「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

狭まる供給網、品質不正で絶対必需品も品不足に、米国では粉ミルクも

 

 米国のバイデン大統領がアジア歴訪中です。お隣りの韓国では、サムスン電子の工場を訪問し、中国やウクライナ危機の影響を念頭に、供給網 サプライチェーン強化など、経済安全保障関係拡充の重要性を強調したといいます。

 デカップリング(切り離し)が加速し、世界的な供給網の見直しが不可避になったということなのでしょうか。

 一方で、米国では乳児用粉ミルクが供給不足となり、深刻な事態に陥っているといいます。大手メーカーのアボットミシガン州の工場でつくられた粉ミルクを摂取した乳児4人が細菌の感染症にかかり、うち2人が死亡し、操業停止になった影響と言われています。

全米で粉ミルク不足 増産へ「国防生産法」も:時事ドットコム

 JIJI.COMによると、アボットは2月に操業停止し、製品の自主回収したそうです。また、FDA 米食品医薬品局から品質管理の問題を指摘され、その解消に努め、操業再開を目指しているといいますが、再開には時間を要するそうです。

 事態を重く見たバイデン大統領は、軍需物資調達が目的の「国防生産法」を発動して、粉ミルクの増産を促し、その確保に躍起となっているそうです。

 

 

論語に学ぶ

子 罕(まれ)に利を言うとき、命(めい)と与(とも)に、仁と与にす。(「子罕第九」1)

 江戸時代の儒学者萩生徂徠によれば、 孔子もときたま「利」に言及するが、その場合には必ず「命」あるいは「仁」と与にしたといいます。そもそも孔子の道は、「敬天」と「安民」をもととしている。「命」と「仁」とは君子の君子たるゆえんであるから、これらのことをまれにしか言わなかったという道理はないといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

安民とは天下のために利をはかることである

ただ、利には大利と小利があることを知らねばならない。一身の利益をはかるごときは小利である。君子は大利をはかるべきであって、もし道が民を利することのないものであるならば、それは道というに足らない。(出所:「論語桑原武夫

 孔子も政治を志し、またそれを実践した人であるから、「利」ということを無視するわけにはいかない、その「利」を可能な限り「仁」によって柔らげ高めようとするところに、孔子の理想があったと桑原武夫は指摘します。

「命」とは、天命、運命、使命などを意味します。

 

 

 日本では、ジェネリック医薬品後発医薬品)の供給が混乱し、一部が品薄になっているといいます。これも後発薬メーカーの品質不正問題に端を発しています。

後発医薬品、長引く供給混乱 品質不正の影響まとめ読み: 日本経済新聞

 この業界大手の「日医工」は、その品質不正で行政処分を受け、業績が悪化したといいます。「事業再生ADR」を申請し、取引銀行の支援も得ながら経営再建を目指すそうです。

 薬に、粉ミルク、こうした商品が安全に、そして安定的に供給されて、人々は安心して生活を営むことができます。こうした極めて重要な商品までが、必要以上に利益追求の対象となり、それが遠因となって、品質に影響におよぼしているのなら、たいへん残念なことです。

「子 罕に利を言うとき、命と与に、仁と与にす」、安民とは天下のために利をはかることである。

 こうした業界の経営者、そして、そこに投資する人たちが決して忘れてはならないことではないでしょうか。

 

「参考文書」

バイデン氏、アジア歴訪開始 韓国で供給網強化連携など訴え | ロイター

日医工 経営再建を目指し「事業再生ADR」の手続き申請 | NHK | 医療

事業再生ADR手続の正式申込及び受理に関するお知らせ (日医工)