「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

今年の漢字は「戦」、防衛力強化したい政府、緊張緩和を見越し中国に投資する動き

 

 今年の世相を表す漢字に「戦」が選ばれました。ロシアによるウクライナ侵攻で大きな衝撃を受け、北朝鮮によるミサイル乱射により、多くの人が恐怖や不安を感じた1年だったということでしょうか。

 またこれをきっかけにして、防衛力強化の必要性を政府が説き始め、今も積極的に議論が進められています。意識したくない「戦」を意図的に意識させられているようにも感じます。

「今年の漢字」は「戦」 京都・清水寺で発表、ウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイルなど|社会|地域のニュース|京都新聞

 記録的な円安や原油価格の高騰により、急激な物価高や電力不足との戦いを、多くの人が生活の中で体感した。新型コロナウイルスとの戦いも今なお続いている。(出所:京都新聞

 国がこうしたことにしっかりと対応できていれば、違った漢字が選ばれたのかもしれません。

 

 

 ゼロコロナ政策を緩和した中国の株価が来年2023年以降上昇を続けるとみる世界のファンドマネージャーが多数になるといいます。

世界の主要なファンドマネジャー、多くが来年の中国株に強気-調査 - Bloomberg

ブルームバーグ・ニュースが134人のファンドマネジャーを対象に実施した調査によると、回答者の約60%が中国株の買いを推奨し、31%が売りを勧めた。買いの理由としては、経済活動再開への楽観に加え、地政学的緊張の緩和や割安なバリュエーションを理由に挙げた。(出所:ブルームバーグ

 ただ全てのマネジャーがポジティブな見方をしているわけではないといいます。中国の株価にとっての最大のリスクは政府の政策と規制を巡る不確実性としているそうです。

 ものごとの見方次第で対応が異なるということでしょうか。投資家たちは楽観的なものの見方をして利益の増大を企て、一方で悲観的になれば、さらなるリスクの高まりばかりに目が奪われ、「戦」を意識して、その準備に熱心になり、国民の意識をそちらに向けようとするのでしょうか。

 一方、米国は、米国製の半導体製造装置を使い製造された特定の半導体チップを中国が入手できないようにする措置を取り、さらに強化しようとしています。この対中輸出規制に日本やオランダの半導体製造装置を加えようとしているそうです。

日本、半導体製造装置の対中輸出規制で米国と協調へ-関係者 - Bloomberg

バイデン米政権はこの輸出規制措置について、中国軍が先端半導体を入手できないようにすることが目的だと説明している。(出所:ブルームバーグ

 世界のリーダーを自認する米国は、中国の台頭を許すことはないのでしょう。かつて日本の半導体やハイテク製品が米国に敵視されたことによって衰退したように、相手が根をあげるまでに執拗に徹底的に締めつけるのではないでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

異端を攻(おさ)むるは、斯れ害あるのみ。(「為政第二」16)

 この章にはいくつもの読みがあるといいます。正統に背く「異端」、つまり異説を唱える者は、天下に害を流すばかりとの解釈の他、新注によれば、「異端」を聖人の道に外れて別に一派をなすもの、異なる学説とし、「異端の学習に専念することは、害あるのみ」と解します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 荻生徂徠は、「異端」を「異心を抱く者」と解し、そういう者を急いで攻撃を加えることは、相手を激発することになるばかりで、害があるから、孔子がこれを諫めていると読んでいるそうです。現代にも通じる読みではないでしょうか。

 

 

異端邪説

「異端」とは、正統でなく、正道に反する教説のことで、また思想・信仰・学説などで、多数の人に一般的に受け入れられた正統に対して、少数の者に信じられ、主張されているものといいます。「邪説」とは、よこしまな議論、不正な主張の意。

「異端邪説」、世間を騒がす宗教団体もそういうことではないでしょうか。

 伊藤仁斎は、ものの端々はまちまちで一つに揃わないとし、それを揃えにかかると害ばかりだと解しています。 「邪説」をもって世論を揃えようとするから紛糾し、混乱が長引き、時に対立に発展するということでしょうか。

 仁斎がいうように無理に揃えようとはせずに、利害が一致することから始めれば自然に揃い、そこから調和も生まれるのでしょう。そして、それが新たな潮流となり、そこから新たな正統が生まれ、また新説となったりするのかもしれません。

 

 

哲学的思考

  哲学的に「疑う」ということは「相手や対象を疑う」のではなく、「自分自身の捉え方を疑う」ということだといいます。

「自分は正しい」は疑え 哲学思考で自らの捉え方を変えてみる:日経ビジネス電子版

 こうしたものの見方ができるようになると、「自らを疑うことで、世の中の見方が変わる」といいます。

 政府にも「自らを疑う」習慣を取り入れて欲しいものです。世の中の見方が変われば、世論を二分するような政策をとることもなくなるのではないでしょうか。対立しそうな事象を読み取り、利害一致に努めれば、平和が保て維持できるはずです。