「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

揺れ動く国際情勢、気になる金融政策決定会合、欲する安息な日々

 

 コロナ渦から抜け出、ごくありふれた日常に戻ることができるのかと思いきや、なかなかそうはさせてくれないようである。世界には様々な出来事がある。

 中国ではコロナ禍が最悪期を迎えているのだろうか。当局のゼロコロナ政策によって、上海を始め混乱があちらこちらへと飛び火しているかのようだ。

中国経済が急失速、「ゼロコロナ」「ウクライナ」で先行き暗雲【解説委員室から】:時事ドットコム

 上海の日系企業などで構成する上海日本商工クラブが実施した緊急アンケートの結果をJIJI.COMが報じている。

 それによると、ロックダウンにより、①国内物流の停止、港湾荷役作業員不足による国際物流の機能停止②銀行封鎖による取引先への支払いや給与など決済業務ができない―といった事業への悪影響のほか、駐在員家族の生活不安、年度末の異動に伴う日本への帰任・着任の遅れなど、さまざまな困難が発生していることが分かったという。

 中国が混乱すれば、グローバルサプライチェーンに乱れが生じ、商品不足が再燃しかねない。その一方で、中国経済が減速すると予測があれば、原油価格など資源が下落することになるのかもしれない。

 

 

 日本では28日に、日銀の金融政策決定会合が開催される。専門家、知識人たちが足元の円安をネタに様々に予測を述べている。

 これまでと同じで大きな変化がなく、さらに円安が進む可能性もあると指摘する専門家の声をブルームバーグが報じている。

日銀会合後も円安進行か、政策の微修正では止まらないとの声 - Bloomberg

 それによると、エコノミストの9割が28日の決定会合で現状維持を予測し、政策金利フォワドガイダンス(指針)を引き締め方向に修正するとの予想は1割にとどまっているという。

  一方で、市場関係者やエコノミストから、日銀の金融緩和への批判が目立つようになってきているという。中にはリフレ派でこれまでの政策を擁護していた人たちが手のひらを反して批判しているともいう。当事者である日銀もこうも様々な意見があってはたいへんだろう。

 自らの意思に関係なく、情勢は刻々と変化する。考え尽くした施策で対応し、目標達成を目指すが、ままならない。時に想定とは違う方向から目標に近づくこともあるのかもしれない。

 

 

論語に学ぶ

逸民(いつみん)は、伯夷(はくい)、叔斉(しゅくせい)、虞仲(ぐちゅう)、夷逸(いいつ)、朱張(しゅちょう)、柳下恵(りゅうかけい)、少連(しょうれん)あり。

子曰わく、其の志を降(くだ)さず、其の身を辱(はずかし)めざるは、伯夷・叔斉か、と。柳下恵、少連を謂(い)う。志を降し身を辱しむ、言は倫(りん)に中(あ)たり、行ないは慮(りょ)に中たる。其れ斯れのみ、と。虞仲、夷逸を謂う。隠居放言し、身 清に中り、廃 権に中る。我は則(すなわ)ち是れに異なり。可も無く不可も無し、と。(「微子第十八」8)

「人格が高潔だが世から忘れられた人として、伯夷、叔斉、虞仲、夷逸、朱張、柳下恵、少連の七人がいる。

「志、自分の生き方を捨てずに、主取りのためならどんなことでもすると這い蹲(つくば)ったりしないのは、伯夷、叔斉であろう」と孔子は批評し、柳下恵、少連は「志、己の生き方を曲げ、主取りならと這い蹲った。しかし、その発言は道理にかなっており、その行為も思慮に当たっている。そこのところがいい」と評す。さらに虞仲、夷逸については、「世を避け暮らし、言いたい放題だった。しかし、身辺は清潔であり、世を棄ててからの生き方は、均衡がとれている」と評したという。

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そして、孔子自身については、「彼らと異なり、可もなく不可もない」といったという。

 

 

 天災等が続いた鎌倉期、鴨長明は「方丈記」で無常観をあらわし、自身の隠棲生活をを書き記した。

 常なるものはないという無常感、人の世のはかなさ、それに翻弄される人々。ディストピアのように映る世を避け、隠棲し、ミニマルな暮らしに撤する。そこに生きる喜びを感じる。どことなく孔子の思想に通ずるものがあるのだろうか。そして、現在もまた長明の生きた混乱した鎌倉期と同じようなものなのかもしれない。

 孔子は、世に隠れた逸民をあげれば、「天下の民、心を帰す」という。勇気をもって、在野の智慧に頼るべきなのかもしれない。

人間万事塞翁が馬

 世界は未曾有の事態に直面し、コロナ禍から脱出する前に、ウクライナ危機が起こり、目を疑うような惨劇を連日、目にする。一方で温暖化は年々進行し、地球環境は待ったなしの状況に置かれつつあると化学工業日報は指摘し、これらを相殺するような、世界に幸福をもたらす事象が起こらなければ、バランスが取れないという。

人間万事塞翁が馬 - 化学工業日報

 人間だからこうしたことに一喜一憂してしまうが、「人間万事塞翁が馬」とはいうものの、安易にこうしたことに触れ回されてはならないのだろう。

人間万事塞翁が馬 」、人生における幸不幸は予測しがたいということ、幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからないのだから、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないと意味する。

 

「参考文書」

悪いのは日銀ではない、リフレ派とそのほか大勢の有識者と経済人だ | アゴラ 言論プラットフォーム

コラム:円安下の緩和でインフレ期待押し上げ、「逆ボルカ―ショック」は有効か=井上哲也氏 | ロイター

日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう | 小幡績の視点 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

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