「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

変わるニューノーマル、過去最高益のトヨタ、大赤字のソフトバンクG、暴落する暗号資産

 

 サプライズの企業業績の発表が相次ぐ。こんなご時世にあってもトヨタ自動車は、売り上げと利益はいずれも過去最高となったという。

 販売台数が順調に伸び、資源高騰というネガティブ要因もあったが、円安効果でカバーしたようだ。

最高益も晴れぬ視界 原材料高が打撃、2割減益へ―トヨタ:時事ドットコム

08年のリーマン・ショック後に積み重ねた原価低減などの努力も効いたといい、近健太副社長は「(円安や販売増だけでなく)これまで築いた体質改善が表れるものだ」と強調した。(出所:JIJI.COM)

 ただ、今期は、原材料費の高騰が好調な業績を圧迫しかねない。途絶えがちな供給網、厳しい原材料価格、こうした状況が新たな「ニューノーマル」なのかもしれない。

 苦境を受け入れ、守りの姿勢で仮説を立て、打てる手をすべて打って、成長を目指すことになっていくのだろうか。

 

 

 一方、ソフトバンクグループの業績は、純損益が1兆7080億円の赤字だったという。日本企業で歴代2番目の大きさという。国際情勢の変化で投資先企業の株価が急落し、巨額損失の計上を迫られたという。

ソフトバンクG、ファンドで巨額損失も-歴史的好決算から1年 - Bloomberg

「クーパン、グラブ、ウーバーなど労働力を必要とするビジネスでは人件費が上がり、必ず必要だというサービスでもなく、インフレになると需要が減る可能性がある」という。新型コロナ感染拡大を受けた特需も今後なくなる可能性もあり、「リスクはより高くなっている」。(出所:ブルームバーグ

 デジタルを活用した新興企業も未だ多くの人手に頼っているのが浮き彫りになり、その改善が急務なのだろう。

 ブルームバーグによれば、孫社長は、「1兆、2兆の利益だ、赤字だというのはニューノーマル」と、驚くべきことではないと主張したという。一方、市場は、ソフトバンクGの現状は「ノーマルとは言えない。投資家も市場も不安になり始めている」と指摘しているという。

 世界で起きる事象により、人々の感情は揺さぶられ、心理が揺れ動くということなのだろう。こうしたことに変りはないのだろう。

論語に学ぶ

君子の天下に於けるや、適も無く、莫もなし。義 之と与(とも)に比す。(「里仁第四」10)

「君子の世におけるあり方は、一方的な肯定もなければ、一方的な否定もない。ただ「義」筋の通ったこと、それだ、それに従うまでだ」と意味する。

dsupplying.hatenadiary.jp

 他方、北欧のフィンランドスウェーデンNATOに加盟する方向という。早速、ロシアが反応し、恫喝する。こうしたこともニューノーマルなのかもしれない。

「軍事面含む対抗措置取る」とロシア外務省 | 共同通信

 いささか辟易する。こうしたことが何の解決にもならず、ただみなが委縮し、心理を悪化させていく。世界で守りの姿勢が強くなるばかりである。

 

 

「士の道に志すや、悪衣・悪食を恥ずる者は、未だに与(とも)に議するに足らず」(「里仁第四」9)という。

「士がいったん志を立ててその道へ進むとき、貧しい服装や食事を恥ずるような者は、同志としてともに語るに足らない」と意味する。

dsupplying.hatenadiary.jp

 この章は清貧の奨励を意味するものではない。

「若い弟子たちに向かって、お前も学問に志すといったからには、着物や食物のことで肩身のせまいの広いのなどと、心をわずらわしていては駄目じゃないか、もっと深い問題をなんのこだわりもなく話し合えるようにならなきゃ駄目だよ」と孔子が諭したのではないかと桑原武夫は解説する。

 仮想通貨まで暴落した。ステーブルコイン「テラUSD」が急落したことが背景にあるという。巧みに設計された「テラUSD」さえ、ネガティブ心理による吸収できなかったということであろうか。

仮想通貨価格が急落、テザーは米ドル連動より大きく下落 | ロイター

 いったん悪い方向に転じると、悪い方向へと引きずられていく。そこには人の心理が働くからなのだろう。そんな苦しい時でさえも、迷わず、ぶれずに振る舞えるよう、自分の中に筋を一本通すことが求められているのかもしれない。堅苦しい言い方だが、それが「義」といことなのかもしれない。

 

「参考文書」

ソフトバンクG、赤字1.7兆円 ロシア侵攻、株安で巨額損失 | 共同通信