パーパス経営が問われる時代になっているといわれます。さらに進んで最近では個人のパーパスも問われているそうです。
「パーパス」とは、一般には、望む目的や目標、狙い、存在などの理由や意義、意味、目標に向かう決意、決心などと訳されます。ビジネスにおいては、企業の存在理由や存在意義のことと言われます。その会社が何のために事業を行っているのかを表現しているということでしょうか。その会社によって開発される商品やサービスはパーパスを具現化したものにすべきということなのかもしれません。
個人も問われる「パーパス」 リーダー層の転職を左右|エグゼクティブ転職
「パーパス・ドリブン」という言葉もよく耳にするようになりました。「ドリブン」とは、driveの過去分詞形「driven」のことで、「駆り立てられる」「突き動かされた」ということを意味し、転じて「起点にした」という意味合いで使われているそうです。
「パーパス・ドリブン」とは、「存在意義」や「志」といったパーパスを起点に、全てはそこから始まっているということになるのでしょうか。昨今では、社会的意義を掲げ、そこから逆算していく思考と言われているようです。
「なぜそれをするのか?」、自分が起こすアクションの理由をパーパスと照合するということなのでしょうか。
ウクライナとロシアの野望
ロシアと欧米がウクライナを挟んで対立しています。プーチン露大統領が、親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部の一部地域の独立を承認し、平和維持を目的にロシア軍を派遣することを決めといいます。欧米各国が経済制裁をちらつかせる中で、プーチン大統領は行動に出ました。プーチン氏の志、パーパスは一体何なのでしょうか。
ウクライナは4000万を超す人口と広大な国土を持つ旧ソ連第2の大国だ。ウクライナなしでロシアは帝国にはなれない――。
ブレジンスキー元米大統領補佐官はこう述べたことがある。「大国の復活」の野望を抱くプーチン氏にとって、ウクライナを自らの勢力圏にとどめることは絶対条件だ。(出所:日本経済新聞)
論語に学ぶ
陽貨という人物が孔子との会見を求めていたが、孔子は避けていた。すると陽貨は、高価な贈り物をして、孔子を誘い出そうとした。孔子は巧みにそれを避けようとするが、陽貨と出会ってしまったという。陽貨は反乱を計画し、それに孔子も加わるよう説得しようとする。
其の宝を懐(いだ)きて其の邦(くに)を迷わす。仁と謂う可(べ)けんや。
曰わく、不可なり。
事に従うを好みて、亟々(しばしば)時を失す。知と謂う可けんや。
曰わく、不可なり。
日月逝きぬ。歳 我と与(とも)ならず。孔子曰わく、諾(だく)。吾(われ)将(まさ)に仕えんとす。(「陽貨第十七」1 )
「陽貨(陽虎)」、季氏の家臣であったが、実力者であり、事実上、その意向で魯国の国政が動いていたという。
「宝を持ちながら国を混迷のままにしておられる。それは仁と言えますかな」と、陽貨に問われた孔子は「言えませぬな」と答える。さらに陽貨は「政治に腕を振るいたいと思っておられながら、何度もその機会を失っておられる。それは知と言えますかな」と言われた孔子は「言えませぬな」という。
「時の経つの早い。歳月はわれらを待っておりませぬぞ」と陽貨は孔子を誘う。「承知。いずれお仕え申し上ぐ」と孔子は答える。
その陽貨は自分が仕えていた魯を乗っ取ろうと事件を起す。しかし、孔子はそれに加わわることはなかった。
篭城戦を繰り広げた陽貨だったが、戦いに敗れ、魯の隣国斉に追放される。その後、宋・晋を転々とし晋に召抱えられるが、その後消息不明となる。
プーチン大統領が陽貨と同じ運命とならないことを願うばかりである。人は時として、孤立する道を選んでしまうのかもしれない。パーパス、志の使い方を間違えてしまうということなのだろうか。
「参考文書」
パーパス・ドリブンの意味とは|消費者や従業員に支持される企業ブランディング方法 | Think with Magazine