子曰わく、夏の礼は吾能(よ)く之を言えども、杞徴するに足らざるなり。殷(いん)の礼は吾能く之を言えども、宋徴するに足らざるなり。文献足らざるが故なり。足らば則ち吾能く之を徴せん。(「八佾第三」9)
(解説)
「夏王朝の礼について、私は論ずることができるが、杞国の礼は証拠とする足しにはならない。同じく殷王朝の礼について、私は論ずることができるが、宋国の礼は証拠とする足しにはならない。文書も賢人も欠いているからである。もしそろっておれば、夏・殷の礼についての私の学はさらに十分なものになるだろう。」(論語 加地伸行)
この言葉を聞いて、何故か武井壮のことを思い出した。
「百獣の王」、武井壮。
陸上十種競技の元日本チャンピオンであり、世界マスターズ陸上で世界一に輝いた一流アスリートでもある彼は、スポーツの経験から編み出した独自の成功理論で、多くの人を惹きつけている。(出所:Forbes)
武井本人は「自分にはスペシャリティがない」と語る。そんな彼がたどり着いた、芸能界で生き残るための戦略が「スーパーゼネラリスト」。
毎日3時間は自分の能力を鍛えるために使うと決めています。フィジカルトレーニングに1時間、新しい知識の学びに1時間、そして、新しい技術を習得する練習に1時間。たとえどんなに疲れていても、夜遅くなってしまったとしても、必ずやる。計3時間を自分磨きに費やす生活を7年も続けてきたという。(出所:Forbes)
武井は、スーパーゼネラリストになるために、『最初は、テレビに出るためにはどんな能力を磨けばいいかを徹底的に研究することから始めました。テレビ欄を見て番組のジャンルをカウントし、どんなタレントが求められているのか、あの番組に出るためにはどんなトークができればいいのかを分析していった』という。(出所:Forbes)
専門家は専門書で学ぶことができる。スーパーゼネラリストには教科書はない。独学で道を切り開いてきたのだろう。
「足らば則ち吾能く之を徴せん」
元アスリートであった武井だから、できる業なのだろうか。
(参考文献)