばかりになるな」、「決めたことにこだわるな」、「執着するな」、「利己的になるな」と言って、この四つを絶つようにしたといいます。

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 成功したビジネスモデルも時間が経過すれば、やがて陳腐なのもになるのでしょう。それに執着すれば、利己的になって、己の都合、利益を優先することになったりするのかもしれません。

 

 

 産経新聞によれば、公正取引委員会は、「食べログ」など飲食店を点数評価するグルメサイトについて、提訴前の令和2年3月に取引実態調査の報告書を公表、掲載する店舗の採点や表示順位に関し「ルールの透明性を確保することが望ましい」との見解をまとめ、店に不当な不利益を与えた場合、独禁法違反となる恐れがあると指摘していたといいます。

食べログ訴訟、提訴前に公取が違法の恐れ指摘 古谷委員長、提訴「評価」 - 産経ニュース

公取委が令和2年に示した報告書では、店舗側の31・5%が、サイト側に不満や疑問を抱えており、「(運営会社と)有料契約をしたら、点数が(5点満点中)3・5に上がった」「(心当たりがないのに)なぜか点数が下がった」など店の魅力を正確に反映していないと不信の声が上がった。11・4%がサイト側から一方的な契約内容の変更を受けた経験があるとも指摘した。(出所:産経新聞

 今回の訴訟は「民間が自ら独禁法の手段を使って、競争を回復する努力をするのはいいことだと思う」と、公取委の古谷委員長は記者会見で話したそうです。

 

 

 大手電機の調達部門にいたときは、独禁法、下請法は常に念頭に置かねばならないことでした。半期ごとに繰り返し同じ研修を受け、徹底を図ったものです。会社を代表して購買する立場にある以上、疑念を持たれる行為は許されず、また、違反行為があったときのブランドイメージの棄損をひどく嫌い、非常に厳しく対応することを求められました。

「優越的地位の乱用」を気にするあまりに、取引先とWin-Winの関係を築くことの足枷になるケースもありました。所要の手続きを踏み、誤解が生じないよう取引先と話し合うことは骨が折れます。本来やるべきことも、恐れるばかりに何もしなくなってしまうこともありました。あまりよいことではなかったのでしょう。

 それとは逆に今回の訴訟のケースのように、取引先からの提案であれば、相手の意を斟酌し、共有点を探し出すことはできるはずです。それを起点にして、Win-Winな関係を築けそうです。折角の提案も、それに耳を貸さなくなると横柄になり、信頼を損ねます。不平の声は写し鏡で、自らの問題点を教えてくれていると解釈すべきなのかもしれません。

「優越的地位の乱用」、自己を律しないと、ついつい陥りがちな行為なのかもしれません。