令和を迎える前のこと、上皇さまが天皇を退位するにあたり、国民の象徴としての天皇の役割を問い続けていたというようなお話をお聞きし、たいへんな思いで天皇としてのお勤めされていたのかと、そのときは勝手ながら推察していました。
その上皇さまが天皇を退位、徳仁さまが天皇に即位し、ご兄弟である秋篠宮 文仁親王が皇位継承順位第1位の皇嗣(皇太子と同等の待遇)となれば、やはり文仁さまも「国民の象徴」というお立場を強く意識されているのでしょうか。
その長女眞子さまがご結婚なされ、宮家を離れました。「おめでとうございます」と心よりお祝い申し上げたいと素直に感じます。
上皇さまは天皇のときには、戦争激戦地や激甚災害の被災地を訪問され、それらを象徴としての行動とされていました。今上天皇である徳仁さまは、お父上の行動を参考にしながら、アフターコロナ、どのような形で象徴としてのお姿を国民にみせて頂けるのでしょうか。
論語の教え
「大なるかな、堯(ぎょう)の君たる、巍巍乎(ぎぎこ)たり」。
「唯天もて大なりとなし、唯堯 之に則る。蕩蕩乎(とうとうこ)として、民 能(よ)く名づくる無し」。
「巍巍乎として、其れ成功有あり。煥乎(かんこ)として、其れ文章有あり」と、「泰伯第八」19 にあります。
「堯」とは、中国神話に登場する聖人で天子、陶唐氏ともいいます。
渋沢栄一は、「尭」の徳は高大広遠にして他に比す可きものもなく、ただ天の大なるに比し得るのみであると讃め、以下その万民を化育し、安寧平和ならしめその礼学法度の整ひたる事を称賛したものであると、この章を訳しています。
そして、栄一の時代の明治天皇の徳を頌するためにある章ではないかといっています。
明治大帝が知仁勇の三徳を兼備されていたように拝察する。大帝は、特別に学問が深くあらせられた訳ではないが、非常な知者であって聡明に渡らせられ、よく人材を登用されて、適材を適所に用いられた。また、大事に臨んで惑はず懼れず、快刀乱麻を断つが如くに決断遊ばさるゝ点などは実に御見あげ申す程であった。
その仁愛の深くあらせられた事に就ては、余りに顕著な事実であり、かつ国民の脳裏に深く印せられているところであるから、今更言う迄もない。実に明治大帝の如きは、近代に於ける知、仁、勇三徳兼備の好典型と申し上ぐべきである。
明治維新以来、我国が長足の進歩発展を来して今日の盛運を致したるは、賢明なる輔弼の臣と忠良なる臣民の力に負うところあるはもちろんであるが、帰する所、この英主ありしが為めに外ならない。 (参考:「実験論語処世談」渋沢栄一記念財団)
栄一の時代の天皇制と今では異なっているので、単純比較はできませんが、今であれば、象徴天皇として、国民にその徳、徳のあり様をわかりやすく行動にてお示し頂くのもいいことなのかもしれません。
☆
眞子さまのご結婚に関して、誹謗中傷が多々あったといいます。この時代を象徴している出来事なのかもしれません。
ヤフーニュースのコメント欄が閉鎖される事態にもつながったようです。
「コメント欄閉鎖も初めて導入」ヤフーは誹謗中傷コメントを排除できるのか (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
昨日の記者会見で小室さんの発言について伝えるニュースでも、早速コメント欄が閉鎖されたそうです。また多くの誹謗中傷があったのでしょうか。
ヤフトピ「眞子さん愛してる」1時間でコメント欄が閉鎖 AIで「誹謗中傷」認定 - 弁護士ドットコム
眞子さまのご病気はこれらが原因のひとつと言われているようです。
そうしたご病気を抱えても記者会見された意味を考えなければならないのかもしれません。
誹謗中傷が蔓延する荒んだ世から皆が笑顔あふれるようにしていけるよう、「徳」をお示し頂くことも、象徴である天皇家、宮家の役割なのかもしれません。そんなことを感じます。
「徳」とは、身についた品性、社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力。広く他に影響を及ぼす望ましい態度のことをいうそうです。