「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

エネルギーや食糧の高騰による禍が拡がり始めたのか

 

 ロシア化という言葉を報道でよく耳にするようになりました。多様性を認め合う世の中に逆行するようなことではないでしょうか。レーニン像が復活したり、自国通貨の使用を強要したりしているといいます。これもまた禍のひとつなのでしょうか。

論語に学ぶ

異端を攻(おさ)むるは、斯れ害あるのみ」(「為政第二」16)と、論語にあります。

 この言葉には定説はなく、伊藤仁斎は 、異端を方語、俗語として、ものの端がまちまちで一つに揃わぬこと、としているといいます。それを揃えにかかると害があるばかりと解釈します。根本に力を集中すべきで、そうすれば端のほうは自然にととのってくる、といいます。

 

 

 荻生徂徠は、「異端」を「異心を抱く者」と解し、そういう者を急いで攻撃を加えることは、相手を激発することになるばかりで、害があるから、孔子がこれを諫めていると読みます。現代にも通じる読みなのかもしれません。

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 異端邪説

「異端」とは、現代では、正統でなく、正道に反する教説のことを意味します。また思想・信仰・学説などで、多数の人に一般的に受け入れられた正統に対して、少数の者に信じられ、主張されているものをいいます。

「邪説」とは、よこしまな議論、不正な主張を意味します。

 正統に背く「異端」、つまり異説を唱える者は、天下に害を流すばかりと、処断してもよい、いやそれこそ天下のためである、という読みもありうるかもしれないと桑原武夫はいいます。

「リゴリスト」、厳格・厳正を第一の信条とする人にとっては、この章を桑原説で解釈できるのかもしれません。

 

 

ロシア禍

 コロナ渦でサプライチェーンの寸断が起き、様々な品不足が生じ、それを発端としてインフレが高進しました。そして、今またエネルギーがさらに高騰し、食糧も同じように高騰しています。ロシア禍ではないかと感じています。

 こうした価格の高騰は貧しい国々に打撃を与えるといいます。高騰する食用油に翻弄するアフリカの人たちの様子をロイターが報じています。

アングル:ウクライナの戦禍がアフリカ翻弄、パーム油高騰が生活直撃 | ロイター

 アフリカのコートジボワールウクライナから遠く離れている。しかし、実質的首都のアビジャンでジェネバ・ベレムさんが営むフライドビーンケーキ(豆を使った揚げ物)の屋台は、パーム油の価格高騰という形で戦禍に翻弄されている。(出所:ロイター)

 

 

 孔子の弟子の子夏(しか)が魯国の直轄地「筥父(きょほ)」の宰相となって、政の心構えを孔子にたずたといいます。

「速やかならんと欲する無かれ。小利を見ること無かれ。速やかならんと欲すれば則(すなわ)ち達せず。小利を見れば、則ち大事成らず」(「子路第十三」17)と孔子は答えたといいます。

「成果を急がないことだ、目先の小利を求めないことだ。速く成果をと思うと、到達しない。小利に目がくらむと、大きな仕事が完成しない」と意味します。

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 功を焦っては、既成事実化を進めても、何の得にもならないのでしょう。それよりも、それによって禍が拡がり、長期化してしまうことの方が遥かに大きな問題です。如何にして禍に巻き込まれないようにしていくか、そんな議論も求められているのでしょう。