「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

仲違いするときは原因があるもの、退任する韓国大統領の主張

 

 あの時、もっと友の声に耳を傾けていたなら、そんなことを後になって気づくことが往々にあります。そんなことはない、何か執着しているのかもしれません。

 退任する韓国の文在寅大統領が民放のインタビューで、日韓関係が悪化したのは「日本が右傾化して態度が変わった」ことが原因だったと述べたそうです。

文大統領「日本の右傾化が原因」 関係悪化巡り言及: 日本経済新聞

安倍晋三元首相の評価については「会うたびに礼儀正しい方だった。リーダーシップについて評価はしたくないが、安倍政権で韓日関係がさらに悪化し、日本の右傾化が深まったのは明らかだ」と話した。(出所:日本経済新聞

 本人にそのつもりはなくても、相手からそう見えてしまえば、それまでのことです。誤解を解くのか、それとも忠告に耳を傾けるのか、それでその後の関係が変わるということなのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

子貢(しこう) 友を問う。子曰わく、忠告して之を善道し、可(き)かれざれば則ち止(や)む。自ら辱(はずかし)めらるること毋(なか)れ、と。(「顔淵第十二」23)

 弟子の子貢が友人との人間関係について質問しました。孔子は「忠告、まごころを尽くして告げ、善いほうへと勧めよう。にもかかわらず、従わないときは、もう何もするな。誤解され、恥をかいてはならない」と教えました。

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 過去、重要案件が生じるたびに米国が仲立ちしたことを思い出します。当事者同士だと解決することはやはり難しいのでしょうか。隣国だと気になることも多々あって関係作りに苦労するのかもしれません。しかし、それでも、対立するよりは協力したほうが、双方の国民にとって利益は大きかったのではないでしょうか。

 

 

 国連のグテーレス事務総長が、ロシアを訪問しました。AFPによると、長テーブル越しにプーチン氏と面談し、民間人退避と支援物資輸送のための回廊を設けるよう呼び掛けたそうです。

プーチン氏、ウクライナと合意「望む」 国連総長と会談 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

 当事者同士の話し合いは利害の違いからすれ違うことになりがちですが、第三者を介することで調整されることもあるものです。

子 四(し)を絶つ。意なる毋(なか)れ、必(ひつ)なる毋れ、固なる毋れ、我(が)なる毋れ、と。(「子罕第九」4)

 孔子は次の四つを絶つことに努力していたといいます。「己の意ばかりになるな、決めたことにこだわるな、執着するな、利己的になるな」。

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 グテーレス事務総長も、こうしたことをやんわりと伝えることができればいいのでしょう。もう少し冷静になって、客観的にものごとを考えよと言えればいいのかもしれません。

 

 

君子の風

 魯国の実質的支配者である季康が政治について孔子に「もし無道な連中を見せしめのためにみな殺しにしてしまって、世の中の正しい規律を完成するというのは、どうだろうか」と尋ねたいいます。

季康子(きこうし)、政を孔子に問いて曰わく、如(も)し無道を殺して、以て有道を就(な)さば、何如、と。

孔子対(こた)て曰わく、子 政を為すに、焉(いずく)んぞ殺(さつ)を用いん。子 善を欲すれば、民 善なり。君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草 之に風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す、と。(「顔淵第十二」19)

「あなたが為政者でありますならば、たとい無道な者といえ、どうして「殺」などを用いる必要があるのですか。あなたが善き生き方をと願われますならば、人々もそうなります。為政者の品位は風のようなもの、民衆の品位は草のようなものです。草は風が吹きますれば、草は必ず靡(なび)いて仆(たお)れます」と答えたといいます。

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 グテーレス事務総長は歯に衣を着せぬ物言いをするといいます。和平実現に向け、徳が問われることになるのかもしれません。