「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

コロナ渦、気候変動、国境紛争を憂う62歳になられた天皇のお言葉

 

 天皇陛下が62歳の誕生日を迎えられ、この1年を振り返られた。

新型コロナ: 「脱炭素社会の実現を」 天皇陛下、誕生日会見全文: 日本経済新聞

 今なお続くコロナ禍、長く困難な状況が続いているが、今しばらく、誰もがお互いを思いやりながら、痛みを分かち合い、支え合う努力を続けることにより、この厳しい現状を忍耐強く乗り越えていくことができると信じいると述べられていた。

 気候変動問題についても言及され、現在人類が直面する最大の課題の一つと指摘、各国・地域の関係者や一般の人々が協力して対策を進めるべく努力を続けることで、気候変動問題が改善していくことを心から願っているとされた。

 

 

 また、結婚され皇室を離れた眞子さんについても語られていた。

 多くの方に心配をかけ、心苦しいとし、週刊誌報道やインターネット上の書き込みについては、人々が自由で多様な意見を述べる社会をつくっていくことは大切なことであるとする一方で、一般論として、「他者に対して意見を表明する際には、時に、その人の心や立場を傷つけることもあるということを常に心にとどめておく必要がある」と述べられ、「他者の置かれた状況にも想像力を働かせ、異なる立場にあったり、異なる考えを持つ人々にも配慮し、尊重し合える寛容な社会が築かれていくことを願っている」とした。

 皇位継承問題についても言及され、歴史を紐解けば過去にも問題があったとし、歴代天皇のなさりよう心にとどめ、象徴としての務めを果たすていくと述べられた。

 歴代天皇の幾人かが般若心経を写経されていることを紹介し、戦国時代の後奈良天皇の宸翰(しんかん)般若心経は、洪水など天候不順による飢饉(ききん)や疫病の流行で苦しむ人々の姿に心を痛められた天皇自らによるもので、奥書には「私は民の父母として、徳を行き渡らせることができず心を痛めている」旨の天皇の思いが記されていたといいます。

 また、般若心経を写経した歴代の天皇は、人々と社会を案じつつ、国の平和と国民の安寧のために祈るお気持ちを常にお持ちであったことを改めて実感したともいいます。

鎌倉時代花園天皇が皇太子量仁(かずひと)親王に宛てて書き残された、いわゆる「誡太子書(かいたいしのしょ)」においては、まず徳を積むことの大切さを説かれ、そのためには道義や礼儀も含めた意味での学問をしなければならないと説いておられます。このような歴代の天皇の思いに、深く心を動かされました。(出所:日本経済新聞

 

 

 今上天皇は、こうした学びから得られる教えを、天皇としての責務を果たしていく上での道標の一つとして大切にしたいといいます。それは上皇が述べられた「天皇は、伝統的に、国民と苦楽を共にするという精神的な立場に立っている」と考えを理解することに役立っているのでしょうか。

論語に学ぶ

夏の礼は吾能(よ)く之を言えども、杞(き)徴(ちょう)するに足らざるなり。殷(いん)の礼は吾能く之を言えども、宋(そう)徴するに足らざるなり。文献足らざるが故なり。足らば則ち吾能く之を徴せん。(「八佾第三」9)

夏王朝の礼について、私は論ずることができるが、杞国の礼は証拠とする足しにはならない。同じく殷王朝の礼について、私は論ずることができるが、宋国の礼は証拠とする足しにはならない。杞、宋国ともに、古代から伝わった文書も、また王朝当時の礼に通じた賢人も欠いているからである。もしそろっておれば、夏・殷の礼についての私の学はさらに十分なものになるだろう」との意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

 道徳は「礼」規範によって示され、形となって現れるといいます。礼の歴史を紐解くことで、過去における徳のあり方を学ぶことができ、今この時代に活かせこともできるのかもしれません。

 

 

「歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、研鑽(けんさん)を積みつつ、国民を思い、国民に寄り添いながら、象徴としての務めを果たすべく、なお一層努めてまいりたい」と今上天皇は言います。

 この困難の時において、心の持ちよう、人としてのあり様を国民の象徴としてお示しいただけることはあり難いことなのかもしれません。また、 時として、国民の声を代弁して頂くことで、国民相互の理解が進む手助けになっていくのでしょう。

上に居(お)りて寛(かん)ならず、礼を為して敬せず、喪(そう)に臨んで哀しまずんば、吾何を以てこれを観(み)んや。(「八佾第三」26)

 人の上に立ちながら人には厳しく、礼法は正しいが気持ちがこもらず、葬儀に参列してもまごころがないようでは、そのような者をみたくもないとの意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

 天皇が国民の安寧を願い、そして、今この時代に求められている徳を示しているなら、国が道を間違えることはないのかもしれません。

 問題を起こしている遠い国の大統領は、徳という概念をお持ちなのでしょうか。

「徳」とは、身についた品性。社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力のことを言います。また、広く他に影響を及ぼす望ましい態度との意味もあります。

「徳」は誰もが望むものではないのでしょうか。