「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

数々の誤算、ロシアの暴発を止めることはできるのだろうか

 

 永世中立国のスイスまでが、ロシアに制裁を科すという。仲介役となりうるはずの中立国の立場から逸脱するが、それが道義を貫くということなのかもしれない。

 同様の動きはスウェーデンにも及ぶ。スウェーデンが、これまでの紛争当事国に兵器を供与しない国是を破り、ウクライナに対戦車砲などの軍事物資を送ると発表したという。

スウェーデン、国是破りウクライナに武器供与へ 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

 AFPによると、アンデション首相は、「ロシアに対するウクライナの防衛力を支援することが、今やわが国の安全保障にとって最善だというのが私の結論だ」と記者団に語ったそうだ。

 

 

 欧米が主導する制裁はもはや「金融戦争」とブルームバーグはいう。

「金融戦争」開戦、資金市場で中銀の緊急措置を期待する声高まる - Bloomberg

 ロシアの通貨ルーブルは暴落し、ロシア国民は外貨を引き出そうと、ATMに長蛇の列を作り、また、ロシア最大手のズベルバンク傘下の「ズベルバンク・ヨーロッパ」などが破綻する可能性が高いと欧州の中央銀行ECBが発表したという。

 急速に預金が流出し、債務の支払いができなくなる恐れがあるそうだ。ロシアが瓦解し始めているのだろうか。

 こうした流れが強まれば、当然のように欧州系グローバル企業が次々とロシアからの撤退を表明する。

暴発

 こうした「脱ロシア」の動きに、プーチン大統領が暴発するのではないのかと懸念が高まる。核抑止部隊に「特別警戒」を命令した、その「まさか」が現実になるのではないかと危惧する。

 これまで何度も「まさか」は覆されきたとBBCは指摘する。

プーチン氏は核のボタンを押すのか BBCモスクワ特派員が考える - BBCニュース

ウクライナの戦争は、プーチンの戦争だ。もし彼が軍事目標を達成すれば、ウクライナ主権国家としての未来は危うい。もしロシアの作戦がうまくいかず、ロシア軍が甚大な被害を受けるようなことになれば、ロシア政府はさらに必死の一手を打ってくるかもしれない。

「まさかそんなことをするはずは」という期待が、もはや適用されない場合は、なおのことだ。(出所:BBC

 にわかに信じ難いが、過去の言動からすれば、そう予想できてしまうのだろうか。

「もしもプーチン氏が実際に核の選択肢を選んだ場合、考え直すよう説得しようとする側近はいるのだろうか。あるいはやめさせようとする者は」とBBCは疑問を投げかけはするが....

 

 

論語の教え

微子(びし) 之を去り、箕子(きし) 之が奴(ど)と為り、比干(ひかん) 諌(いさ)めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り、と。(「微子第十八」1)

殷の最後の君主で、暴君だった紂王を戒める3人の仁人がいたという。彼らは紂王によって処罰されてしまう。しかし、暴君「紂」は周の武王によって滅ぼされてしまう。

dsupplying.hatenadiary.jp

「微子」、紂王の兄。紂王の無道のため国を去った。

「箕子」、紂王の叔父。紂王を諫めたが捕えられ、狂人と偽って奴隷となった。

象牙の箸を使うなら陶器の器では満足できず、玉の器を作る事になるだろう。玉の器に盛る料理が粗末では満足できず、山海の珍味を乗せる事になるだろう。このように贅沢が止められなくなってしまうに違いない」と危惧し、紂王に贅沢をやめるように諫言したという。

 これが後に「箕子の憂い」、小さな事柄から大きな流れを察知することという言葉が生まれるそうだ。

 また、周に敗れた殷の荒廃した首都を訪れ、「麦秋の詩」を作った。破壊された宮殿跡には麦が生い茂り、それを見ては悲しみ、感傷に堪えず、それが、「麦秋の詩」になったといわれる。

「麦の穂秀でて漸々たり 禾黍の葉光て油々たり。かの狡童(紂王)われと好からず」。この詩から亡国の嘆きを麦秋の嘆と呼ぶようになったという。

誤算

 プーチン大統領の当初の目論見は何であったのだろうか。もし短時間でウクライナを制圧できれば....、その「もし」に誤算があったのだろうか。

 ウクライナとゼレンスキー大統領を見下し、ロシアの力をもってすればと、見誤ったのだろうか。

人気コメディアンから祖国防衛の指導者に、注目集まるゼレンスキー大統領 ウクライナ - BBCニュース

 政治経験が全くないコメディアンがまさか力に屈服せずに、は向かってくるとは想定外だったのかもしれない。

 そのゼレンスキー大統領は、EU 欧州連合への加盟を正式に申請する文書に署名したという。

 

 

 プーチン大統領はこの先どう動くのだろうか。フランスのマクロン大統領と電話会談するも、まだ譲歩の姿勢を見せていないようだ。

仏大統領、市民への攻撃中止要請 プーチン氏「対応する」: 日本経済新聞

 ベラルーシで、ウクライナとロシアによる停戦交渉が始まったが、その交渉中もロシアは攻撃を続けているという。

ロシア外務省は28日、ウクライナに殺傷兵器を供与した国に対して、これらの兵器がロシアとの戦闘で使われた場合には供与国も責任を負うことになると警告した。(出所:日本経済新聞

 誤算続きでは、苦しかろう。もうそろそろ振り上げた拳を下ろすときのような気がする。それとも.....

 兵法の大家「孫子」には、「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず。彼を知らずして己を知れば、一度は勝ち一度は負く。彼を知らずして己を知らざれば、戦うごとに必ず殆し」とある。

 また、軍争には「風林火山」に続いて、「知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し。郷を掠(かす)むるには衆を分かち、地を廓(ひろ)むれば利を分かち、権を懸けて動く。まず迂直の計を知る者は勝つ」とある。

 始計で躓き、戦いが始まって思うように進まないのなら、引き際なのではないだろうか。

 

「参考文書」

永世中立国スイスがEUの対ロ制裁導入、過去の方針転換 | ロイター

ロシア国民、外貨求めてATMに長蛇の列-制裁でルーブル急落を懸念 - Bloomberg

ロシア大手銀子会社、破綻の可能性 急速な預金流出で―欧州中銀:時事ドットコム

ウクライナ大統領、EU加盟を正式申請 | ロイター

初の停戦対話が終了、継続探る 開催中もロシアは攻撃: 日本経済新聞

ウクライナ大統領がロシアに見せつける「新たなリーダー」の姿 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)