国内のオミクロン株の拡大スピードにただただ驚くばかりです。社会活動の維持が心配にもなります。インフラ維持のための人手確保が最大の課題になるのでしょうか。
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一方、全国消費者物価指数が前年同月比で0.5%上昇したそうです。前年実績を上回るのは4カ月連続。原油高や円安で電気代やガソリン代などが値上がりしています。
消費者物価指数、0.5%上昇 21年12月、4カ月連続 | 共同通信
共同通信によると、品目別で、エネルギーが16.4%上昇し、上げ幅は13年4カ月ぶりの大きさとなったといいます。電気代は13.4%、都市ガス代は13.7%、ガソリンは22.4%、灯油は36.0%、上がったそうです。ものすごい上げ幅です。
携帯電話料金の引き下げの影響を除けば、日銀の目標である2%に到達しているとの見方もあるようです。
ガソリンや電気代などエネルギー価格の上昇が伝播してか、他の産業でも値上げが相次いでいます。こうした状況に賃上げが追いついていかなければ、結局、低価格志向が強まるとの専門家の意見もあるようです。
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ただ足元では、値上げ基調は続くことになるのでしょうか。日銀、政府の対応が気になります。
リスクオフモードに突入の世界経済
英国でも消費者物価指数(CPI)が上昇し、12月には前年同月比5.4%と30年ぶりの高水準に達し、賃金上昇を打ち消しているといいます。
英国に迫る生活費の危機、4月に公共料金50%上昇と増税が家計直撃 - Bloomberg
ブルームバーグによれば、家庭用エネルギーの上限価格が50%上昇すると見込まれているそうです。「生活費」が政治的な主要テーマに急浮上しており、英国の政権にとって、対応を誤れば命取りになりかねないと指摘しています。
米国でも状況は同じで、インフレの高進が、バイデン大統領の支持率低下の一因となっているといわれます。金融当局は急ピッチでの引き締めを迫られているそうです。
イエレン米財務長官は、インフレ対策は政権と連邦準備制度の「共同責任」とし、米金融当局による適切な対応に信頼感を表明したといいます。
イエレン財務長官、年末までの米インフレ率2%近辺回帰になおも期待 - Bloomberg
イエレン米財務長官は、「今年の大部分を通じて前年比2%を上回るインフレ高進が見込まれる」とし、新型コロナウイルス禍の抑制に成功すれば「インフレ率は年内に鈍化して、年末までに2%前後の正常な水準に回帰することが望める」と述べ、沈静化に引き続き期待を示した、ブルームバーグは伝えます。
物価上昇が世界各国共通の喫緊の課題なのでしょう。金融は引き締め方向にあり、株式市場はウクライナ問題もあり、すっかりリスクオフモードに突入したようで、ハイテク株などを中心として株価が下落しているといいます。東京市場も御多分に漏れずのようです。
論語の教え
「君子は疾(にく)む、之を欲すと曰うを舎(お)きて、必ず之が辞(じ)を為すを。丘(きゅう)や聞く、国を有(たも)ち家を有つ者は、寡(すく)なきを患(うれ)えずして、均(ひと)しからざるを患う。貧を患えずして、安(やす)からざるを患う、と。
蓋(けだ)し均しければ貧しきこと無く、和すれば寡なきこと無く、安ければ傾くこと無し。夫れ是(かく)の如きが故に、遠人(えんじん)服せざれば、則ち文徳(ぶんとく)を脩(おさ)めて、以て之を来たす。既に之を来たせば、則ち之を安んず。
今、由と求と、夫子を相(たす)くるも、遠人服せずして、来たすこと能わず、邦 分崩離析(ぶんぽうりせき)して、守る能わず。而(しか)も干戈(かんか)を邦内に動かすを謀(はか)る。吾は恐る、季孫の憂え、顓臾に在らずして蕭牆(しょうしょう)の内に在らんことを」と、「季氏第十六」1 にあります。
季氏が顓臾という地に侵攻しようとしていた。その季氏に仕える弟子の冉有(冉求)と子路が孔子にそのことを報告すると、孔子は次のような助言をしたといいます。
「君子 教養人たる者は、そうしたしたいという本音を隠して、あれこれ理屈をつけるということをしないのだ。私はこう学んだ。国や家を運営する者は、人々の財産が少ないことに悩むのではなくて、政治が公平でないことに悩む。国家の財政が貧しいことを憂えるのではなくて、人々が安心して暮らせないことを憂えると。
思うに、均しければ貧しさというものはない。調和がとれておれば少ないということがない。安心して暮らせれば国家が傾くこともない。そういうわけだから、遠くにいる人が服従しないのなら、こちらは一層人の道(文徳)を尽くして感化し、帰服させることだ。帰服すれば、彼らを安心させてやることだ。
いま、由と求とは、かの方を輔佐する立場でありながら、遠国の者が服従せず、帰服させることができないでいる。国は乱れてしまい、運営することができなくなってしまう。しかも軍勢を国内で動かそうとしている。季孫氏の心配というものが、顓臾問題に在るのではないくて、季孫氏の組織自体の問題にあるようになることを私は恐れる」。
孔子はついつい人々が忘れがちになることを指摘し、道理に従って考えよと諭しているのでしょう。今も昔も、内政に行き詰ると、外交問題を持ち出しては目先をごまかそうとするのでしょうか。
力で威圧しては対立を生むだけです。挑発に乗らず、まずは内政を充実させ、民が安心して暮らせることに尽くす。その上で、外交においても同様に処置、対応するということでしょうか。
挑発行為は確かにあるようですが、それに乗じて防衛論議に気を向けるべきではないということなのでしょう。それよりは物価上昇、「生活費」のことが政治問題にならないよう早めに対応して、まず人々の安心に努めるべきということなのかもしれません。
米英中にロシア、北朝鮮、そうした先例があるのだから、同じ轍を踏むべきではないのでしょう。