「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

停戦は実現できるのだろうか、ロシアを訪問したオーストリア首相が示した熱意と忍耐

 

 ウクライナ危機によって、世界がこれまでとは全く違ったものに変わっていくことになってしまうのだろうか。気になるのは、いつになったら停戦が実現するのか、そして、それはどのようにして実現できるということ。

 中立国オーストリアのネハンマー首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談したという。「双方に敗北しかもたらさない戦争」を終わらせる必要があると、プーチン大統領に対し明確にしたそうだ。

オーストリア首相が訪ロ、プーチン氏と「率直で厳しい会談」 | ロイター

ネハンマー氏は記者会見で、他の国はプーチン氏の考えを共有しておらず、戦争が長引けば長引くほど西側諸国の制裁措置が厳しくなるとプーチン大統領に面と向かって伝えることが重要だったとした。

「1回でも、10回でも十分でなく、100回言わなくてはならないかもしれない。平和を取り戻し、ウクライナ国民が安全に暮らせるようにするために、あらゆる手段を尽くさなければならない」と述べた。(出所:ロイター)

 それぞれの価値観が異なるから国の対立が生じる。それに執着すればするほどに対立は深まるのだろう。それを融和に向かうようにするためには、ネハンマー首相のような熱意と忍耐が必要なのかもしれない。

 

 

論語に学ぶ

唯仁者のみ能(よ)く人を好み、能く人を悪(にく)む。(「里仁第四」3)

 孔子は好悪の情を抑圧せよとはいっている訳ではない。むしろ好悪の情の存在を肯定し、これを鍛錬することが道徳と説いているのではないかと、桑原武夫は解説する。

 そして、人間についての真の正しい理論を体得した者のみが寸毫(すんごう)もあやまつところのない好悪を実践しうるのではないかという。「仁者」とは、そうした至高の境地に達した人という。

dsupplying.hatenadiary.jp

 自分の家族など身近な人を大切にするという純粋な心が仁の始まりなのだろう。

苟(まこと)に仁に志さば、悪無きなり」(「里仁第四」4)という。

 『仁に志せば心もちはゆったりとして人を慈しむことになるから、おのずと人から悪まれることがなくなる、世間は公平によく見ている』と読む。これは、伊藤仁斎によるものだが、桑原武夫は「仁に志しても人間は「過挙(あやまち)」を犯すことはあるだろうが、ことさら悪事をすることはなくなる」と解す。

 オーストリアのネハンマー首相も、家族を大切にする仁者ならば、他者を平気で傷つけることはできるはずもなく、そうしたことを「悪」と呼ぶことをプーチンに伝えれば、いいのかもしれない。人は理由をつけては時として「仁」を隠してしまうのかもしれない。  

 

 ロシアの侵攻から1か月半が経つが、経済制裁は緊張緩和に寄与せずに、停戦交渉において何らか進展が生じなていない。こうした中で、軍事支援には消極的と見られた欧州の国が兵器の追加供給を呼び掛けているという。

欧州がウクライナ武装化に動く-プーチン氏に制裁は無力、方針転換 - Bloomberg

 欧州諸国はロシアのウクライナ侵攻への対応で、外交や制裁に重点を置く通常のやり方を超える方向に動いているとブルームバーグは指摘する。

 それでよいのだろうか。外交はやり尽くしたといえるのだろうか。力での決着はなんとしてでも避けるべきではないだろうか。

 

dsupplying.hatenadiary.jp