「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

気候変動にコロナ、社会問題を解決するヒントを探す【セルフヘルプと論語】~炉辺閑話 #25 

 

 気候変動に、新型コロナ、最近の問題は一筋縄では解決されそうにもありません。

 同じことを繰り返すのか、それとも前例の未来を求めるのか、それが問われているような気がします。

 セーレン・キェルケゴールの名言に、「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きに生きなければならない。」とあります。

 前向きに生きるとは、そうした前例のない未来を創っていくことなのかもしれません。過去を振り返り、そこから前向きに生きよということなのでしょうか。

 不幸な過去を消すことのできる消しゴムなどないといいます。

 

独立独歩の精神が境遇をよくする

いつの時代も、自分が努力するのではなく、制度さえ整えば豊かな幸せな境遇が手に入るものだと信じている者が多い

 そういうは、サミュエル・スマイルズ

 法を制定したところで、怠け者を勤勉にすることはできず、浪費家に分別を持たせることはできず、のんべえの飲酒癖を治すこともできませんといいます。

一国の政治というものは、国民の映し出す鏡にすぎません

政治が国民のレベルより進み過ぎている場合には、必ずや国民のレベルまで引きずり下ろされます。(中略)

国がどんな法律や政治を持っているか、そこに国民の質が如実に反映されているさまは、見ていて面白いほどです。

これは水が低きにつくような、ごく自然ななりゆきなのです。

立派な国民には立派な政治、無知で腐敗した国民には腐りはてた政治しかありえないのです。(引用:イギリス流大人の気骨 サミュエル・スマイルズ P19)

  少々厳しい金言のように感じます。論語では、逆に、為政者が道理にもとづくようになれば、国民もまたそれにしたがうといいます。

  どちらも正しいのかもしれません。互いに影響し合っているということなのでしょう。

 

 サミュエル・スマイルズは「社会問題」を解決する糸口を個人に求めます。

 社会問題の多くが個々の人間の人生の中の歪みが大きく育ち、生い茂ったものに他ならないといいます。こうした問題は法律によって根絶することはできず、改めるべきは、個人の生きざまといいます。そこから攻めないと「社会問題」は永遠に解決されないといいます。

重要なことは一人ひとりの人間が、内なる自分の声を聞いて正しくふるまうということであり、外なる政府や法律によって指図されることではないのです。

 最悪の奴隷とは、暴君によって肉体を支配されているものでありません。

 自分自身の未熟な精神、エゴイズム、悪習に心を囚われている者こそが、最悪の奴隷なのです。そして、このような心の奴隷を抱えている国は、いくら支配者が交代しようと、どんなに制度がよくなろうと、自由になることなどありえないでしょう。(引用:イギリス流大人の気骨 サミュエル・スマイルズ P20)

 スマイルズの言葉に従えば、気候変動の問題にしろ、コロナ問題も個々人が律することが基本にあって、はじめて解決に向かうということを意味しているのでしょうか。

 

 新型コロナの累計感染者数が100万人を超えたといいます。政府が進めてきたコロナ対策の正否はよくわかりませんが、変異種の登場など考慮すべき事項はあるにせよ、1年以上たっても、状況が悪化する方向にあれば、対策に何か不足しているものがあると考えるのが普通なことに思われます。

 相互信頼はどうなのでしょうか。解決には今しばらく時間が必要なのかもしれません。

  

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