「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

暗号通貨を批判するビルゲイツ、彼の主張は正しいのだろうか

 

 ビルゲイツ氏は暴落している暗号通貨に批判的で、「デジタル通貨を一切所有していない」といいます。ビットコインに懐疑的な見方を示し、ビットコインの熱狂に吸い寄せられる一般人への懸念を表明しているそうです。

ビル・ゲイツが暗号通貨への投資に否定的な理由 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「私は価値あるアウトプットを持つものに投資するのが好きだ。企業の価値は、いかに優れた製品を作るかに基づいている。しかし、暗号通貨の価値は、他の誰かが決めるだけなので、他の投資のように社会に貢献するものにはならない」とゲイツは語った。(出所:Forbes)

 ゲイツ氏の言葉だけに一理があって、説得力はありそうです。

 

 

論語に学ぶ

富 求む可(べ)くんば、執鞭(しつべん)の士と雖(いえど)も、吾も亦(また)之を為さん。如(も)し求む可からずんば、吾が好む所に従わん。(「述而第七」11)

「富が求める値打ちを持っているなら、どんな賤しい仕事にもつく」と、渋沢栄一は正しい道や道徳によって富が得られるならと解釈します。つまり、この章の裏には「正しい道を踏んで」という一句が、あることを注意しなければならないといいます。

「まっとうな生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい」。 (引用:渋沢栄一論語と算盤」P93)

ビルゲイツ氏と渋沢栄一の考えには共通する部分があるのかもしれません。

アングル:暴落した仮想通貨、損失抱える個人投資家が続出 | ロイター

個人投資家は、一獲千金を狙って仮想通貨に群がった。それをあおったのがロビンフッドのような取引プラットフォームだ。同社の第1・四半期決算では、取引収入の約4分の1が仮想通貨によるものだった。(出所:ロイター)

 投資家がインフレと金利上昇を懸念してリスク資産からマネーを引き揚げたことで、仮想通貨が暴落したとロイターはいいます。

 暗号資産が作られた当初の目的とはことなり、違った目的に利用されることで、多くの人が迷惑を被ることになったのかもしれません。このコロナ禍を契機に投資を始めた若い世代が多くいるといいます。

「Robinhood(ロビンフッド)」、シンプルで分かりやすいデザインと、手数料無料のサービスは投資の裾野を広げる大きな効果があったといいます。その一方で、過度なゲーム性が短期売買を繰り返す要因となり、長期的な資産形成の妨げになったり、その不透明なビジネスモデルが批判されているとFintechジャーナルは指摘しています。

 Fintechジャーナルの言う通り、投資の利便性を向上させ、認知度を高め、誰もが参加しやすくなった功績はあったのかもしれません。個人の責任としてしまえば、そうなのかもしれませんが、それは理に適ったことなのでしょうか。

 

 

「利に放(よ)りて行えば、怨み多し」(「里仁第四」12)といいます。

「利害打算だけで行動すると、他者から怨まれることが多くなる」と意味します。

 無秩序に「利」に走ることを警告しているのかもしれません。渋沢栄一は「正しい道を踏んで」といいました。今、この時代はそれを共有すべきなのかもしれません。そうなっていれば、混乱が回避されるのかもしれません。

 最近はパーパス経営が流行りのようです。パーパスとは、こうありたいという思いから出てくるそうです。暗号資産にしろ、ロビンフッドにしろ、パーパスが正しい方向に向けられて運営されているのでしょうか。

 

「参考文書」

投資アプリ「Robinhood(ロビンフッド)」とは何か? 熱狂的な若者を生んだ仕組み |FinTech Journal

なぜパーパスが重要なのか、3つの理由 「決めて終わり」はリスク:日経クロストレンド