「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

平和を願わずにいられない、まだ諦めるには早くはないか

 

 自身のプライドのために、みなを巻き込んでプーチンが無謀な争いを続けているように見えてなりません。ほんとうに手にしたいものが何かはわかりませんが、NATO北大西洋条約機構の拡大阻止もその願望のひとつだったのでしょうか。

 しかし、現実はそうならないようです。中立政策をとっていたはずの北欧のフィンランドスウェーデンが、NATOに近く踏み切る可能性が出て来たといいます。

CNN.co.jp : フィンランドとスウェーデン、NATOに近く加盟か

 CNNによれば、フィンランドのマリン首相が、「今後の数週間内」にNATO加入の問題を国会で話し合う見通しとし、「夏の盛り前」には道筋をつけると述べたといいます。

 ロシアと長い国境線を有するフィンランドにすれば、当然のことのように思えます。こうした行動も、ロシアプーチン大統領の行動の写し鏡でしかないのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

人の過つや、各々其の党に於いてす。過つを観れば、斯ち仁を知る。(「里仁第四」7)

 人間だれしも、過ちを犯してしまうものなのでしょうが、その過ちの始末に人間性が現れるといいます。

 朱子によれば、君子の「党」は人情に厚いためにミスを犯し、小人の「党」は人情に薄いためにミスを犯す。そこでそれぞれの人間の過ちを観察してみれば、その当事者における仁のあり方、つまりその人間の道徳性の高低がわかるといいます。

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 プーチンは自身のミス、過ちに気づくことはあるのでしょうか。人情の薄さ、徳の低さが人々から嫌われることを知ることはあるのでしょうか。

平和への架け橋

 オーストリアのネハンマー首相がモスクワを訪問し、プーチン大統領と会談するそうです。これに先立ちウクライナで首都キーウを訪問するといわれていました。

オーストリア首相、プーチン大統領とモスクワで11日に会談 - Bloomberg

ネハンマー首相は昨年12月に就任したばかりで外交経験も浅いが、オーストリア永世中立国として欧州東西両陣営の架け橋になると認識されている。(出所:ブルームバーグ

 自身の考えに近い意見を聞いていれば、新たな気づきはないのでしょうが、反対する側の声に耳を傾けることができれば気づきがあるのかもしれません。

 

 

朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」(「里仁第四」8)

 「道」の意味は人それぞれで異なるのかもしれません。「生きることの意味」「生きることの意味」「人の世の真実」。

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 もしかしたら、ウクライナの人々はこの言葉の意味を痛切に感じているのかもしれません。

 古注に従えば、道徳の支配する理想社会が実現したと聞いたなら、自分はすぐに死んでも心残りはないといい、そういう幸福な情報を聞くことなしに自分は死ぬことはできないと解釈します。

 これに対して新注は、「道」を「事物当然の理」と捉えます。それは物事としてそうあらねばならぬ道理ということであり、もっぱら理性をもって認識しうるところの真理と解し、倫理的な真理の追求を切迫性を説き、そのためなら死んでもよい、殺されても構わないとの意味をなすといいます。

 そうはいえども、その「道」を歩んでいくために、戦いを選択することはあってはならないはずです。それでは「道」を外れることになります。

 

 

繰り返しは許されないこと

 報道によれば、アレクサンドル・ドボルニコフ上級大将が、ウクライナ侵攻の総司令官に任命されたといいます。JIJI.COMによれば、5月9日の旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日を1カ月後に控え、「成果」を得る狙いとみられるといいます。

ロシア軍、ウクライナ侵攻で総司令官 検事総長「1222人の遺体確認」:時事ドットコム

ドボルニコフ氏は2015年からのシリア軍事介入の総司令官として「豊富な経験」(欧米当局者)を有する。内戦で市民の犠牲を顧みず、弱体化したアサド政権の形勢挽回を指揮した軍人だ。(出所:JIJI.COM)

 確実な「戦果」を得ようと、東部の親ロシア派支配地域の周辺を総攻撃するという見方が強いといいます。その前に何とか戦いを止めなければならないのでしょう。繰り返しは許されないはずです。

 自身の立場をよくすることだけを考えるのではなく、みなが求める「道」を、みなで歩めるように、あらゆる手段をつかっていかねばならないはずです。戦争を止めるために、できることはまだまだあるはずです。諦めるときにまだ早いのではないでしょうか。